30cm水槽で1匹ずつ飼育されている2匹の金魚を、45cm水槽で一緒に飼育することになりました。スチレンボードを使用した底面ろ過フィルターを自作して、ろ過能力の高い金魚水槽を立ち上げましたので、その作成方法などを紹介したいと思います。下記リンクにて動画も公開していますので、ご参考にしてみてください。【アクアリウム】金魚水槽に底面濾過フィルターを自作する-スチレンボードを使用した底面ろ過フィルターDIY
目次
1.我が家の室内水槽事情
昨年末時点で、我が家のリビングに置かれていた水槽は下記でした。
- 60cm水槽:ニッポンバラタナゴ飼育
- 45cm水槽:ギバチ水槽
- 30cm水槽①:金魚水槽
- 30cm水槽②:金魚水槽
しかしながら、娘が”ガサガサ”で捕獲してから5年間、”ずーなま”の愛称で親しまれたギバチさんが、年明け早々にお亡くなりになりました。(長生きされて天寿を全うされました。)
その結果、45cm水槽の住人がいなくなってしまいましたので、今回は30cm水槽で1匹ずつ分けて飼育していた金魚さん達を45cm水槽で飼育する構成に変えたいと思います。
2.新金魚水槽の構成検討-ろ過能力重視
まずは、新金魚水槽の構成を検討します。2匹の金魚はともに琉金で大食漢です。たくさん餌を食べるということは、たくさんの糞をします。したがって、金魚水槽はろ過能力が重要になるはずなので、ろ過能力が出来るだけ大きくなるような構成にしたいと思います。
ろ過の方式としては、外部フィルター、外掛け式フィルター、底面ろ過フィルター、上部フィルター、投げ込み式フィルター、スポンジフィルターなどがありますが、どれを選択したらよいでしょうか?
個人的にろ過能力最大だと思っているのは「外部フィルター」です。ニッポンバラタナゴの60cm水槽では、下記の外部フィルター(ウェット式)と自作のドライ式外部フィルター(その下の写真)を併用しています。
外部フィルターはろ過能力が高いのですが、ウェット式、ドライ式どもに、ろ過槽を別設置する必要があります。水槽台はニッポンバラタナゴ水槽のそれぞれのろ過槽が隠せるようDIYしてあるのですが、更に金魚水槽用のろ過槽を置く場所はありません。
従って今回は、設置スペースが最小になり、かつ、ろ過能力が高くなるような水槽にしなければいけません。そこで浮上してくるのは「底面ろ過フィルター」です。
底面ろ過フィルターは底床をろ材として、底面がフィルターになるろ過方式なので場所を必要としません。フィルターとなる面積を大きく取り、底床の量を増やせばろ過能力UPが見込めますし、底面ろ過フィルターは何度も自作していますので、作り方もわかっています。今回はメインろ過を「底面ろ過フィルター」に決定して構成を考えていきます。
次に、底面を通った水を吸い上げる部分をどうするか?ですが、水槽をリニューアルすることで使わなくなってしまったものを再利用したいと思います。検討した結果、今回は「外掛け式フィルター」を使用することにしました。外掛け式フィルターはそれ単体でのろ過能力はあまり高くありませんが、水を吸いあげて、底面の水を吸い上げるだけであれば、ポンプとして十分機能してくれます。また、この外掛け式フィルター内にもろ材を入れれば、更なるろ過能力UPが見込めます。
更に、底面ろ過フィルターとは独立したフィルターとして、「スポンジフィルター」を補助的な感じで再利用したいと思います。
結果、今回立ち上げる水槽の構成は下記となります。(手書きのイメージ図も載せました)
- メインろ過:底面フィルター(自作)*水の吸い上げは外掛け式フィルターを使用
- サブろ過:スポンジフィルター
なお、底床にはバクテリアの定着も期待できる「赤玉土」を使用していきます。
3.アクアリウムの自作で使用する材料
底面フィルターの自作方法を紹介する前に、私、右近次がアクアリウムの自作で使用する材料を紹介したいと思います。
水槽内の構成物を自作する際に使用しているメイン材料は下記です。(今回の自作では床下スペースや取水搭を作成するのに使用します。)
5mm厚のスチレンボードです。加工しやすくて丈夫なので、この材料をカッターでカットし、それを接着して必要な構成物を作成しています。
このスチレンボードは、少し前まではダイソーさんでも販売していたのですが、コロナ禍の影響があるのでしょうか?最近はダイソーさんでは見かけなくなってしまいました。よって、最近は専らホームセンターかネットで購入しています。(100円では買えなくなってしまいました。)
