我が家のエンジンオイル交換は、オイルをより確実に抜くことを重視し、車体の下に潜ってドレンボルトを開放する”下抜き”で対応してきましたが、アルミ製のドレンパンでは、ドレンボルトを締め付ける際のネジ破損に対する恐怖があり、いつもビクビクしながらボルトを締め付けていました。そこで今回は、エンジンオイルをオイルゲージ(オイルレベルゲージ)の穴から”上抜き”するオイルチェンジャーを購入してオイル交換の”上抜き”に挑戦していきます。オイルチェンジャーの動作原理や使用条件、使用方法などをまとめていますので、下記リンクの動画も含めて、是非ご参考にしてみてください。
1.エンジンオイルをより確実に抜くのは下抜きだが…
車のエンジンの状態を良好な状態に保つためには、定期的なエンジンオイルの交換が重要です。
我が家では中古のフォルクスワーゲン車を2台所持していますが、半年(6カ月)に1回のオイル交換を基本にしてメンテナンスしています。(オイル交換に関しては、下記リンクの過去記事などで色々な内容をまとめていますのでご参考にしてみてください。下記の他にもあります。)

また、我が家のオイル交換は、オイルをより確実に抜くことを重視して、車体の下に潜ってドレンボルトを取り外してオイルを抜くという”下抜き”で対応していますが、ボルトの締め付け不良などによるオイル漏れのリスクが伴うオイル交換方法となっています。
更に、オイルを溜めておく”オイルパン”がアルミ製の場合は、ドレンボルトを締め付ける際に過剰なトルク(オーバートルク)を掛かると、オイルパンのネジ山が破損するというリスクがあります。よって、ドレンボルトを締め付ける際には、トルクレンチを使用して既定のトルクで締め付ける必要があります。
我が家のフォルクスワーゲン車は、ティグアンとゴルフⅦですが、ティグアンのオイルパンは鉄製(黒色)です。多少のオーバートルクが発生したとしても、オイルパンのネジ山が破損する可能性は低いでしょう。

しかしながら、ゴルフⅦのオイルパンはアルミ製です。ドレンボルトにはかみ合うネジ山の数が多くなるよう”ロングドレンボルト”(写真の右側のボルト)を使用していますが、締めつける際にトルクレンチを使用していても、ワッシャーがつぶれる感触などには「オイルパンが逝ったか??」と、いつもドキドキしながら作業をしています。(ビビり過ぎかもしれませんが…)
そこで今回は、アルミ製オイルパンのゴルフⅦのオイル交換に対して、オイルをより確実に抜くことを重視した”下抜き”ではなく、ドレンボルトを取り外さずにオイル交換が出来る”上抜き”に挑戦してみることにしました。
2.エンジンオイルの上抜きにはオイルチャンジャー
今回は、ドレンボルトを取り外さずにエンジンオイルを抜くことができる”上抜き”にて、ゴルフⅦのエンジンオイル交換をしていきたいと思いますが、まずは”上抜き”の具体的な方法を確認して、必要な工具を準備していきます。

まず、エンジンオイルの”上抜き”は、「オイルチェンジャー」と呼ばれる機器を使用して、オイルの量を確認するオイルレベルゲージ(写真)のガイドパイプからチューブを挿入してオイルを抜く方法になります。
市販されているオイルチェンジャーにはいくつかの種類があり、オイルを抜く動力には、電動ポンプやコンプレッサーなどを使用したものもありますが、DIYでは、手動ポンプのものが良く使われています。
動力が電動ポンプやコンプレッサーなどのオイルチェンジャーでは、手間もかからず簡単にオイルが抜けますが、一般的に価格がお高めです。オイル交換は1台に付き”年2回”しか実施しないメンテナンスになりますので、年2回しか実施しないオイル交換で、高額なツールを準備するのはコスパ的に見合わないと思っています。(そのお金をかけるなら、自分でやらずにプロに任せる方がよいんじゃないかと)
対して、手動ポンプで吸い出すオイルチェンジャーは、比較的安価に購入することが出来ますので、DIYで使用するならこちらの仕様のものになると思います。(ただし、耐久性に難があるものも多いようなので注意が必要ですが…)
また、手動ポンプで吸い出すオイルチェンジャーにもいろいろなものが市販されていますが、オイルを吸い出す原理は以下のとおりです。

