「バレーボールの国際試合をテレビで観たい」と言い出した母のために、実家にBSアンテナを取り付けました。現在の配線状況の確認と施工する配線の検討、必要となる部品の準備と実際の施工方法まで、DIY取り付けに必要な内容を一通り紹介しています。皆様のDIYのご参考にしてください。
1.バレーボールの国際試合が見たい母
実家で一人暮らししている母は、テレビで日本代表のバレーボールを観戦するのが大好きです。

日本代表のバレーボールの試合は、地上波で放送してもらえることが多いので、母はそれをいつも楽しみにしていたようですが…ある国際試合で、BSでしか放送がなかった大会があり、母はBS放送を観ることが出来る友人の家に行って観せてもらったようです。
そうなると実家に帰省した私に要求することは決まっています。実家に帰ると「私もBS放送が見たい」と言いだしましたw
まあ、父を早めに亡くして寂しい思いをしてきた母なので、そのくらいの願いはかなえてあげましょう。ということで、今回は実家をBS放送が見れる環境にすべく、BSアンテナを設置していきます。
2.現状のテレビ配線の状態を確認する
BS放送を観るためにはBSアンテナを設置する必要がありますが、ただBSアンテナを設置すればいいのではなく、各機器を適切にケーブル配線する必要がありますので、まずは実家の各機器の現状の配線状態をしっかり確認していきます。
確認した実家のTVアンテナ配線状態は下図のとおりです。

まず、地デジ放送を受信するアンテナは、母屋の屋根に八木アンテナが立てられており、そこに地デジ用のブースターが取り付けられています。
そして、アンテナからの同軸ケーブルは屋外の分配器に接続されて「母屋」と「離れ」の同軸ケーブルに分配されています。
更に、母屋側の配線は屋内で2本の同軸ケーブルに分配されていますが、その分配器は天井裏などに隠れていて、どんなものが使用されているか?確認出来ません。
また、離れ側の配線は分配などはされていませんが、ブースター用の電源が離れ側に設置されていることがわかりました。よって、屋外の分配器は「離れ」に接続している端子が「通電」可能な仕様(電源を供給することが可能な端子)になります。
分配器(屋内)が天井裏にあるなどで、詳細が確認できない部分もありますが、現状のアンテナ配線状態は概ね確認できました。
3.現状のテレビ配線の課題を解決する
2項で現状の実家のテレビアンテナ配線状態を確認しましたが、ここで2点の課題が明確になりました。

まず1点目は、地デジ放送の受信電波信号を増幅させるブースター用の電源が、テレビの使用頻度が低い「離れ」側に設置されていることです。(写真のような、ある意味レアな東芝製ブースターが設置されていました)
テレビの電波信号は、ブースターで増幅させて映像がよりしっかり受信できるよう改善することができます。
以前にテレビ映りが悪くなった時に、八木アンテナと一緒に業者さんが設置したブースターのようですが、テレビの使用頻度が低い「離れ」側に設置されているのは少々不可解ですね。(「離れ」の方が目立たないから?)
なお、分配器には、アンテナに電源を供給できるよう「通電可」となっている端子と、アンテナへに電源が供給できない「通電不可」になっている端子があります。

写真が実際に屋外に設置されている分配器ですが、”入力-出力1”が「通電可」のラインで、”入力-出力2”が「通電不可」のラインになります。
よって、地デジ放送用のブースター電源が「離れ」側に設置されている現状では、屋外側分配器への接続状態は、下記の通りになっています。
- 入力 :八木アンテナに接続している同軸ケーブル
- 出力1:「離れ」側の同軸ケーブル *通電可
- 出力2:「母屋」側の同軸ケーブル *通電不可
今回の施工では、最終的にBS放送が視聴出来るようにしていきますが、BSアンテナはTV側から電源を供給しないと動作しませんので、今の接続状態でBSアンテナに電源を供給するためには、離れ側のTVの電源を常に入れておく(コンセントを挿しておく)必要があります。
しかしながら、基本的に離れ側のテレビは、通常では電源コンセントが抜かれた状態になっていますので、その状態ではBSアンテナに電源を供給することが出来ません。
2点目は、母屋側の屋内分配器が天井裏に設置されていて目視確認が出来ないので、どのラインが「通電可」か?がわからないことです。
前述のとおり、分配器にはアンテナへの電源供給が出来る端子と出来ない端子がありますが、分配器が目視確認できない状態では、どのラインが「通電可」か?がわかりません。

