我が家では種類の異なる2本のオリーブの木を育てていますが、その片方がオリーブアナアキゾウムシの被害にあって枯れかけています。完全に枯れる前に、なんとかその苗を増やしたいのですが、そのオリーブの木は過去に何度も挿し木に挑戦して、発根出来たことが一ありません。そこで、今回はオリーブの太い枝を挿し木する”太木挿し”にトライしてみました。果たして無事、発根してくれたでしょうか?なお、個人的に今後のオリーブの挿し木は”太木挿し”一択です。皆様のガーデニングライフの参考になれば嬉しいです。
1.オリーブは挿し木の難易度が高い?

我が家では、実を収穫することを目的として、お庭でオリーブの木を育てていますが、オリーブは自家受粉し難いと言われているため、写真のとおり2種類の品種(2本の木)を育てています。
しかしながら…それぞれの品種は忘れてしまいましたが、今までは、どちらの木も実をつけたことはありません。(早く実を収穫して、塩漬けやオイル漬けにしてみたいので、結実させるコツがあれば教えてください。。。)
また、オリーブは新芽が伸び放題になって、樹形がすぐに乱れてしまうため、定期的な剪定が必要になります。我が家でも、年に2回くらいは強めの剪定を実施する感じでしょうか?

そして、その剪定枝をそのまま捨ててしまうのは少々勿体ないので、我が家では、それを挿し穂にして、写真のような”挿し木”にトライしています。しかしながら、発根率が非常に低く、成功したのは過去に数株のみです。
なお、写真は葉数をそのままにしてトライした時の写真ですが、葉数を減らして水分の蒸発を抑える対策などを実施しても、発根率は変わりませんでした。
ただ、何度かトライを重ねる中で、用土に深めに挿した挿し穂でのみ、発根が確認できたことから、以降は、挿し穂を深めに挿して、腰水気味(受け皿に常に水を張った状態)で挿し木を行うことで、何株かを発根させることに成功しています。
しかしながら、品種によっても発根率に差があるようで、2本あるうちの1本のオリーブ(西側)では何株かの発根に成功していますが、もう1本のオリーブ(東側)では一度も挿し木に成功したことがありません。
結論としては、バジルやローズマリー、トマトやレモンなどの挿し木は比較的簡単ですが、オリーブの挿し木は少々難易度が高いと言うのが私の見解です。(過去に挿し木にトライした内容は下記リンクの記事にてまとめていますので、ご参考にしてみてください。)
2.オリーブアナアキゾウムシの被害
2種類の木を並べて栽培しても、なかなか実を付けてくれない我が家のオリーブの木ですが、いつからか、その内の1本のオリーブ(東側)の葉色がどんどん悪くなってきました。

そして、次第にどんどん葉を落としていくようになり、最終的には写真のように葉がほとんどない状態になってしまいました。(写真の左側が東側です)
春になればきっと回復してくれる…と、見守ってきましたが、春を迎えても新芽が出てくる様子がありません。(写真は4月中旬ごろのオリーブの様子です)
春になっても回復全く見られないということは、オリーブを枯れさせる原因があるということです。原因は何か?と良く観察したところ…原因はすぐにわかりました。

写真は様子がおかしいオリーブの根元の様子ですが、よく見ると穴がたくさん開いています。これは、オリーブアナアキゾウムシの仕業で間違いないですね。。。
オリーブアナアキゾウムシは、名が体を表していますが、オリーブの幹に穴を開けてダメージを与える甲虫です。活動時期は4月~10月くらいで、幹に穴を開けてその中に産卵します。孵化した幼虫は、穴の中で幹を食い荒らし、2か月ほどで成虫になるんだそうです。
幼虫は成長の過程でおがくずのような糞を穴から排出するので、それを注意深く見ていれば、被害を受けていることは分かるはずですが。。。そういえば、おがくずのようなものが根元にたくさん付いていたかもなあ。知識がないというのは致命的ですね。(ごめん。オリーブ。)
とりあえずは、手持ちの殺虫剤を穴に吹き付けておきましたが…果たして、ゾウムシのダメージを受けたオリーブの木は復活してくれるでしょうか?
その後、1か月ほど様子を見守りましたが、状況が好転する気配がありません。「座して死を待つ」わけにはいかないので、痛んでいる部分を全て取り除いてみたのが下写真の状態です。