オイルチェンジャーのポンプのピストンを上に引き上げると、タンク内の空気がピストン側に抜けます。(ピストン側に抜けた空気は、タンク側には戻らない構造になっています)
その動作を繰り返すとタンク内の空気がどんどん薄くなって負圧(周りよりも気圧が低い状態)になりますので、外気との圧力差で、チューブの先端から空気が入ってくるようになります。その原理を利用して、チューブの先をオイルパンに挿入してオイルを吸い出していくわけです。
構造としては単純ですが、よく考えられていますよね。
しかしながら、この構造でオイルを抜くためには、各パーツの接続部がしっかり密閉されていることが重要になります。(接続部に空気の漏れがあると、チューブの先端にオイルを吸うような負圧がかからなくなります。)よって、しっかりした気密がとれている商品を購入しないと、安物買いの銭失いになりやすい商品です。
その観点で様々な商品を吟味した結果、私が今回購入したのは下記の商品です。
大自工業(Melteck)製のオイルチェンジャー OCS-6です。
本当はもう少し安価なものを購入したかったのですが、前述のとおり気密が確保できないと使い物にならない製品なので、当たりはずれのある安価な中華製は避けて、比較的メジャーなメーカー品であるこちらの商品を購入しました。
回収できるオイル量は最大6Lです。この辺りも収納性を考えると4Lくらいで良かったのですが…まあ、大は小を兼ねるということにしておきましょうw
3.オイルチェンジャーが使用できる条件
ドレンボルトを取り外さなくてもオイル交換が出来る便利な”オイルチェンジャー”ですが、オイルチェンジャーを使用するためにはいくつかの条件があります。
オイルチャンジャーが”使用できない”条件は下記のとおりです。
- オイルレベルゲージのガイドパイプ内径がチューブより小さい
- オイルパンが2重構造になっている
- オイルレベルゲージのガイドパイプがL字に曲がっている
まず、チューブを挿入するオイルレベルゲージのガイドパイプの内径が、挿入するチューブよりも小さい場合は、そのオイルチェンジャーは使用できません。

我が家のフォルクスワーゲン車はガイドパイプの内径がΦ6mm以上あります。対してMeltec製オイルチェンジャーのチューブ外径はΦ5mm程ですので、特に問題なく使用出来そうです。
また、オイルパンが2重構造になっている車も、オイルが溜まっている場所までチューブが届かないので使用できません。どんな車が該当するのか?はわかりませんが「そんな車もあるんですね。」という感じでしょうか?(フォルクスワーゲン車は通常の構造でした)
そして、オイルレベルゲージのガイドパイプがL字に曲がっている車もオイルチェンジャーが使用出来ないようです。こちらもそんな車に乗ったことがないのでわかりませんが、レベルゲージ自体が特殊な形状になっているみたいなので、それで判別できるようです。
なお、このL字ガイドパイプの車では、オイルチェンジャーのチューブを無理に入れてしまうと、チューブが抜けなくなって大惨事になることもあるようですので、注意が必要ですね。
ということで、特殊な車以外は”ガイドパイプの内径”と”チューブの外径”をしっかり確認しておけば大丈夫でしょう。購入前にしっかり確認してからオイルチェンジャーを購入しましょう。
4.オイルチェンジャーでオイルを抜く
作業する車に使用できるオイルチェンジャーが準備出来たら、実際にオイルを抜いていきましょう。
まずは、車のオイルレベルゲージの挿入口からオイルパン(の底)までの距離を確認します。確認方法は、オイルレベルゲージの長さを確認することで、大まかに確認できます。(オイルパンのまでの距離は、オイルレベルゲージの長さ+αです)

写真のような感じで、ゴルフⅦのゲージ長さを確認した結果は「50cm」でした。ということは、50cm+α分のチューブが挿入できれば、オイルパンの底にチューブが届いたと判断できそうですね。
ということで、大まかな目安として、チューブの先端から70cmの箇所に、マスキングテープを巻いて印をつけておきました。(ガイドパイプの中にマスキングテープを挿入したくなかったので、目印の距離を少し離しました)
チューブを挿入する長さが明確になったら、いよいよチューブを挿入していきます。Meltec製オイルチェンジャーのチューブには、堅めの芯が入っていてしっかりしているため、オイルパンの底と思われる箇所まで、簡単に挿入することが出来ました。
チューブが挿入出来たらピストンを上下にポンピングしていきます。