そこで今回は、上記2点の課題に対して、現状の配線を図のように変えて、課題を解決を図ります。具体的な対応は下記2点です。
- 屋外分配器のケーブル接続を「母屋」と「離れ」で挿し替える
- ブースター用の電源を「母屋」側に移設する
まずは、屋外分配器のケーブル接続を「母屋」と「離れ」で挿し替えて、母屋側が「通電可」のラインになるようにしていきます。
こうすることで、BSアンテナを設置した際にも、母屋側のテレビから電源が供給できるようになります。(離れ側のテレビはコンセントを抜いておいても問題ありません)
続いて、ブースター電源を「母屋」側に移設し、地デジ用のブースターに電源が供給できるラインを確認していきます。
屋内分配器の仕様は事前に目視確認することができませんが、少なくとも2ラインのどちらかが「通電可」の仕様になっているはずです。そこで、まずは母屋の寝室側にブースター用電源を設置して、それで地デジ放送が視聴できるか?を確認します。(結果、地デジ放送が視聴が出来れば寝室側のラインが「通電可」、視聴できなければ、リビング側のラインが「通電可」です。)
上記確認を実施した結果は下図のとおりです。

屋外分配器の同軸ケーブルを挿し換え、ブースター電源を寝室側に設置した状態で、問題なく地デジ放送が視聴できることが確認出来ました。(寝室側のラインが「通電可」でした)
結果、BSアンテナを設置した場合も、寝室のテレビのBSアンテナへの電源供給を「On」に設定すれば、BSアンテナにも電源を供給することが出来ます。
もちろん、屋内分配器の仕様によっては、リビングのTVからでも電源供給できる可能性はありますが、そこまでの確認は不要でしょう。(全ラインが「通電可」の分配器が設置されていれば、どのテレビからでもBSアンテナに電源供給が出来ます)
4.設置するBSアンテナの準備
現状のアンテナ配線の詳細を確認して改善することで、BSアンテナを設置するための下地は整いました。続いては、設置するBSアンテナを準備していきます。
現在のBS放送は、従来の「フルハイビジョン」(2K)よりも高画質の「4K」放送が始まっていますので、購入できるBSアンテナも、そのほとんどが「4K対応」のものになっています。
実は「4K対応」のアンテナなどに替えなくても、既存の設備と4Kチューナーさえあれば4K放送が視聴できるなんて話もありますが…せっかくなんで下記の4K対応のものを購入しましょう。(逆に、既に4K非対応のものが売っていないかも?)
信頼のDXアンテナ製のBSアンテナになりますね。
ただし、ここで私の中の悪魔が囁きました。。。「年老いた老人は今後、4Kなんて観なくね?」と。確かに、今から高価な4Kチューナー付きテレビに買い替えるとは思えませんし、観たいのは”バレーボールの国際試合”です。
であれば、上記の最新型のアンテナは私の自宅につけて、実家には私の自宅で使用していた”4K非対応”のアンテナを取り付けていきましょうw

