【アクアリウム】雨水の貯水タンク DIY -飼育水用

雨水 貯水タンクDIY アクアリウム飼育水用

都会のように井戸水が入手できない環境でアクアリウムを趣味にすると、飼育水には市販のカルキ抜き剤を使用した水道水、もしくは汲み置きしてカルキが抜けた水道水を使用する必要があります。今回はいつでも飼育水が入手できるよう、アクアリウム用に雨水の貯水タンクをDIYしましたので紹介します。

1.都会アクアリウムでの飼育水の重要度

私は田舎者なので、実家には日常生活に利用する市の水道とは別に、井戸水を汲みあげた水道が庭に設置されていました。深さのある井戸ではないので、検査の結果、飲料水には適さないという結果が出たようですが、家に上がる前に汚れた足を洗ったり、飼っていた犬をシャンプーしたりと、飲み水以外で色々と重宝していました。そして、近くの川でお魚を採取してきた際には、その場で蛇口をひねるだけで簡単に飼育水を確保することができました。しかしながら、この大都会東京ではたとえ西部の田舎でも、自宅に井戸があるお家はかなりレアです。

また、お魚の飼育に使用しているフィルターなどを清掃する際には、カルキを含む水で洗ってしまうとマット内に定着した微生物が死滅してしまいます。よって、アクアリウムでは飼育水だけではなく、メンテナンスにもカルキを含まない水を使用する必要があります。カルキを含まない水をいつでも入手できると非常に便利です。

そこで今回は、お庭に井戸を掘って井戸水を…というのは狭い庭では現実的ではないので、カルキを含まない水である「雨水」がいつでも入手できるような環境をDIYしていきたいと思います。

2.雨水の取水方法-カクダイ 雨水取り出し継手

自宅で雨水を効率よく取水できる場所と言えば…そうです。雨どいです。屋根に降り注いだ雨は、屋根を流れ落ちて雨どいに集まり、そこから下水に流れていきます。この雨どいに集まった雨水を取水することで効率的に雨水を確保できます。

具体的な取水方法は、雨どいを流れる雨水を取水できる製品が各メーカさんからいろいろと販売されていますのでそれらを雨どいに取り付けて使用します。今回は、丸型・角形両方の雨どいに対応できるカクダイさんの下記の継手を準備しました。(設置も簡単です)

雨水取り出し継手用に雨どいをカット

まず、雨どいを100mm程度、のこぎりで切り落とします。(ちょっと勇気がいる作業ですね。)切り取る位置は、取水後の水が重力で貯水タンクまで流れていくように手の届く範囲で上方とし、地面から2m付近としました。またカットする位置は、雨どいが壁に固定されている位置をよく見て、バランスを考えてカットします。

雨どいがカットができたら、カットした部分に上部品と下部品をそれぞれ嵌め込みます。下部品が雨どいにしっかり固定出来たら、上部品を下げて下部品に合体させて、開いた部分に横から別部品を嵌め込んで設置完了です。

カクダイ製 雨水取り出し継手の取り付け方法
カクダイ製 雨水取り出し継手の異物除去ネット

なお、最後に組み立てた別部品の内部は写真のようになっております。外側の網目部分を通って大きなゴミが取り除かれた水が取水され、真ん中を通った残りの水は真ん中の穴からそのまま雨どいに流れていく構造です。(真ん中を塞げば取水率を100%にできますが、雨が降れば水はすぐにたまるので、その必要はないでしょう。)

また、取水した雨水を送り込む流路には、継手の出水口と径が一致した洗濯機用の排水ホース(2m)を流用し、結束バンドで固定しました。洗濯機用のホースはジャバラ状になっていて自由に曲げることができますので、後述する貯水タンクにスムーズに水が流れるよう調整することができます。

