車のメンテナンスで重要なオイル交換。オイル交換の2回に1回はオイルフィルターも交換した方がよいと言われていますが、長い間交換しないで放置しているとオイルフィルターが固着して外れなくなります。今回は、そんな固着が発生した際に私が対処した方法をご紹介します。オイル交換の様子は下記リンクにて動画も公開していますので、ご参考にしてみてください。【車-カーケア】#9 フォルクスワーゲン・ゴルフⅦをオイル交換してみた
目次
1.オイルフィルターの重要性と交換頻度
車のエンジンオイルは、金属で構成されているエンジン内でピストンがスムーズに往復運動を繰り返すことを助ける重要な潤滑油です。他にも、ピストンリングとシリンダーの間の気密を保つ密閉作用、エンジンから発生した熱を吸収する冷却作用、エンジン内に発生するスラッジや煤などを包み込む洗浄作用、金属の表面に膜を作りサビの発生を防ぐ防錆作用など、様々な役割のある重要なものです。
また、車が運転を続けていると、エンジンオイルは熱や酸化などよって劣化するだけでなく、エンジン内のスラッジなどの不純物が混入していきます。そのような不純物をろ過してエンジンオイルの効果を維持するのがオイルフィルターです。エンジンに不純物が堆積すると、エンジン性能を落とすだけでなく、エンジン寿命を縮めてしまいますので、エンジンのコンディションを良好に維持するためにはオイルフィルターは重要なパーツになります。
交換頻度はオイル交換2回に1回と言われていますが、オイル交換を6カ月に1回行う場合は、1年に1回しかオイルフィルターを交換しないことになります。オイル交換自体、6カ月に1回”しか”しないのですから、右近次的にはオイル交換ごとにオイルフィルターを交換しても良いくらいだと思っています。
2.市販オイルフィルターの種類
市販されているオイルフィルターには、フィルターがカートリッジ式になっていて丸ごと交換できるタイプと、車に内蔵されているフィルターのろ過する部分(エレメント)を交換するタイプの大きく2種類が存在してます。
右近次が所有しているフォルクスワーゲンのエレメントは、カートリッジ式です。(写真がフォルクスワーゲン純正のオイルフィルターです。)エンジンオイルを溜めておくオイルパンに装着されていて、取り付けはオイルパン側のネジボルトに、オイルフィルター中央部のネジを嵌めて締め付けるだけです。取り付ける場所さえ分かっていればDIYで比較的簡単に交換できます。
ろ過する部分(エレメント)のみを交換するタイプについては、DIYで交換したことがないのでよくわかりません。部品代は少し安くなるのでしょうが、交換する時に手が汚れそうですよね。
ちなみに、オートバックスなどでは「エレメント交換でお待ちの〇〇さん」みたいな呼び出しをよく聞きます。(オイルフィルター交換でお待ちの…は聞いたことがないです。)最近の車でどちらのタイプが主流なのかわかりませんが、昔はエレメント交換タイプの方が主流で、その名残ですべてを”エレメント”と呼んでいるのでしょうかね。(想像ですけど)
3.カートリッジ式オイルフィルターの固着
ここからは、右近次がDIYしたことがあるカートリッジ式のオイルフィルターについての記事になります。(エレメント交換式のオイルフィルターはDIYで交換したことがありませんので、記事に出来るほどの理解がないです。)
カートリッジ式のオイルフィルターのオイルパンとの接合面にはは、写真のようなゴム製のパッキンが配置されています。オイルフィルター中央のネジを締め付けていくことで、ゴム製のパッキンがつぶれて、密着性が確保される構造です。
オイル漏れを発生させないためには、パッキンがオイルパンとしっかり密着することがとても重要ですが、密着し過ぎて外れなくなってしまうと交換の際に非常に困ります。そこで、オイルフィルターを取り付ける際には、交換した古いオイルをパッキン表面に塗布するなどして、パッキンがオイルパンに固着しないよう考慮して取り付けます。(最初聞いた時には、おまじないかと思いましたが、これが結構重要なポイントになる気がしています。)
しかしながら、例えパッキンに古いオイルを塗布するなどの対策をしたとしても、何年もオイルフィルターを交換しないでいると、塗布したオイルの効果も薄れ、パッキンがオイルパンに固着してしまいます。更にフォルクスワーゲンの純正オイルは、走行30,000km又は2年まで交換不要と謳われているので、必然的にオイルフィルターも2年くらいは交換しない車が多いことが推測されます。また、ガソリンスタンドでオイル交換しようとしても「輸入者のオイルフィルターは交換できません」などと言われることもあるので、オイル交換してもオイルフィルターはそのままにしてしまうオーナーさんも多いのが実情ではないでしょうか?
