嫁んさんの乗っているゴルフ7のカーエアコンの効きが悪くなりました。そこで今回は、効きが悪くなったゴルフⅦのエアコンにDIYによるガスチャージを実施し、冷媒ガスを補充することによってエアコンが効くように修理していきます。ガスチャージに必要な道具や具体的な施工方法、施工の際の注意点などを紹介していますので、皆さんのカーライフのご参考になれば嬉しいです。
1.ゴルフ7のエアコンが効かない
5月も下旬となり、夏の足音が聞こえてくるようになりました。気温が上がると車内の温度がかなり高くなりますので、夏場のドライブにエアコンは必須です。

そんななか、写真のゴルフ7に乗っている嫁さんから「エアコンから出てくる風が生暖かいんだけど。。。」というアラームが上がりました。
早速、そのゴルフ7を運転させてもらうと、エアコンから出てくる風は全く冷えていないわけではなく、外気よりも多少低い温度で風が出ていますので、エアコンが全く機能していないわけではなさそうです。
とりあえず、エアコンの心臓部であるコンプレッサーは動いているようで一安心ですが、夏に向けては何らかの対処が必要な状況です。
状況的には、エアコンの冷媒ガスが不足しているように見えますので、今回はカーエアコンへのガスチャージをDIYで実施していきたいと思います。
2.カーエアコンの冷媒ガスは”HFC-134a”
今回は嫁さんのゴルフ7に対して、DIYによるガスチャージを実施していきたいと思いますが、まずはチャージする冷媒ガスを準備していきます。
まず、カーエアコンの冷媒ガスに使用されているのは「HFC-134a」と呼ばれる種類のガスです。HFCは、ハイドロフルオロカーボン(hydrofluoro-carbon)の略称です。「R134a」とも呼ばれたりしますが、呼び方が違うだけで同じものですね。
ただし、大半のカーエアコンのガスは「HFC-134a」ですが、車によって使用されている冷媒ガスが異なる可能性がありますので、まずは、ガスチャージする車の冷媒ガス仕様を調べます。

ゴルフ7に関しては、ボンネットを開けてすぐのかなりわかりやすいところに写真のようなラベルが貼られており、使用されている冷媒ガスの種類と使用量が記載されていました。(コンプレッサーオイルの種類も書かれていますね)
ラベルに表示されているゴルフ7の冷媒ガス仕様は下記のとおりです。
- 冷媒ガス:HFC-134a
- 使用量:500g
とりあえずは、流通性の高い一般的な冷媒ガスで良かったです!(輸入車は日本の常識が通用しない場合がありますが、ゴルフは流通性の高い大衆車なので大丈夫ですね)
冷媒ガスの種類が確認出来たら、その冷媒ガスを準備していきます。車のガスチャージ用には、小分けにされた商品が豊富に販売されています。そこで、今回準備した商品は下記のようなものです。
容量200gのガス缶です。写真は日立ブランドの商品ですが、色々なメーカーから色々な商品が販売されていますので、購入しやすい安価な商品を購入すれば問題はないと思います。
なお、ゴルフ7の冷媒ガスの必要量は500gですが、現状でも多少の冷風は出ています。状況的に、ガスが完全に抜けきっているわけではなさそうなので、今回は、まず200gをチャージしてみて、それで不足するようなら追加のチャージを検討していきます。
3.カーエアコンのガスチャージに必要な工具
チャージする冷媒ガスが準備出来たら、それを車に補充するための工具を準備していきます。
必要なツールはガス缶と車の冷媒ガス注入口を接続するホースのみです。ホースに必要な要件は下記の通りですので、それに合致するものを準備していきます。
- 車の冷媒ガス注入口に適合するコネクタを有すること
- ガス缶に適合したコネクタを有すること
上記の条件を踏まえて、今回準備したのは下記のツールです。
アストロプロダクツのガスチャージ専用ホース”CH446”です。立ち寄った店舗でセール品として「¥2,750(税込み)」で販売されていたので即買いしました。(一年で一番需要が増える時期なのでセール品になっていたのでしょう)

車の冷媒管(低圧側)に接続するコネクタ仕様は写真の通りです。
ソケット式の専用コネクタになっており、リング部分をホース側に引き上げた状態で車側のコネクタに挿すことでワンタッチで着脱できる仕様になっています。
また、”サービス缶バルブ”と呼ばれるガス缶と接続するコネクタの仕様は下写真のとおりです。
サービス缶バルブ(コネクタ)の内側にはネジ山が設けられて袋ナットの状態になっており、ボルト状に外側にネジが切られているガス管の先端と嵌合する仕様になっています。(嵌合すれば、冷媒ガスが漏れないような気密がとれます)

