我が家には庭側に屋外コンセントがありません。庭で屋外飼育しているメダカやタナゴがいますが、エアレーションができていませんので、夏場(の夜間)は酸欠が心配です。そこで今回はお庭のお魚たちのために、エアレーションを兼ねたろ過ポンプを常時稼働させるべく、ソーラーパネルによる発電、及び蓄電システムをDIYしたので紹介します。改善点はてんこ盛りですが、皆様のご参考になれば嬉しいです。(その後の更新内容を別の記事【アクアリウム】ビオトープ用ソーラーパネル蓄電システムの更新にてまとめています。合わせてご参考にしてみてください。)
目次
1.我が家のビオトープ(屋外アクアリウム)
我が家では室内水槽でタナゴ類を飼育しておりますが、自然採取したヤリタナゴが元気すぎてエビ類との同居に支障が出たので、お庭にヤリタナゴさん専用ビオトープを設置してお引越ししてもらいました。(写真はヤリタナゴ用ビオトープです)
また、熱帯魚屋さんで販売していたメダカが可愛くて衝動買い。しばらくは室内飼育していたのですが、メダカはやはり屋外で飼育した方が元気に育つと聞きますし、メダカは横から鑑賞するより上から鑑賞した方が可愛いことに気づいてしまったので、メダカにもビオトープを設置して屋外飼育しています。
2.ソーラーパネルポンプは酸素不足の夜止まる
我が家の屋外にはタナゴとメダカの2つのビオトープを設置していますが、我が家の庭には電源コンセントがありませんので、ビオトープにエアレーションをしてあげることが出来ていませんでした。
そこで、最初は発電量3.85Wの小さなソーラパネルとポンプのセットでエアレーションを兼ねたろ過システムを稼働させていました。ソーラーパネルで発電した電気をポンプが直接消費するシステムなので、稼働できるのは陽が当たる日中のみです。
しかしながら、日中は水草が陽の光に当たって酸素を放出してくれますので、エアレーションがなくてもある程度の酸素が供給されます。一方、陽が当たらない夜間は水草も酸素を消費しますので…酸欠のリスクが高いのはむしろ夜間です。夜間にエアレーション出来なければ意味がなさそうです。
そこで今回は、夜間もお魚たちが快適に過ごせるよう、日中に発電した電力を蓄電し、夜間にもポンプが稼働できるソーラー発電設備を導入することにしました。
3. ソーラーパネル発電・蓄電システムの検討
ソーラーパネルで発電した電力を夜間使用するためには、日中に発電した電力をバッテリーに蓄電する必要があります。その設備に最低限必要な部品は下記なので、それぞれの仕様を検討します。
・ソーラーパネル ・チャージコントローラ ・蓄電用バッテリー
まずソーラーパネルの能力を決めましょう。稼働させたいポンプはタナゴ用とメダカ用の2基です。メダカ用には既存のソーラーパネル用ポンプ(7V・160mAとの記載なので1.12Wという感じでしょうか?)を使用し、タナゴ用のポンプは追加購入します。
初めてのソーラーシステム導入で、どのくらいの能力が必要なのか?いまいちピンときませんが、バッテリーは電圧12Vの製品を購入することにして、12V/24V兼用のチャージコントローラがセットになっている下記のソーラーパネル(20W)を購入することにしました。
なお、チャージコントローラはバッテリーからソーラーパネルへの電気の逆流を防いだり、バッテリーへの過充電を防いでくれたりする部品です。
バッテリーについては12Vの製品群の中で大きさと価格で何となくこんな感じかな?と、鉛バッテリーの中から12V・12Ah表記のものを購入しました。
タナゴ用ポンプはバッテリーを12V仕様としたのでそれに合わせて12V仕様(定格4.8W表記)のものをAmazonで購入します。(小型ポンプはAmazonさんが安いですね。Made in CHINAなので、当たり外れがありそうですが。)
4.ソーラーパネルと蓄電用バッテリーの接続と設置
今回はすべての設置の設置が屋外になりますので、まずはバッテリーやチャージコントローラを格納するBOXを準備します。
例え軒下に設置したとしても、台風などで横殴りの雨が降った時にはBOXに雨がかかります。上部(蓋側)から雨水が侵入しないような、蓋に深さのある写真のようなコンテナボックスをホームセンターで購入しました。
また、BOX内で発生する熱を放出する必要がありますので、BOXのパーツ格納部よりも低い位置に、ドリルで通気口を開けていきます。合わせて、箱内に雨水が侵入してしまった場合に、その雨水がちゃんと抜けていくよう、底面にも目いっぱいの穴を開けました。