アクアリウム用にスチレンボードを購入する際の注意点が1点。スチレンボードの中には表面に紙製のカラーシートが貼ってあるものがあります。カラーシート仕様のスチレンボードは見た目は綺麗ですが、アクアリウムで使用しているとシートがボロボロになって剥がれてきます。購入する際は、スチレンボード自体に色がついているもの(シートが貼られていないもの)を購入してください。
加工したスチレンボードの接着に使用するのは下記です。
防水性があるシリコン系接着剤です。水槽のガラスどうしを貼り合わせるのにも使用できる接着剤ですね。こちらをコーキング用のガンに装着して使用します。ちょっと容量が多いので1度では使い切れませんが、使用後しっかり密閉して保存しておけば、意外と最後まで使い切ることが出来ます。
こちらのシリコンシーラントを購入する際にも1点注意点があります。シリコーンシーラントの中にはお風呂などでの使用に最適な”防カビ剤”が配合されているものがあります。その防カビ剤は生体に影響があると言われていますので、防カビ剤が配合されていないものを購入するようにしてください。
なお、防カビ剤が入っていないものでも、水槽への仕様は推奨されておりません。しばらく水を循環させて”あく抜き”すれば、経験上は生体への影響はないですが、その辺の部分は自己責任でお願いします。m(_ _)m
4.底面ろ過フィルターの自作方法
それでは底面ろ過フィルターの自作方法を紹介します。
まずは底床を通過した飼育水が「取水搭」まで流れていくための通り道となる「床下スペース」を作成します。
床下スペースの高さは、目詰まりしない程度の高さがあればよいですが、今回は床下スペースにも”ろ材”を仕込みたいと思いますので、やや高めに設定します。床下スペース高さの幅で切り出したスチレンボードを四角に囲んで床下スペースの壁を作ります。背面と左右面はガラスに沿って固定し、前面は水槽中心からやや前よりくらいに設定しました。
今回は床下スペースの天面、そして前面から飼育水が入る構造にしますので、前面用に作った壁には適当な穴を開け、そこにネットを貼り付けます。穴は十分な飼育水が入ってこれるよう出来るだけ大きめに開けます。ネットはどんな感じで固定しても良いです。(右近次の場合は、穴を開けた部分にネットを張って、周りにスチレンボードの端材を貼り付けて固定してます。)
ちなみに、右近次が使用しているネットは100均で購入した網戸用のネットです。巻き癖がついていて使いにくいので、もっと使いやすい材料がないか?100均に行くたびに物色していますが、なかなかいいものが見つかりません。。。
床下スペースの四方の壁が作成出来たら、次は天面を作りたいところですが…底床や装飾用の石などを配置した時に天面のスチレンボードがたわまないよう、床下スペース内に”張り”となるもの入れておく必要があります。床下スペースの高さに切ったスチレンボードを床下スペース内に配置します。その時、その”張り”が飼育水の流れを阻害しないよう、強度に影響が出ない程度で大きな切り欠きを入れておきます。
今回はその”張り”を3か所配置しました。水の通り道となる切り欠き形状はどんな形でも構いませんが、写真の形状をご参考にしていただければと思います。
なお、床下スペース用に使用しているスチレンボードが黒くないのは、ギバチ水槽で使用していた材料を再利用しているからです。ギバチ水槽を作成する際、カラーシート付きのスチレンボードを購入してしまったため、ボロボロになったシートを”たわし”で剥がしました。結果、表面が白っぽいスチレンボードになってしまったという訳です。(スチレンボード購入の際には注意してください。)
さて、少し話が逸れましたが、以上で床下スペースの土台が完了しました。続いて、床下スペースの手天面を作成していきます。
天面は1枚でつながったものにした方が良いので、新しいスチレンボードを使用します。大きさは土台と同じ(短手方向はやや大きめ)でOKです。
天面の材料が切り出せたら流入口となる穴を開けていきますが、天面から流入がメインとなりますので、出来るだけ大きめの穴を開けます。なお、取水搭を設置する箇所(写真奥側)については、後ほど取水搭に水が流れるための穴を開けますので、この段階では穴を開けなくて良いです。