3.雨水の貯水タンクをDIY-収納ボックスを改造

雨水の貯水タンク 収納ボックスを改造してDIY

続いて、雨水の貯水タンクを準備します。

貯水タンクは専用のものがいろいろと販売されていますが、すべてそこそこのお値段がします。右近次的には「ただ水を溜めるだけなんだから、水が漏れなければ大丈夫でしょ?」と思ってますので、DIYにそんな高価なものは購入できません。そこで専用の貯水タンクを購入するのはやめて、お庭で長年使用していた大型の収納ボックスを流用することにしました。しかしながら、それを嫁さんに伝えると「そんな見た目の悪いものをお庭に設置するのはやめて!」と苦情が出てしまいました。そこで、室内から見えてしまう蓋の部分を100均のスプレーで塗装し直して外観を綺麗にして対応しました。(それで納得してもらえたかは不明…)

雨水の流入部分には、蓋にのこぎりで穴を開けて、100均で買った蓋付きのボックスを嵌め込みました。(ボックス内には後述する簡易的なろ過機能を持たせます。)そして、そのボックスの蓋に穴を開け、洗濯ホース用のジョイント(緑部分)を嵌め込んで流入口とします。また、嵌めこんだボックスの底にはドリルでたくさんの穴をあけて、シャワー状の水が貯水タンク内へ流れ込む構造としました。

貯水タンクの雨水流入口 濾過槽

ボックスの中には、水のごみや汚れを除去するためのウールマットを敷き詰めます。(写真はしばらく稼働したあとの状態になりますが、屋根をつたって流れてきた水だけあって、ウールマットが結構汚れてますね。)その下には水質安定用に100均の牡蠣殻を配置しました。気休めかもしれませんが、牡蠣殻は酸性雨対策です。(少しでも酸性度が中和できればと投入しました。)なお、牡蠣殻はタンク内にも5個ほど投入しています。

雨水貯水タンクのオーバーフロー

また、雨が降り続いて貯水タンク内に水が流入し続けると貯水タンクが溢れてしまいます。それを防止するために、オーバーフローで水が排出されるように加工していきます。ネジが切ってあるL字型の塩ビパイプ(雄ネジと雌ネジのセット)を準備し、タンク水量のMAXとなる位置にL字型塩ビパイプの先端が来るように貯水タンクの側面に穴を開けて固定します。その際、内・外両側の塩ビパイプに円状のゴムパッキンを挟み込んで防水します。(ゴムパッキンは内側だけでもよいかもしれませんが、私はいつも両側に挟むようにしています。)また、L字型塩ビパイプの先端(排水口)は水がより流れやすくなるようにすり鉢状に加工しました。

雨水貯水タンクのオーバーフロー水の流路 塩ビパイプ

排出された水は塩ビパイプをつないで流路を作り、流したいところまで送り込みます。貯水タンクのすぐ下には、毎年ゴーヤでグリーンカーテンを作っている花壇がありますが、軒下になっていて雨が当たりにくい。。。そこで、オーバーフローした水を、その花壇に流れ込むように加工しました。(写真にもゴーヤの新芽が映ってますね。毎年、種を植えなくても前年に零れ落ちた種から勝手に芽が出てきます。彼らが少しでも潤えばと。)

なお、塩ビパイプの固定には、塩ビ専用の接着剤を使用します。接着剤をマニキュアみたいな刷毛でパイプ接着面に塗り、パイプを差し込むだけで瞬時に接着出来ます。本当に”瞬時に”接着してしまうので、パイプの向きに注意して接続する必要があります。

また、花壇上では”T字型”の分岐管をつないで、真横に配置するパイプを左右につなぎます。そのパイプの両端はキャップで塞ぎ、下面にはドリルで穴を開けて、シャワー状の水が花壇に注ぎ込むように加工しました。