そして、上部のつまみを回転させることにより、バルブ内のニードル(ピン)を上下させることが出来る構造になっていて、ガス缶を装着した状態でピンを降ろすことにより、ガス管の先端に穴をあけることが出来る構造になっています。(その状態でニードル(ピン)を上げることで、ガス缶から冷媒ガスが放出されます)
ということで、車のガスチャージホースに必要な要件は全て満たした商品になっています。
なお、必要条件を満たしただけの安価な商品(ホースとコネクタだけの商品)も販売されていますが、今回は下写真のような充填された冷媒ガスの圧力が測定できるゲージが付いた商品を購入しました。

その目的は、ガスチャージ後の車の冷媒ガスの量が適正値になったことを確認するためです。
今回は、車の適正冷媒ガス量500gに対して、抜けた部分を補充する目的で200gのガス缶を購入しましたが、現時点で不足しているガスの量が分かっておりません。
ガスを過剰に補充した場合はコンプレッサーに負荷がかかってしまって良くないと言われていますので、補充するガスの量は適正範囲内に収めておく必要があります。
そこで、補充前後での冷媒ガスの圧力が分かるゲージ付きの商品を購入したというわけです。
また、ゲージ付きのガスチャージホースは、もっと安価な商品(中華製マイナーブランド)も販売されていますが、口コミなどを見てみると、圧力ゲージの表示値が参考にならないという”はずれ”商品が多く出回っているようです。(この辺りは安定の中華品質です)そこで今回は、店舗もあって信頼できるアストロプロダクツさんの商品を購入しました。(安物買いの銭失いが一番悲しいですからねw)
カーエアコンのガスチャージに必要な工具は以上です。(準備は簡単ですね!)
4.カーエアコンのガスチャージの方法
必要なものが準備出来たら、早速ガスチャージをしていきます。
4.1 ガスチャージの準備作業
まずは、ガスチャージホースにガス缶を装着していきます。

ガス缶を取り付けるサービス缶バルブは3項で説明したとおり”袋ナット”のような構造になっているので、そこをガス管のネジ山に合わせて、写真のように装着していきます。
なお、この時にサービス缶バルブのニードル(ピン)は奥まで引っ込んだ状態で装着してください。ニードルが出たままガス管を装着した場合は、その場で冷媒ガスの放出が始まってしまい、ガスが大気中に放出されてしまいますので注意が必要なポイントです。
ガスチャージホースにガス缶を装着することが出来たら、車の冷媒管(低圧側)にある、ガスを注入するコネクタ位置を確認して、ガスチャージホースの反対側を接続していきます。

ゴルフ7の場合は、ボンネットを開けた左側、エンジンクーラント液(冷却水)のリザーバータンク手前に冷媒ガスの配管が配置されており、その配管に黒いキャップを被った写真矢印部のような箇所があります。
その黒いキャップを被った箇所が、冷媒ガスを注入するためのコネクタです。そこにソケット式のコネクタを装着して冷媒ガスをチャージしていきます。
なお、冷媒ガスを注入する冷媒管は、コンプレッサーにガスが戻っていく低圧側の配管になります。高圧側の配管にも同じようなコネクタがありますが、低圧側のコネクタとはサイズが異なりますので、今回のようなカーエアコン専用のガスチャージホースを使用した場合においては、間違えることはないと思います。

冷媒ガスを注入するコネクタの位置が確認出来たら、ガスチャージホースのソケット式コネクタを車のコネクタに嵌合させていきます。(嵌合後の状態は写真のとおりです)
嵌合の方法は3項でも説明したとおり、コネクタのリングをホース側に持ち上げた状態で挿し込むだけです。(ワンタッチ式です)
手を離すとリング位置が元に戻ってしっかり嵌合してくれますので、装着の作業はとても簡単ですね。
ただ、このコネクタを嵌め込む状態で、ホースの中には車の配管に充填されていた冷媒が入っていきます。サービス缶バルブとガス缶をしっかり嵌合させた状態でコネクタを接続させましょう。
また、車にホース装着した段階でホース内には車からの冷媒が入っていきますが、そこには元々あった空気も混ざっています。そこで、その空気が車に注入されないように、サービス缶バルブとガス缶の嵌合を一瞬だけ弛め、ホース内に残っていた空気を排出(パージ)させます。