右近次が嫁さん用に購入した”ゴルフⅦ”は、前のオーナーさんがどんな頻度でオイル交換していたか?は不明ですが、オイルパンを覆っていた下回りのカバー固定用ネジに緩み止めが塗布されていました。交換したオイルも”極めて”真っ黒でしたので、頻繁なオイル交換は行われていない感じがしましたね。その時点で嫌な予感はしたのですが…案の定、オイルフィルターは固着していて外れませんでした。
4.オイルフィルター形状と適合フィルターレンチ
カートリッジ式のオイルフィルターにはそれ専用のフィルターレンチが存在しておりますので、適合するフィルターレンチを準備すれば、例え固着が発生しても着脱することが可能です。まれにオイルフィルターのレンチ嵌合部の角がつぶれて(なめて)レンチが空転してしまうことなどがあるようですが、その場合もタオルなどを一緒に噛み込ませるなどで、何とか取り外すことが出来るようです。
しかしながら、この”専用のフィルターレンチ”というところが曲者なんです。オイルフィルターは、車の仕様によって径が何種類か存在するのですが、それに加えてレンチを嵌合させる部分の形状(角の数)が何種類も存在しています。結果、オイルフィルターの形状、及びフィルターレンチのバリエーションは、フィルター径 × レンチ嵌合部の形状 となってしまい、すべてのバリエーションに対応するフィルターレンチを揃えるのはとても難しい状況になっています。
私の知人はオイルフィルターレンチのセット(10種類くらいが入ったもの)を持っていましたが、そのセットの中に私が準備したBOSCH製のオイルフィルター”OF-VW-15″に適合するものはありませんでした。(その辺の記事はまた別途紹介します。)
5.取り外し専用のオイルフィルターレンチ
人の車や、購入したばかりの車のオイルフィルターについては、今現在、取り付けられているのが純正品とは限りませんし、どんなものが取り付けられているのか?わかりませんので、適合するオイルフィルターレンチを事前にピンポイントで準備するのは難しいです。(車の下にもぐって確認してみないと、どのようなフィルターレンチが必要か?わかりませんので。)
そこで販売されているのが、様々な形状のオイルフィルターを取り外すことが可能な”取り外し専用”のオイルフィルターレンチです。もちろん、どんな形状のものでも大丈夫という訳ではありませんが、オイルフィルター径など最低限の仕様が適合していれば、オイルフィルターの形状(角の数)などは問わず幅広く取り外すことができます。
取り外し専用のオイルフィルターレンチには、チェーンをフィルターに巻き付ける仕様のものや、フライヤータイプのものなどいろいろなものが販売されていますが、私が購入したものは、近くのホームセンターで購入できた下記です。(エンジンオイルを抜いた状態でオイルフィルターの固着が判明したので、最適なものを吟味している余裕がありませんでした。)銭形警部になった気持ちでこちらのフィルターレンチを使用して固着に対峙していきます。
6.固着したオイルフィルターの取り外し
まずは購入したエーモン製の取り外し専用のフィルターレンチを普通に使用してみますが…かなり頑固に固着しているようでビクともしません。
同じような経験をされている方の記事などを見てみると、固着にはKURE 5-56などの浸透性のよい潤滑油を塗布するとよいと書かれていたのでそれを試してみます。通常のKURE 5-56はゴムには使用できないと書かれていますが、これから取り外して捨ててしまうオイルフィルターのパッキンですので問題はありません。
10分ほど放置して、再度、先ほどのフィルターレンチを巻き付けてトライしてみますが…ダメです外れてくれる気配がありません。
ここからしばらく戦いが始まります。ゴムハンマーを持ち出してフィルターレンチをネジが緩む方向に叩いてみることにました。アルミ製のオイルパンを変形させないように気を使いながら、かつハンマーの衝撃がしっかりフィルターに伝わるよう叩き続けること10分。。。諦めかけたその時に、何とか緩んでくれました。一旦緩んでしまえばこっちのもんです。無事に古いオイルフィルターを外して新しいオイルフィルターを取り付けることができました。
写真が取り外したオイルフィルターです。この辺が取り外し専用のフィルターレンチが”取り外し専用”となってしまう理由なのですが、取り外し後のオイルフィルターは見るも無残な姿となっています。オイルフィルターの外装はスチール製だと思いますが、それほど厚い材料ではなさそうなので、銭形警部の手錠の圧には耐えることができません。フィルターの形状がボコボコになってもいいという条件であれば、取り付けにも使用できるかもしれませんが、変形でオイルが漏れてしまうリスクを考えたら、どう考えても得策ではないですよね。
結論として、私が固着したオイルフィルターの取り外しで実践した内容は下記です。
- パッキン面にKURE 5-56を浸透させる
- 取り外し専用のフィルターレンチを準備する
- 装着状態でフィルターレンチをゴムハンマーで叩く
上記で必ず取り外せるというわけではありませんが、固着発生時のご参考にしてみてください。
・固着したオイルフィルターの取り外しについて
自分で取付けするオイルフィルターであれば、それ専用のフィルターレンチをしっかり準備できます。よって、私が現在使用しているBOSCH製のオイルフィルター”OF-VW-15″については、専用のフィルターレンチを既に準備出来ておりますので、こちらのオイルフィルターが購入できる間は、固着は怖くなくなりました。ただ、車を長く乗り続けるためには定期的にオイルフィルターを交換して、固着が発生しないようにしていきたいですね。
なお、オイルフィルターがどうしても外れない場合は、オイルフィルターにドライバーを貫通させてそれをハンドルにして回すなどという荒業もあるようですが…私にはそんな荒業を繰り出す勇気がないです。^^