緑コケが酷いタナゴ水槽から”ドライろ過槽”を撤去してコケ対策としましたが、ドライろ過槽をただ撤去するだけでは、撤去した分のろ過能力が失われるだけです。そこで今回は、水槽のメインろ過フィルターとして設置している外部フィルターの性能が最大限発揮できるよう、フィルターのメンテナンス性が向上する”ダブルタップコネクター”を導入し、その構造や取り付け方法、メンテナンス作業性に対する改善効果などをまとめました。下記リンクにて動画も公開しておりますので、皆様のアクアリウムライフのご参考になれば嬉しいです。【アクアリウム】ダブルタップコネクターの導入で外部フィルターのメンテナンス性を向上させる!
目次
1.タナゴ水槽に発生した緑コケを対策する
前回の記事【アクアリウム】タナゴ水槽に大量発生している緑コケの原因と対策では、我が家のニッポンバラタナゴ水槽に大量発生した緑コケの原因を分析して対策しました。メインの対策内容は、水槽内のアンモニア除去を目的として導入した”ドライろ過槽”を撤去することです。
”ドライろ過槽”を撤去することで、水槽内の「二酸化炭素」が逃げにくくなり、水草が育つようになります。水草が育つとアンモニアから最終的に生成される硝酸塩が水草に吸収されて、図のような「窒素循環」が成立します。その結果、緑コケの養分がなくなり、コケが大量発生しなくなるというわけです。
その作戦の効果は、今後の飼育で確認していきますが…ここで懸念点が1点あります。それは、ドライろ過槽を撤去した分だけ、タナゴの糞尿(アンモニア)を分解する能力が低下することです。
そこで今回は、そのアンモニア分解能力低下を補完する対策を考えていきます。
2.ドライろ過槽の撤去で低下した糞尿分解能力を補うには?
緑コケ対策のためにドライろ過槽を撤去したタナゴ水槽ですが、ドライろ過槽を撤去した分だけ糞尿(アンモニア)の分解能力が低下してしまうため、それを補完する対策を考えていきます。
現在のニッポンバラタナゴの飼育環境は、60cmの水槽に10匹です。それほど過密な状態ではないと思いますので、下記の外部フィルター”テトラ パワーフィルターVAX60”の性能が十分に発揮できれば、水槽のろ過能力(糞尿分解能力)としては十分なはずです。
よって、今回は新たな設備を導入することは止めて、下記の対策を実施することで、水槽のろ過能力を補っていきます。
- 外部フィルターのメンテナンス頻度を上げる
- 水替えの頻度を上げる(糞尿を外部に排出する)
上記のうち、”水替え”については私が頑張ればいいだけです。気持ちを入れ替えるだけでよいので、実行にあたっての問題はありません。今後は頑張って水替えしていきます。
しかしながら、”外部フィルターのメンテナンス”に関しては、外部フィルターが奥まったところに設置されている影響もあり、現状の作業性がかなり悪い状況です。
メンテナンス性が悪いと、どうしてもメンテナンスがサボり気味になってしまいますので、可及的速やかに作業性の改善対策を実施していきたいと思います。
3.外部フィルターの構造とメンテナンスの必要性
外部フィルターのメンテナンス性を改善する前に、外部フィルターの構造などを整理してみましょう。
図が外部フィルターの概略図になります。
まず、水槽内からポンプでくみ上げられた飼育水は接続ホースから外部フィルター内に入り、スポンジフィルターで大きな異物が取り除かれます。そして、外部フィルターの中に敷き詰められたろ材エリアを通過して、再び外部フィルター外に排出されます。
構造的にはこれだけです。とても単純な構造ですね。
フィルターの使用効果としては、スポンジフィルターで異物を物理的に除去するという効果もありますが、メインの効果は、ろ材内にバクテリアを繁殖させて水槽内に放出し、バクテリアに水槽内のお魚の糞尿を分解してもらうという効果です。前述の「窒素循環」の中の「アンモニア」や「亜硝酸塩」を分解してもらう役割ですね。
したがって、ろ材の性能によっても外部フィルターのろ過能力は変わってきますが、私が使用しているろ材は下記のような一般的なリング状のろ材です。
ろ材は多孔質のセラミックなどで形成されており、その中に水を通すことによって、ろ材内に大量のバクテリアを繁殖させることが出来ます。フィルター内に入れるろ材の量が多いほど、繁殖させるバクテリア量を多くすることが出来ますので、結果的に、ろ材の量が多いほどフィルターのろ過能力が高くなります。
ただし、ろ材内にバクテリアを繁殖させるには、ろ材に水を循環させることが重要です。ろ材に水が循環しなくなると、バクテリアが繁殖しなくなって、ろ過能力が低下しますので、ろ材を定期的に洗浄してろ材に水が循環しやすくする、つまりは、ろ材の目詰まりを防止するというメンテナンスが重要となります。
4.外部フィルターのメンテナンス方法とその問題点
外部フィルターの性能を十分に発揮するためには定期的にろ材を洗浄するというメンテナンスが重要になりますが、まずはそのメンテナンス方法などを整理してみましょう。
外部フィルターをメンテナンスする際には、まず、写真のように、外部フィルターと水槽間で飼育水を循環させているるホースの接続を取り外す必要があります。
ホースは給水側と排水側の2種類ありますので、それぞれの接続部分のどこかを外してフィルター本体を水槽から切り離し、移動させることが出来る状態にするということですね。
我が家のタナゴ水槽は、DIYで自作した台(7項写真参照)の中に設置されています。外部フィルターはそのかなり奥まったところに格納されていますので、ホースの接続を外す作業はとても手間がかかります。