ということで、せっかくなので、自宅のBSアンテナを4K対応のものに交換していきます。
BSアンテナの設置方法は、実家への設置のところでも詳しく説明しますが、今回は取り付け金具が流用出来ますので、交換作業もとても簡単です。
アンテナの角度は、アンテナに書かれている東京地方の角度設定位置に合わせ、アンテナの方向はスマホのアプリなどで調整すればOKです。
そして、接続する同軸ケーブルには適度なたるみを持たせて、ケーブルをつたった水がケーブル接続部分に流れないようにフォーミングし、接続部に防水キャップをしっかりセットしておけば、概ね問題なく施工できると思います。
最後に、テレビで各チャンネルの受信強度が問題がないことを確認すれば、新しいアンテナの設置は完了です。(10分程で作業は完了です)
同軸ケーブルへのF型接栓コネクタの装着などの細かい作業含めた、BSアンテナの設置方法は下記リンクの記事などでもまとめていますので、確認してみてください。

取り外したアンテナはマスプロ製のアンテナ”BC45R”でした。ネットで探しても、既に販売しているショップはなさそうで、販売は”4K対応”の”BC45RL”に切り替わっているようです。
取り外したアンテナは、見たところ大きな痛みもなく、まだまだ使用することが出来そうです。しっかりピカピカに磨き上げて、実家に設置していきます。
なお、マスプロの現行モデル”BC45RL”のリンクも下記に貼っておきますので参考にしてみてください。
5.BSアンテナの設置に必要な部品
取り付けるBSアンテナが準備出来たら、実家への設置に必要な部品を準備していきましょう。
まずは、同軸ケーブルの配線に必要な部品を準備していきます。

今回の施工で想定しているBSアンテナ周りの同軸ケーブルの配線は図のとおりです。
まず、地デジ放送の信号とBS放送の信号を、同時に各部屋に分配するためには、2つの信号を混合させる”混合器”と呼ばれる部品が必要です。
しかも、今回は地デジアンテナのブースターとBSアンテナの両方に電源を供給する必要がありますので、その両方に電源を供給できる仕様のものを準備する必要があります。
価格なども踏まえて検討した結果、今回準備したのは下記の混合器です。
大手メーカーの商品ではありません(俗に言うノーブランド品です)が、切替スイッチで地デジアンテナ側にも電源供給出来る仕様の混合器なので、今回の施工にはピッタリの商品ですね。
分配器に関しては、既設のものをそのまま流用します。既に、母屋側から電源供給できる配線に修正してありますので、分配器からのケーブル配線は、概ねこのままで大丈夫でしょう。
また、テレビ側では”混合”された地デジ放送の信号とBS放送の信号を2つの信号に”分波”する必要がありますので、各テレビに対して、下記のような”分波器”を用意します。
BSアンテナの固定に関しては、設置場所に合うものを適宜準備する必要がありますが、今回は窓のサッシを固定している細めの木材に直に固定していきます。設置に必要な面積が小さく、2本のネジのみで固定できる下記のものを準備しました。
あとは、接続する同軸ケーブルやその接続コネクターとなるF型接栓などを準備すれば、施工に必要な部品の準備は完了です。
6.実家にBSアンテナを設置する
全ての部品が準備出来たら、実家にBSアンテナを設置していきます。

まずは、BSアンテナと混合器を固定する、アンテナ取付金具を設置していきます。
設置する柱にドリルで下穴を開けて、そこに付属のネジを使用して取付金具を取り付けていきます。
アンテナは台風などが来ても耐えることが出来る強度が必要ですので、金具を固定するためのネジはとにかく太いです。スパナやメガネレンチなどを使用してしっかり取り付けていきます。
今回は手元にスパナがなかったので、小型のモンキーレンチを使用して締め付けました。(写真のとおりです)
アンテナ取付金具が固定出来たら、そのポール部分に混合器とBSアンテナを固定します。

なお、BSアンテナの向き(方向)は後ほど調整しますが、角度はアンテナに書かれている目盛り(写真)をみて、設置する地域に合う角度に調整します。
ポールへの混合器やBSアンテナの固定は、ネジを締めてポールを挟み込むような構造になっているので、施工は簡単です。
BSアンテナと混合器が固定出来たら、それらを同軸ケーブルで接続していきます。(分配器は前述のとおり、既存のものをそのまま流用します)
同軸ケーブルの接続は、接続する同軸ケーブルの先端にF型接栓(F型コネクター)と呼ばれるコネクターを取り付けて行います。