ポンピンクを始めると、すぐにチューブ内に古いオイルが吸いあがってきましたが、タンク内がしっかり負圧になるよう、ピストンの抵抗が少し重くなるまでポンピングしました。
なお、エンジンオイルは温度が上がると粘度が下がります。冬場の低い温度のままだとオイルが硬くてなかなか吸い上げることができないようなので、オイル交換の前に少しエンジンを掛けておき、オイルの温度を温めておいた方が良いようです。
ただ、どのくらいオイルの温度を上げればいいのか?は難しいところです。あまり温度を上げ過ぎるとチューブの先端が溶けたりするようなので、エンジン本体がほんのり暖かいくらいのレベルで良いと思います。

オイルがタンクまで排出され始めたら、あとはオイルが排出されなくなるのを待つだけです。
オイルの排出されるスピードが遅くなってきたら、再度ピストンをポンピングしてタンク内を負圧にし直し、オイルの排出を促します。
なお、この時あまり強く負圧を掛け過ぎると、チューブの接合部などが圧に耐え切れずに破損し、オイルが飛び散ったりするようなので、掛ける圧力は程ほどにしておきましょう。
また、排出されるオイルのスピードは、チューブ内のオイルの気泡の流れる速さを見ればある程度分かります。最初にポンピングしたら、終わるまで放っておく方法でもいいのかもしれませんが、排出の待ち時間を短縮したいのであれば、定期的にポンピングした方が良いと思います。

なお、タンクの側面には写真のような段差あり、オイルの排出量がわかるような構造になっています。段差1個分が1Lになるので、写真はおよそ1L分が排出された状態ですね。
まあ、段差に幅もあるので、正確な量はわからないと思われますが、ある程度の目安になると思います。
なお、下抜きのオイル交換では、オイルフィルターも交換すると4Lほどのオイルが注入出来ました。今回の上抜きでは、オイルフィルターの交換を省略していきます(次回換える予定です)が、オイルはどの程度抜けてくれるでしょうか?
なお、オイルパンのオイル残量が少なくなってくることは、排出されるオイルの気泡が多くなることで判別できます。
そして、更にオイル残量が少なくなると、飲み終わりのストロー付きドリンクみたいな、空気も一緒に吸うような”ズルズル音”に変わります。そうなったら、オイル抜きの作業は終了です。

今回、ゴルフⅦから最終的に排出されたオイルの量は写真のとおりです。3目盛り分なので3Lほどの古いオイルを抽出することが出来ました。
ただ、前述のとおり、下抜きでオイルフィルターまで変えた時のオイル交換量は4Lほどでしたので…オイルフィルターを交換していないことを考慮しても、”上抜き”は”下抜き”と比較すると抜けずに残るオイル量が多くなる傾向にありそうですね。
なお、オイルを抜くまでにかかった時間は20分程でした。この辺はオイルの温度などによっても変わって来るかもしれませんが、20分程度で交換出来のであれば、手動のオイルチェンジャーも悪くないですね!
このオイルチェンジャーの耐久性確認はこれからですが、結構使えそうな商品ですね!(名が知れたメーカー品を購入した甲斐がありましたw)
5.新しいエンジンオイルを注入する
オイルチャンジャーで古いエンジンオイルを抜くことが出来たら、新たなエンジンオイルを注入していきます。
私が今まで愛用してきたのは下記のレプソル製オイルだったのですが…最近では価格が随分と高騰してきました。(30%以上値上がりました。。。)
そこで、次回は欧州規格に準拠した下記のオイルに変えようと思っていますが、欧州車乗りの皆様のおススメオイルがあれば教えてください。(っていうか、Shellは缶の外観がダサいですねw)
さて、今回注入する新しいオイルの量は、排出されたオイル量なので3Lです。