側面のケーブルを出し入れする位置には、穴を開けて雨水侵入防止のゴムブッシュを付けます。(ケーブル出し入れ用穴は、ケーブルを水がしたたり落ちるときの動きを考えて、BOX内に格納する部品よりも下になる位置に開けます。)
BOXが準備できたら、木材を使用してBOX内に部品を配置する骨組みを作成していきます。底面の構造は”すのこ状”にして高床式にしました。そこに電池設置スペースを作成し、その上にチャージコントローラを固定出来る板を取り付けます。(箱を開けたときにコントローラの表示が見やすいように、”板”には多少の角度をつけました。)
ベースができたらBOX内に電池とチャージコントローラをセットします。電池は作成したスペースに置くだけ、チャージコントローラは板にネジで固定しました。
部品が固定出来たら、バッテリーとチャージコントローラーを接続し、チャージコントローラーの動作を確認します。
また、電池とチャージコントローラを接続するケーブルのプラス側には、過電流が流れたときに電気を遮断できるようなヒューズを取り付けました。(安全第一です。)
続いて、ソーラパネル側を施工していきます。口コミを見ると防水性に難があるという書き込みが散見されましたので、まずは防水性を高めるため、部品の合わせ面すべてに防水コーキングを施します。
また、パネルハンドリング時にコードの接続部に負荷がかからないよう、コードを迂回させて引き回して本体裏面にしっかり固定しました。(写真参照)
パネルを固定する土台はDIYで余った金属パーツを組み合わせて作成しました。ほとんどありもので作成しましたが、パネルの角度が調整できる土台を作成することができました。(夏と冬で設置角度も変えられます。)
メダカ用のポンプは定格7V仕様ですが、チャージコントローラのUSB 5V電源を使用して稼働させることにしましたので、古くくなったUSB充電用コードをカットしてポンプのケーブルと接続して使用します。
また、せっかくケーブル同士を接続するのであれば、USBを抜き差しししなくてもポンプをOn/Off出来るようケーブル接続部に上写真のようなスイッチをつけました。
タナゴ用のポンプは12V仕様のものを購入したのですが…後述の理由で5Vで使用することになりました。メダカ用ポンプと同様にUSBコネクタを接続します。
また、位置的にメダカ用ビオトープはバッテリーBOXの真下になりますが、タナゴ用ビオトープは少し離れたところに位置しています。ポンプのコードだけではバッテリーBOXまで届かないので、ケーブルを延長して接続する必要があります。
そこで、今後複数の機器を接続することも視野に入れて、タナゴ用ビオトープの近傍に防水仕様のジョイントボックスを設置し、その中に電源が分岐できる端子を設置して接続しました。(写真参照。接続点は4個です)
各部品の加工が終了したら、チャージコントローラーに各部品のケーブルを接続していきます。
チャージコントローラーには、下面左側にソーラーパネル用端子、真ん中にバッテリーの接続端子、右側に12V出力用端子が設けられ、正面右側にはUSBの5V端子が2口ついています。
ケーブルの接続には順番があり、ソーラーパネルを接続する前にバッテリーを接続しないと充電が開始されない仕様のようです。バッテリーを接続してからソーラーパネルのケーブルを接続させることで、無事充電が開始されました。
続いてUSBに各ポンプのケーブルを接続して動作を確認します。
メダカ用ビオトープでは、写真のような、上部30cmほどに設置したろ過装置へ水を送り込むためにポンプを使用します。5Vではパワーとしてギリギリのようでしたが、何とか濾過用ポンプとして機能することが確認できました。結果的には、パワーが弱めでメダカにはちょうど良い水量ですww
タナゴ用ビオトープでは、ポンプで汲み上げた水を上部から落とし込んでエアレーション効果を持たせているだけです。汲み上げる高さも15cm程なので、5Vでも問題なく動作しました。(後ほど滝レイアウトに改造予定です。完成したら記事にします。)
5.ソーラーシステムの課題:電力量バランス
今回はソーラー発電の知識がないまま、何となくネットで情報を集めて下記仕様にものを準備して対応しました。(部品の選択が適当過ぎました)
- ソーラーパネル:20W MAX18V・1.11A