F型接栓の取り付け方法は図のとおりですが、屋外に設置する箇所に関しては、事前に防水キャップをケーブルに通してからコネクターを取り付けた方が良いですね。
F型接栓を取り付けることが出来たら、各機器に同軸ケーブルを接続していきます。
まずは、地デジアンテナからの同軸ケーブルを、分配器の入力ラインから混合器の入力ラインに接続し直し、BSアンテナに接続したケーブルと混合器の入力ラインを接続します。(各機器の配線は5項の図をご参照ください)
最後に、混合器の出力ラインとと分配器の入力ラインをケーブル接続すれば、屋外のケーブル接続は完了です。(簡単ですね)

屋外側のケーブルが接続出来たら、屋内側のケーブルを接続していきますが、必要な施工はテレビの入力端子に”分波器”(写真)を接続して、地デジ放送の信号とBS放送の信号が2つの信号に分波できるようにするだけです。
最後に、混合器の切替スイッチを押して、地デジアンテナ側にも給電が出来る設定すれば、全てのケーブル接続は完了です。
しかしながら、流石のノーブランド混合器。混合器の切り替えスイッチを地デジアンテナにも通電する設定にすれば、LEDが点灯して設定状態が明確になるはずでしたが…スイッチを押してもLEDが点灯しません。(スイッチが切り替えられられているクリック感すらありませんw)
仕方がないので、実際に地デジ放送が視聴できるか?で設定の状態を確認しました。(何のためのLEDだよ…)
すべてのケーブル接続が出来たら、BSアンテナの向き(方向)を調整していきます。
プロの業者さんは”レベルチェッカー”と呼ばれるアンテナレベル(受信強度)を測定する測定器を使用して向きを調整しますが、アンテナの調整をたまにしかやらないDIYでは、レベルチェッカーを準備するのは少々勿体ないです。

そこで、写真のような、衛星の方向を確認しながら向きを調整出来るスマホのアプリを使用して方向を調整していきます。
まあ、スマホ側の精度の問題もあるので完璧な調整にはなりませんが、ある程度の目安にはなると思います。
向きがある程度調整出来たら、テレビ側の設定でBSアンテナ電源供給を「ON」に設定して、各チャンネルのアンテナレベルを確認していきます。
結果は、テレビ(TOSHIBA製)の推奨が「36」に対し、各チャンネルの受信レベルが「40」前後という結果となり、推奨値を上回る数値が確認できました。推奨値を超えていれば、よほど天気が悪くない限りは、問題なく視聴できるでしょう。

アンテナ向きの調整と各チャンネルの受信レベルの確認が出来たら、仮固定していた箇所をしっかり本固定し、配線した同軸ケーブルをフォーミング(結束バンドで固定)していきます。
フォーミングする際のポイントは前述のとおり、ケーブルを伝う水の流れを意識することですが、BSアンテナに接続する同軸ケーブルは、アンテナを少し移動できるくらいの余長を確保しておく意味でも、写真のようにアンテナの下で余長分を一巻くらい巻いておくと良いです。
また、屋外の同軸ケーブル接続部は、防水キャップがズレないようしっかり固定されていることを確認しておきましょう。
配線した同軸ケーブルがしっかりフォーミング(固定)出来たら、今回の施工は全て完了です。(設置作業自体はそれほど難しくありませんね)

全ての施工が完了したら、母に作業の完了を報告します。
実際にBSで放送されていたオータニさんが活躍するライブ映像を見せましたが…「取り付けありがとう。でも、しばらくはバレーボールの国際試合がないから、観ることはほとんどないかもね。」と言われてしまいましたw
まあ、確かにバレーボールの放送はしばらくないようですが…施工目的の半分は親孝行としての自己満足ですので、それもまた良きですw









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