最後に貯水タンクに溜まった水を取り出す部分を施工します。今回はホームセンターでホースが取付できる散水栓を購入して取り付けます。

雨水貯水タンクの蛇口 散水栓

散水栓の取り付け方法は、塩ビパイプをパッキンで挟み込んで固定した方法とほぼ同じです。タンク側面の出来るだけ底に近い部分に、散水栓ネジ径と同じ径になるように穴を開け、その穴にネジ部を挿入し、適合するナットを準備して貯水タンク側面を挟み込んで固定します。その際、内・外両側には円状のゴムパッキンを挟み込んで防水します。さらに散水栓のネジ部にはシールテープと呼ばれる柔らかい白いテープを巻きつけてからナットを取り付ければ完璧ですね。(雌ネジが切ってある水道管に蛇口をつけるときなどは、ネジ部にシールテープを必ず巻きます。今回は両側のパッキンで防水しているのでシールテープは必要ない構造ですが、念のためシールしておきました。)

以上で、貯水タンクの施工は完了です。

4.降り始めの汚れた雨水を除去する機構

降り始めの雨は、前回の雨からその時点までに屋根に付着した汚れを洗い流します。そのため、雨の降り始めに流れてくる水はとても汚れていますので、降り始めの雨水だけを取り除いて貯水タンクに流れ込まないようにする必要があります。(今回はウォールマットを使用して、タンクの流入口でろ過する構成としましたので必須ではないかもしれませんが、アクアリウム飼育水に使用する前提なので万全を期します。)

雨水貯水タンクの降り始めの汚れた雨水除去

汚れた水の除去は、取水部とタンクをつなぐ洗濯用ホースの中間で行います。ホースをタンク手前で一度カットし、洗濯用ホース内径と合うT字型の塩ビパイプでつなぎます。接続向きは写真のとおりで、貯水タンクに向かうホースが直線状になり、分岐側が下向きになるように接続します。その分岐側にホースをつなぎ、そのホースの先端に栓をします。そうすることにより、降り始めの雨はT字管を通るときに先に分岐側にながれ、分岐側のホースが満杯になった時に初めて貯水タンクへ水が流れます。よって、分岐側のホース長さ分だけ降り始めの汚れた雨水を除去できるようになります。(ホースが長ければ長いほど取り除ける水量が大きくなります。)

雨水貯水タンクの降り始めの汚れた雨水 水抜き部

なお、右近次のケチケチDIYでは、ホースの栓は100均で購入できる散水シャワーヘッドで代用しました。雨が降った翌日には、シャワーヘッドから花壇などに散水することで溜まった(除去した)降り始めの水を抜きます。そうすることで、次に雨が降った時には、降り始めの雨水がまたこちらのホースに溜まるようになります。

・貯水タンクを設置した感想

やはり、使用したい時にいつでもカルキ抜きの水が用意できるのは非常に便利です。各水槽の足し水にも使用していますが、特に問題は発生していません。井戸水が容易に準備できるアクアリストさんには無意味な設備ですが、汲み置きによるカルキ抜きで対応されているアクアリストさんは是非設置を検討してみてはいかがでしょうか?

失敗した点としては、貯水タンク用に使用した収納ボックスが少し貧弱だったことですかね。。。雨が降って雨水が満杯になったら、側面がパンパンに膨れ上がってなんともだらしのない貯水タンクとなってしまいました。(見た目を嫁さんに注意されていたのに…)とりあえずは側面に板を当てて、バンドで締め付けて”矯正”して使用していますが、強度を考えてもっと頑丈な収納ボックスを新規購入すべきでした。その辺は、今の貯水タンクがだめになったら改善していきたいと思います。(他のパーツがすべてそろっているので、タンクの交換は比較的簡単だと思いますので。)

それと…昨今の都会の川では雨がたくさん降ると、川が急激に増水する傾向があります。これには雨どいに集められた雨水がダイレクトに下水に流れ、それがダイレクトに川に流れてしまうことが一つの要因になっていると思います。焼け石に水かもしれませんが、少しでも自宅の庭に水を吸収させてあげられれば、ちりも積もればで、急激な増水は収まるのでは?なーんてことを考えたりした今日この頃です。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)