また、ただホースの接続を外すだけでは、ホースの内部や、外部フィルター内の飼育水が漏れてしまいます。一旦、ホースから水が漏れ始めると、その勢いでフィルター内部の水が漏れ続けてしまうので、リビングに水槽を設置している我が家では大惨事です。(水槽の撤去命令が出るかもしれません)
そこで現状は、写真のように外部フィルターを水槽よりも高い位置まで上げ、ホース内に残った飼育水や、外部フィルター内に残った飼育水をある程度排出してから外部フィルターを運んでいます。
写真は台を一時的に撤去した状態で行っている作業なので、作業もそれほど大変ではありませんが、台がある状態でこの作業を行うのはとても大変です。
従って、この辺の作業性が改善できれば、もっと頻度を上げたメンテナンスが可能になると思います。(多分)
5.ダブルタップコネクターでメンテナンス性を改善
外部フィルターのメンテナンスを行う際、作業性に問題がある箇所は整理できました。ここからは、その作業性の改善方法をまとめていきます。
結論としては、下記のような「ダブルタップコネクター」を使用します。
この「ダブルタップコネクター」は接続ホースの中間部分に組み込んで、ホースの接続取り外しを容易にしてくれるパーツです。しかも、接続を外す際に飼育水が漏れないよう「止水」することが出来るので、メンテナンス中に飼育水が漏れなくなる優れモノです。
信頼のエーハイムさんからも販売されている商品ですが…給水側と排水側の両方に設置するには値段が高すぎます。(アクアリウム用品は全体的に値段が高すぎです。)基本的には、3rdパーティーの安価な2本セット商品で十分です。(商品に当たり外れがあるのが難点ですが…)
「ダブルタップコネクター」は上写真のような3部品で構成されています。それぞれの両端にホースを接続して、それらを中間のネジが切られたパーツに組み付けて接続するという設計ですね。なら、オス・メス2部品構成で十分な気もしますが…両端を同じパーツにする事が重要だったんですかね?(個人的にはちょっと解せない構造です。)
そして、写真のようにパーツのコックを横にひねれば、ホース内からの飼育水の漏れを防止してくれます。(写真の左側のコックが止水状態です。)これは操作も簡単で素晴らしいですね。むしろ、外部フィルターの標準パーツとして付属していないといけないレベルかも?
なお、購入する際の注意点としては、ホースの径にあったものを購入することです。我が家のテトラ製外部フィルターのホースは「外形Φ16mm/内径Φ12mm」なので、それにあったダブルタップコネクターを購入する必要があります。
6.ダブルタップコネクターの取り付け方法
外部フィルターへのダブルタップコネクターの取り付け方法はとても簡単です。給水用ホース、排水用ホースのそれぞれの設置したい部分をカットして取り付けていくだけです。
ホースの取り付けは、ホース奥まで挿入して、ナット部品を締め付けて固定するのみなので、取り付けもとても簡単ですね。(写真がコネクターを取り付けた状態です)
そして、カットしたホースの両端にパーツを取り付け、それぞれを中間パーツにしっかり組み付ければ接続完了です。
接続が完了したら、写真のようにそれぞれのコック(計4か所)を開放状態にして、外部フィルターのスイッチを入れます。(止水したままだとポンプに負荷がかかりすぎて痛む可能性があるので注意です)
しっかり施工が出来ていれば(そして、商品が”はずれ”でなければ)、漏水することなくホース内に水が流れ出します。
メンテナンス時の作業、つまり、ホースの接続を外す作業も簡単です。外部フィルターのスイッチを切ったら、4か所のコックをひねって飼育水を止水し、中間パーツのネジを弛めてフィルター側、もしくは水槽側の接続を取り外すだけです。
接続を外す際には、中間パーツ内に残った飼育水が少しだけ漏れますが、極々少量なので雑巾を当てながら作業すれば問題ありません。それ以外の飼育水が全く漏れて来ないのは素晴らしいです!
給水側、排水側両方のコネクターを外せば、外部フィルターを移動させることが出来るようになりますので、洗い場まで外部フィルターを運んで分解し、内部のろ材の洗浄します。
なお、ろ材を洗浄する際には、塩素の含んだ水道水を使用してしまうと、ろ材内のバクテリアが死滅すると言われていますので、ろ材の洗浄にはカルキ抜きした水を使用してください。
なお、我が家では、雨水を自作のタンクにためて飼育水として使用しています。雨水タンクの自作に関しては、過去記事【アクアリウム】雨水の貯水タンク DIY -飼育水用にてまとめていますので、興味があれば、ご参考にしてみてください。
7.ダブルタップコネクター導入の効果
最後にダブルタップコネクターの効果についてですが…うーん。控えめに言って最高ですねww 今まで導入しなかった自分を激しく後悔です。
前述したとおり、我が家のタナゴ水槽は、写真のような自作の台の下部に収納されております。そして、外部フィルターは、露出しないよう扉の奥に収納されているため、接続ホースの取り外しや、外部フィルター取り出しの作業性がかなり悪い状態でした。
今回、ダブルタップコネクターを導入したことにより、ホースの外し作業が飛躍的に楽になり、ろ材洗浄後の設置作業も楽ちんになりました♪
しかも、作業時の漏水対策も”ばっちり”なので、今後は今までよりもしっかりメンテナンスできそうです。
今まで作業をサボっててごめんね。タナゴ君達!