オイルポットに1.5Lのオイルを入れて、それを2回注入することで、最終的に3Lのオイルを注入しました。(写真のオイルポットには2Lのオイルが入りますが、オイル量をMAXにしない方が作業性が良いです)
抜いた分だけのオイルを入れたら、オイルレベルゲージで適正な量になっているか?を確認します。結果としては、適正値内ではありましたが若干少なめだったので、追加で200ml程度のオイルを注入しておきました。(結果としては、3.2Lくらいのオイルが交換出来たということになりそうです)
以上で、今回のゴルフⅦの”上抜き”オイル交換作業は終了です。(ここからは後片付けの作業になります)
6.古いオイルを処理して廃棄する
オイル交換が完了したら、古いオイルを処理していきます。
当たり前ですが、古いエンジンオイルを下水にそのまま流すことはできませんので、適切な処理をして廃棄する必要があります。
処理方法としては料理に使用した油のように”薬剤で固めて廃棄する”などの方法もありますが、下記のような”ポイパック”と呼ばれる商品に古いオイルを吸わせて、可燃ごみとして廃棄する方法が主流ですね。
ただし、こちらのポイパックは処理できるオイルの最大量が決まっているので、廃棄するオイル量にあったものを購入してください。
また、以前は段ボールの外装箱に入っている”ポイパック”がほとんどだったので「可燃ごみで捨ててください」と言われても、段ボールを丸ごと可燃ごみの袋に入れるのが大変でした。しかしながら、このエーモン製のポイパックは、外装が袋状になっているので、可燃ごみの袋にも入れやすくて良きです。

なお、ポイパックの中には、オイルを吸い込むための綿状の素材が入っているだけです。写真のように、オイルチェンジャーのチューブ取り付け口をオイル排出用のアタッチメントに付け替えてオイルを流し込み、中の素材に吸い込ませていきます。
すべてのオイルを吸い込ませたら、ポイパックの中の透明の袋の口を付属の結束バンドでしっかり止めて、袋からオイルが漏れないよう密閉します。
それを可燃ごみとして廃棄すれば廃オイルの処理は完了です。
ただし、その可燃ごみがゴミ収集車に放り込まれた時にポイパックの袋が破裂してオイルが周りに飛び散らないよう、袋の中の空気は極力抜いておくといった配慮は必要だと思います。
7.使用したオイルチェンジャーの収納
作業が全て完了したら、使用したオイルチェンジャーのタンクやチューブから余分なオイルを抜いて収納していきます。
収納時のポイントとしては、オイルチェンジャーのチューブにかなりのコシがあるので、極端に曲げることなく収納しておくのがポイントになりそうです。(小さい曲率で曲げて収納した場合は、チューブに曲げ癖がついてしまうリスクがありそうです)
また、元箱を活用して収納するのが最もコンパクトですが…トライしてみるとなかなかうまく収納できません。

そこで、商品を開梱した時の映像を見直してみると、チューブはオイルチャンジャーのタンク本体に巻き付けられて曲率が極端に小さくならないようにして梱包されていることがわかりました。同じようようにタンク本体にチューブを巻き付けてみると…何とか無事、元箱に収納することが出来ました。(開梱状態を記録しておくことは意外に大切ですねw)
そして、どれだけ効果があるか?はわかりませんが、チューブの先端から異物が入らないよう、チューブ先端にはラップを巻き付けておきます。
また、ピストン部品なども組み立てたままでは元箱に収納出来ないことがわかりましたので、ハンドル部分とピストンを分離させ、別々の状態にして梱包しました。

結果は写真のとおりで、元箱に全てのパーツをしっかり収納することが出来ました。ピストンなどは使用時に再度組み付ける必要がありますが、その辺りは収納性を重視した方がベターでしょう。(作業は半年に1回なので)
ということで、6L用のオイルチェンジャーとのことで収納性に不安がありましたが、部品を分解することで元箱に元通り収納することが出来ました。これであれば、収納性もばっちりと言えますね!
耐久性としては、タンク内の気密性をいつまで(何回の作業まで)キープできるか?がポイントになりそうですが、その辺は、報告できそうな事象が発生したら、こちらで報告していきたいと思います。
また、ゴルフⅦの次回のオイル交換も”上抜き”で対応していきますが、次回はオイルフィルターの交換も実施する予定です。その場合は、結局、車体の下に潜ることになりますが、それが2回に1回(1年に1回)になることを考えれば、メリットはあるでしょう!(って言うか、もうゴルフⅦのドレンボルトは弛めませんw)
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