タナゴが産卵時期を迎え、我が家のニッポンバラタナゴもオスがドブガイの上で縄張りを主張し、メスの産卵管がかなり伸びてきました。今回は、メスの産卵管が最高に伸びきったところを見計らって産卵行動を観察し、二枚貝へ産卵管を挿入する瞬間を撮影しましたので、その様子などを紹介します。下記リンクにて動画も公開していますので、興味がある方はご視聴してみてください。
1.絶滅が危惧されるニッポンバラタナゴ

ニッポンバラタナゴは古来から日本に生息する在来種です。産卵時期になるとオスがバラ色の婚姻色を身にまとう非常に美しいお魚で、鑑賞魚としても非常に人気があります。
しかしながら、近年では外来種のタイリクバラタナゴに生息エリアを奪われ、わずかに残った個体もタイリクバラタナゴと交雑し、絶滅が危惧される魚種でもあります。熱帯魚屋さんで見かけるニッポンバラタナゴも、大分などの一部の地域のものしか見かけませんので、生息地はとても狭まっているのだと思います。
既に私が小さい頃の時点で、私の田舎の周り(茨城県)にはタイリクバラタナゴしかいませんでした。ニッポンバラタナゴの存在自体も大人になってから知りましたが、非常に希少な魚種だと思いますので、絶滅しないように何とか保護していきたいですね。
2.ニッポンバラタナゴの産卵行動とその希少性
ニッポンバラタナゴに限らずタナゴの産卵行動は、メスが二枚貝に産卵管を突っ込んで貝のエラに卵を産み付け、オスが入水管に向かって精子を噴射し、貝の中の卵を受精させるというものです。
まず、メスの産卵管が伸びてくると、力の強いオスが産卵床である二枚貝の上でナワバリを主張し始めます。近づく者があれば、ものすごい勢いで追いかけて追い払います。(タナゴは泳ぎがとても素速いです)

一方、メスは産卵の準備が整うと、物陰から貝を様子を伺うようになります。それに気が付いたオスがメスを貝に誘導し、体を小刻みに震わせてメスに産卵を促します。(写真では後ろのオスが小刻みに震えています。)
促されたメスは、しばらく何かを考えこみながら、意を決すると産卵管を貝に挿入し、貝のエラの中に卵を産み付けます。(その後、オスが精子を噴射して受精します。)
ただし、メスが産卵行動を起こしているように見えても、実際には産卵管を貝の中に挿入していなかったりすることも多く、実際に産卵する様子は、根気強く観察していても目の当たりにすることが難しいです。今までも”偶然”瞬間を観察できたことはありましたが、改めてその瞬間を抑えようとスタンバイしている時に限って、なかなか産卵してくれないです。(気配を悟られているのかもしれませんw)メスが二枚貝の前でためらっている間に、他のオスが近づいてくることで、産卵行動をやめてしまったりもするので、その瞬間をとらえるのは本当に難しいです。
3.ニッポンバラタナゴの産卵管挿入の瞬間を激写
今回は、メスの産卵管が伸びきっていて、今にも産卵しそうな状態であることが確認できたので、ビデオカメラを設置して撮影を行いました。(ある程度の長い時間、定点撮影をしていないとその瞬間は捉えられないという結論に達しましたw)
結果、二枚貝に焦点を合わせた定点カメラを設置して産卵行動の様子を撮影し、3時間超の撮影を行って数回の二枚貝への産卵管挿入が撮影出来ました。

写真がその産卵管挿入の瞬間です。映像で見ると長く伸びた産卵管が吸い込まれるように素早く貝の中に入っていき、メスが一瞬踏ん張るようなしぐさが確認できました。
もちろん、卵が実際に排出されたか?までは確認することはできませんが、直後にオスが精子を噴射していましたし、産卵に関与していなかったオスも慌てて精子の噴射(追射?w)を試みていましたので、産卵はちゃんとできているのではないかと思います。(改めて見るとやっぱり素敵ですね。)
なお、撮影出来た映像の詳細は、下記リンクの動画にて確認できます。オスとメスの産卵管挿入までの一連の動作が確認できますし、スロー再生していただければ、産卵管挿入の瞬間もしっかり確認いただけます。(メスが二枚貝に産卵管をがっつり挿入する映像は、4:46 と 5:56 です。私が人生初Upした動画になりますので、作り込みは雑ですが。。。)
・ニッポンバラタナゴの産卵行動を激写した感想
今回は長時間のビデオ撮影にて、ニッポンバラタナゴの産卵の様子を捉えることができました。
メスが産卵すると周りにいるオスのタナゴにもそれがわかるんですかね?産卵に関与していないオスまでもが産卵された貝に突進して受精を試みるなど、非常に興味深い行動が確認出来ました。
もし、産卵時の受精が不十分であれば、あとから突進したオスの精子が受精することになるので…冷静に考えるとちょっと”えぐい”ですが、強い個体のDNAより、そんなに抜け目のない(ある意味、環境に順応できる)個体のDNAが、より後世に受け継がれていくのかも?なんてことを感じたりしました。
また、ニッポンバラタナゴの産卵を確認しただけでは意味がありませんので、ドブガイを死なせることなく飼育して、より多くの稚魚が浮上できるよう頑張ります。
ニッポンバラタナゴの今シーズン1匹目の稚魚が浮上する様子は、下記リンクの別記事、及び、動画でも紹介していますので、興味がある方は是非ご一読、ご視聴してみてください。
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