穴が開いたら、前面側の壁と同様、すべての穴にネットを張って固定します。今回は写真のように、1枚のネットを全体に貼り付けました。
ネットを固定して天面が完成したら床下スペースの土台に乗せて出来を確認します。なお、今回は設置後のメンテナンス性を考慮して、天面は土台に接着せずに土台上に置くだけとします。よって、この状態ではプカプカ浮いてしまいますが、水槽としてセッティングする際には、天面に床土(赤玉土)を置くだけでなく飾りとなる石なども配置しますので、問題ありません。
続いて、取水搭となる部分を作成します。取水搭の四方の壁となる材料を切り出して、筒状に組み立てます。
取水搭の筒が出来たら床下スペースの上に仮置きし、外掛け式フィルターとの位置関係を確認してみます。形状的な問題はなさそうですね。
ただ、写真を見ていただいてわかる通り、取水搭の上面が開いていると外掛けフィルターから出てきた水が取水搭に流れ込んでしまいますので、取水搭上面用の蓋を作成し、外掛けフィルターのパイプを差し込む穴を開けて接着します。
続いて、床下スペースから取水搭へ水が流れるように、天面の取水搭取り付け面に穴を開けます。天面に取水搭を仮置きし、現物合わせで穴を開けます。なおこの部分に開けた穴にネットは不要です。
天面に取水搭用の穴を開けたら、天面と取水搭を接着して、底面フィルターは完成です。ただし、シリコンシーラントは乾ききる前に水で濡らしてしまうと接着が剥がれてしまいます。少なくとも1日以上は放置して、水槽内に水を入れるようにしてください。(時間に余裕があるようなら、1週間くらい放置して、翌週にセッティングするくらいがよいですね)
5.底面ろ過水槽のセッティング
接着剤が完全に乾いてしっかり固定出来ていることが確認出来たら、水槽内をセッティングしていきます。
まずは床下スペースにろ材を仕込みます。使用したろ材はカミハタのリングボールです。一般的なリング状のろ材よりも目詰まりしなさそうなのでこちらを投入してみました。(下記にリンクを貼っておきます)
更に取水搭の真下にあたる写真右のエリアには水質安定用に細かく砕いた貝殻をネットに入れて投入しました。
床下スペースにろ材を仕込んだら、天面で蓋をして底床となる赤玉土を入れていきます。赤玉土はそのまま入れてもいい気もしてますが、一応事前に軽く洗ってから投入しています。ただ、基本的には土なので洗った水が透明になることはありません。本当に表面を軽くすすぐ程度で良いと思います。
赤玉土が準備出来たら、水草や石など配置しながら、赤玉土を入れていきます。今回使用した水草は大食漢の金魚たちにも食べられることがないアヌビアスナナです。
配置の際は、まずは石や水草の配置を決めて、その間に赤玉土を入れていく感じにすると水草の根もしっかり埋め込めて良いと思います。
底面ろ過フィルターなので、床下スペースの天面がしっかり被るくらい赤玉土を入れていく必要がありますが…明らかに天面が高すぎますね。(笑) 水槽の1/3くらいが赤玉土で埋まってしまう勢いです。(まあ、ろ過能力重視ということで良しとしましょう)
セッティングが出来たら室内の水槽台まで運んで水を注入していきます。
水が注入出来たら、外掛け式フィルターを稼働させてろ過を開始し、スポンジフィルターを取り付けます。なお、私が購入したスポンジフィルターはエアが通る部分がすぐに詰まってしまうので、パイプの上面にドリルで穴を開けて、チューブをパイプ内に直接入れる仕様にカスタマイズしました。
すべてのセッティングが終えたら、バクテリアが定着して生体が飼育できる環境になるまで2週間ほど放置します。(シリコンシーラントのあく抜きも兼ねています。)
6.底面ろ過フィルター付き金魚水槽の完成
2週間後、金魚たちを投入しました。2週間で水もピカピカになりました。
今までの30cmよりは広く泳ぎまわることが出来ると思いますので、金魚たちにも気に入ってもらえたと思います。(実はここ最近、赤い金魚の元気がないよう見えたので、これをきっかけに元気を取り戻してくれると嬉しいです。)
今回作成した底面ろ過フィルターの耐久性(目詰まりせずにいつまで稼働できるか?)はこれからの確認になりますが、メンテナンスしやすいように床下スペースの天面は固定しない仕様にしてあります。何か問題が発生したら適宜改善していきます。(何かあればこちらの記事に追記します)