弛めるのはほんの一瞬、「シュッ」っと音がするくらいで大丈夫です。長い時間弛めてしまうと、車側のガスがどんどん放出されてしまうので注意してください。
なお、このパージ作業は、厳密に言うとフロンを少しだけ大気へ放出する作業になりますが、現状で使用されている冷媒ガスの環境負荷は、以前のものと比べるとかなり低くなっています。多少の放出は目を瞑っても良いでしょう。(一般の業者さんが行う家庭用のエアコンのガスチャージではもっと大量のフロンガスが大気中に放出されていますからね。。。)
また、ホースの装着はエアコンがオフの状態で実施しますが、この時の圧力ゲージの値は、冷媒ガスがコンプレッサーに圧縮されていない状態での低圧側の圧力になります。基本的には、エアコン動作時の適正値と言われる値よりも高く表示されますが、気にしなくて良いです。
4.2 ガスチャージ作業
準備が出来たらいよいよガスチャージを実施していきます。
まずは、エンジンを掛けてエアコンをOnにします。

すると、圧力ゲージの針が動いて、冷房時(コンプレッサー圧縮時)の冷媒ガスの圧力(低圧側)を表示するようになります。
嫁さんのゴルフ7の冷媒ガス圧力は”0.12MPa”でした。適正値が”0.15~0.25MPa”だとすると、やはりガスの圧力が足りていないことになります。この結果からも、現状の冷媒ガスの量が不足していると考えて間違いないでしょう。
なお、今回はアストロプロダクツさんの製品を使用することで、事前に想定していたような値が表示されましたが、表示が明らかにおかしい場合には、圧力値による状態の判断が難しくなります。やはり、圧力ゲージを使用する場合には、ある程度信頼できる商品を購入した方が良いでしょうね。(逆に言うと、ゲージのないホースならどれを購入しても大差ないかも)
エアコンを始動させたら、設定温度を最低温度、風量を最大に設定し、内気循環モードで窓を全開にして、コンプレッサーをフル稼働させます。

エアコンのフル稼働が確認出来たら、いよいよ冷媒ガスを補充していきます。サービス缶バルブのつまみを回してニードル(ピン)を降ろし、ガス缶の先端に穴をあけていきます。
そのニードル位置を元に戻と、ガス缶内の冷媒が放出されて車への補充が始まります。(低圧側の冷媒配管の圧力はガス缶内の圧力よりも低いので、ガス缶内の冷媒が車側へ注入されていきます)
後は、ガス缶内の冷媒ガスが、車に注入されていていくのを待つだけです。
しかしながら、ガス缶内の冷媒は液体です。液体が気化していきながら補充されていく形になるので、その気化熱によってガス缶の温度が大きく下がっていきますが、ガス缶の温度が下がると冷媒の気化が十分に行われなくなります。

そこで、補充中はガス缶の表面を写真のように手で覆って温めたり、ガス管を振って気化が促進されるようにして、すべての冷媒ガスが早く補充されていくのをフォローします。
まあ、学生時代に部活で無駄に遊んだコールドスプレーのような感じなので、凍傷になるほど温度が下がることはないでしょうが、手袋を装着して作業した方が良い作業ですね。
また、補充中はガス缶からの冷媒が注入される影響で、圧力ゲージの数値が一時的に少しだけ高くなりますが、最終的にはガス缶内のすべての冷媒が補充された状態で判断します。
また、チャージする冷媒ガスは、液体ではなく気体の状態で注入する必要があります。缶を逆さにすると液体のままのガス冷媒が車に注入されてしまうので、ガスチャージ中はガス缶を逆さまにしないよう注意してください。

そんな要領で、ガス缶を温めるなどしながら冷媒ガスを注入し、ガス缶内の液体がなくなったらガスチャージ完了です。(写真のように素手で触れても冷たさを感じられない状態になります)
さて、注入後の冷媒ガス圧力(低圧側)はどうなったでしょうか?
結果は写真のとおりで、適正値のほぼ真ん中の”0.2MPa”付近で落ち着いてくれたようです。結論として、今回は、ガス缶1本(200g)の補充で十分だったということですね。(念のため…などともう1本追加で買わなくてよかったですw)
以上で、ガスのチャージ作業は完了です。
4.3 ガスチャージホースの取り外し
カスチャージが完了したら、取り付けたガスチャージホースを取り外していきます。
ガスチャージホースが接続された状態では、車の冷媒管とガスチャージホース内、更にガス缶内が同一の空間になっています。ガスチャージホース内やガス缶内にも、車の冷媒管と同じ圧力の冷媒が充填されていますので、大気中に排出されるガス冷媒が出来るだけ少量になるよう考えながら、ガスチャージホースを取り外していきます。