- バッテリー:12V・12Ah(144Wh) *20時間率
- メダカ用ポンプ:7V・160mA(・1.12W) *5V使用時0.57W程度
- タナゴ用ポンプ:12V(・400mA)・4.8W *5V使用時0.8W程度
まず、メダカ用のポンプを5V、タナゴ用のポンプを12Vで使用する前提で、一日の消量電力量を計算すしてみましょう。
メダカ用ポンプはUSB電源5Vを使用するので0.57W程度ですが、タナゴ用ポンプは12Vで使用すると4.8Wもあります。消費電力の合計は5.37Wとなり、24時間稼働では128.88Whの電力量を消費する計算になってしまいます。
対して、バッテリーの蓄電容量は144Whで、実効容量を80%とすると実容量は115.2Whとなるため、使用量と蓄電容量バランスは下記になります。
一日の使用電力量:128.8Wh > バッテリー実容量:115.2Wh
ソーラーパネルが晴れの日に頑張って満充電にしても、雨が続けばすぐにバッテリーが空になってしまうバランスですね。実際、日照が少ない日の翌朝にバッテリーが空っぽになることが続きました。また、そもそもバッテリーは空っぽになるまで使うと劣化が進みます。その辺を事前によく計算してもっと大容量のバッテリーを購入すべきでした。
上記のような状況から、タナゴ用ポンプについては、12Vで稼働させるのを早々に諦め、USB電源の5Vで駆動させることとしました。ポンプとしてのパワーは大幅にDownしましたが、何とか(弱々しく)稼働してくれています。
結果として、12Vのバッテリーを購入したのに、すべての機器をチャージコントローラーで5Vに降圧して使用するというなんとも悲しい結果になってしまいましたが、2つを5Vで使用する前提であれば、一日の消費電力量は33.6Wh程度になります。降圧によるロスなどもあるでしょうが、よほど雨続きにならない限りは何とかバッテリーを空っぽにせずに稼働できるバランスになりました。
次にソーラーパネル(20W)ですが、晴れの日の平均充電電圧を15Vとすると、10時間充電できた時の発電量は、13.8W×10H≒138Whとなり、タナゴ用ポンプを12Vで駆動した前提でもなんとか発電量が上回ります。
しかしながら、曇りや雨の日の充電電圧は11V以下ですので、一日の発電量は、7.5W×10H=75Wh程度となり、雨が2・3日続けばバッテリーが空になるバランスです。これでは各ポンプを5Vで駆動せざるを得ないですね。(事前にバランスをしっかり計算すべきでした…)
・システム設置後の感想
今回は、事前の検討不足のために、12V仕様のバッテリー、及びポンプを購入したのに5Vで使わざるを得ないという失態を犯してしまいました。まずはやってみる!というのも必要ですが、理系出身の元エンジニアとして、もうちょっと数値的なものを計算して対応すべきだと深く反省しました。
また、バッテリーを空っぽにすることが続いてしまった影響でバッテリーの劣化が激しそうです。しばらくは、だましだまし今の状態で使用していきたいと思いますが、今後はソーラパネルを買い増しして発電量を増やし、バッテリーをより容量の大きいものにするなどして、システム全体をバランス良く改善していきたいと思います。
なお、ソーラーパネルを複数設置する場合は、パネル間で電気の逆流を防止するダイオードを使用するなど、いろいろとお勉強しないといけない内容がありそうですが、今度はしっかり準備して対応します!
・追記:システム更新状況
今回のソーラーシステム導入にあたっては、繰り返しの放充電に強いバッテリーを購入したつもりでしたが…購入した”Longバッテリー”は繰り返しの放充電に”比較的”強いが通常の鉛バッテリーのようです。(バッテリーが空になると急激に性能が劣化します。)
このような用途には、”ディープサイクルバッテリー”という、より放充電に特化したバッテリーを使用した方がよいようなので、後日下記のバッテリーを購入し直しました。
また、ソーラーパネルとセット購入したチャージコントローラが、ALLPOWER社製コントローラーのコピー品であることがわかりました。コピー品だから品質が悪いというわけではありませんが、表示できる内容などが異なるようなので、後日下記のALLPOWER社のチャージコントローラーを購入し直しています。
上記の更新内容を、【アクアリウム】ビオトープ用ソーラーパネル蓄電システムの更新 にて紹介していますので、ご参考にしてみてください。