まずは、エアコンのスイッチを切る前(冷媒管の圧力が低いうち)に、サービス缶バルブのニードルをガス缶に挿して、ガス缶内と車の冷媒を切り離します。(図中の「A」にて空間を切り離すイメージです。)そうすることで、ガス缶内には圧力が低い冷媒ガスが残りますが、その量を最小にすることが出来ます。
続いては、ホース内と車の配管を図中の「B」にて切り離していきますが…一般的な車専用のガスチャージ用ホースには、空間を切り離すバルブなどが付いておりませんので、ソケット式コネクタを外すことで切り離すしかありません。(ホース内の冷媒は大気放出されることが確定しています)
また、ソケット式コネクタを車から取り外す際に、冷媒配管側に空気が混入するのは避けたいです。基本的には、冷媒配管側の圧力の方が大気圧よりも高いので、空気が入っていくことはありませんが、今回はエアコンのスイッチを切って、冷媒配管内の圧力がより高くなった状態でコネクタを取り外しました。
結果、ホース内の冷媒は圧力が高い状態で大気に放出されてしまいますが、量としては極少量なのでこの辺は致し方ないところでしょう。
冷媒の大気放出を更に最低限に抑えたいのであれば、車とホースの接続部分に下記のようなバルブ付きのコネクタを装着して、エアコンのスイッチをオフにする前にバルブを閉じる方法がありますが、車にそこまでの需要はなさそうです。
ガスチャージホースを車から取り外したら、車側のコネクタに装着されていたキャップを装着して、作業は全て完了です。(キャップをなくさないよう注意しましょう)
5.カーエアコンに冷媒ガスを補充した効果
エアコンへのガスチャージが無事に完了したので、ここからは作業中に測定した各パラメーターの結果を元に、ガスチャージの効果をまとめていきます。
冷媒ガス補充前後での、各項目の測定値は下表のとおりです。
冷媒ガス圧力 (低圧側・動作時) | 気温 (車内温度) | 吹き出し口 温度 | 冷却効果 Δ | |
補充前 | 0.12【MPa】 | 23.5℃ | 18℃ | -5.5℃ |
補充後 | 0.2 【Mpa】 | 21.7℃ | 9℃ | -12.7℃ |
ガスチャージ前のエアコンによる冷却効果(気温(車内温度)とエアコン吹き出し口温度の差)は”-5.5℃”でした。それに対して、冷媒ガスチャージ後の冷却効果は”-12.7℃”になり、冷却効果としては倍以上の数値に改善しました。
真夏の条件がより厳しい環境下での確認ではありませんが、冷却温度が-10℃を下回ってくれましたので、この状態を維持してくれれば、この夏も何とか乗り切ることが出来るでしょう。(またすぐにガスが漏れてしまわないことを祈ります)
結論としては、準備費用や作業の手間などを考慮した、ガスチャージの費用・作業対効果は絶大!でした。
6.カーエアコンのガスチャージの課題
不足していた冷媒ガスの補充することで取り急ぎの冷却効果は復活しました。(効果は絶大でした)
しかしながら、カーエアコンは常に振動するという厳しい環境下で使用されることもあり、冷媒ガスが減った原因(ガス漏れの原因)が分かりにくいことが多いです。
冷媒ガスの抜けた状況が、”スローリーク”と呼ばれるような時間の経過でわずかに抜けていく感じであれば、今回のような冷媒ガスの補充で、まらしばらくは問題なく使用できるようになるでしょうが、ガス冷媒の漏れが一気に酷くなったことが原因で、今回の問題が発生したのであれば、またすぐに同じような状態になってしまう可能性があります。
エアコンの効きが再び悪くなった場合は、下記のような漏れ止め材を追加で注入して様子を見ていきたいと思いますが、カーエアコンの修理は非常に高額です。(輸入車は更に高い金額を請求されがちです。)漏れ止め材の注入などで何とか騙し騙し乗って行けることを願ってやまないですね。(年1回のガスチャージで済むならそれで十分です)
また、ガス冷媒の減りが酷い場合は、コンプレッサーを円滑に稼働させるための潤滑オイルも不足している可能性がありますので、下記のようなオイルの補充も合わせて検討していきます。
いずれにしても、輸入車はやっぱり手間がかかりますねー。(前に乗っていたハイラックス・サーフはほとんど手間がかかりませんでした。流石トヨタですね!)
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