樹皮の内側は穴が開きまくってスカスカになっていましたが、おがくず状のフンなどの異物は全て取り除くことが出来ました。
この状態で幹の中心部がしっかり生きていてくれればいいのですが…基本的に水や養分などを行き来させるのは、表皮に近い部分だと言われています。表皮に近い部分を全て失ってしまった状態で、どれだけ頑張ってくれるでしょうか?
そして、不幸なことに、今回オリーブアナアキゾウムシの被害を受けた東側のオリーブの木は、過去に一度も挿し木に成功していないオリーブの木です。なんとか枯らせることなく復活させてあげたいですね。(その後の様子は、別途記事にしますが、本記事を書いている9月時点で復活する様子はありません。。。)
3.オリーブを太木挿しする
オリーブアナアキゾウムシの被害に合ってしまった東側のオリーブの木ですが、現在の状況は風前の灯です。これから復活してくれる可能性もありますが、何か他の対策も検討して、その生命を繋いでいきましょう。
植物の生命を繋ぐ方法としては、思い浮かぶのは「挿し木」や「取り木」ですが、今までそのどちらのトライにも失敗してきました。しかしながら、通常の「挿し木」は新芽に近い”成長が著しい部分”を挿し穂にしますが、先日読んだ記事では、オリーブに限っては「太い枝」を挿し木にした方が発根率が高いとか?

そこで今回は、ほとんど葉が落ちてしまった太めのオリーブの枝を電動チェーンソーで切断して、それを挿し穂として使用していきます。
なお、枝に水を掛けた状態で、枝が緑掛かっていれば、その枝はまだ生きていると推測できます。しかしながら、枝が茶色く変色してしまっている所は、既に枯れてしまっているので、発根する可能性はないです。
我が家のオリーブの状態は、枝の先端には茶色くなっているエリアもありますが、中段より下はまだ緑掛かっていますので、その枝の大部分はまだ枯れていないと思われます。
残る枝のバランスも考えながら、挿し木に使用する太い枝をカットしていきます。

カットした太木は写真のとおりです。枝分かれしている部分は特にパワーを蓄えている部分で、発根する確率も高くなるとのことなので、出来るだけ枝分かれした部分が残るように、カットを行いました。
太木をカットしたら、発根を促すために切断面をメネデール液に1時間ほど漬けておきます。
このメネデールは効果がないと言われてしまうことも多いですが、まあ、やっておいて害がないものであれば”とりま”やっておこうという判断ですねw
メネデールに漬けたら、早速、挿し木用の用土に挿していきますが、使用する用土は常に湿らせておく必要があるため、肥料成分が含まれた培養土だと腐ってしまいます。よって、挿し木に使用する用土には肥料成分を含まないものを選択する必要があります。
また、挿し木用の用土には保水性も求められますので、一般的には鹿沼土などもよく使われますが、私が使用しているのは、専ら赤玉土です。

プランターに赤玉土を適度に入れたら、そこにカットしたオリーブの枝を挿していきます。
写真を見ると、挿した枝と枝の間隔が小さ過ぎるような気がしますが…あまり期待しない感じで挿したことで、このような間隔となってしまいましたw(正直、ダメ元の感覚でした)
すべての枝が挿せたら、赤玉土にしっかり水を吸わせて、乾かさないように管理します。
なお、用土を乾かさないように管理するためには、受け皿を設置して、そこに水が常に溜まった状態にしておくのが手っ取り早いですね。
ただし、受け皿を設置すると用土がより腐りやすくなりますので、時より匂いなども確認しながら、管理していくと良いでしょう。(経験上、赤玉土などが腐ったことはありませんけど。)
挿し木が完了したら、後は枝からの発根を待つだけです。果たして、枯れかけのオリーブの太木は発根してくれるでしょうか?
4.太木挿ししたオリーブの発根は?
さて、6月末に太木挿ししたオリーブですが、挿し木後の状況はどうなったでしょうか?観察した様子をまとめていきます。
4.1 太木挿しから1か月後-7月末
太木挿しした挿し木から1か月が経過しました。ざっくりと遠目で見た感じでは、全く変化がないように見えますが…

よく観察してみると、なんと!いくつかの枝から、小さな新芽が出始めています。
正直、あまり期待せずに開始した今回の太木挿しですが、1か月で早くも変化が見られて嬉しい誤算ですね!
なお、通常の挿し木であれば、新芽が出てくることが発根のサインとなりますが、太木挿しで根が伸びるためにはもう少々時間がかかるようです。
気持ち的には用土から取り出して、発根の様子を確認したいところですが…その気持ちをぐっと抑えて、むやみにいじることなく、このままもうしばらく状況を見守っていくことにしました。

そこから更に10日程経過すると、小さかった新芽はしっかりとした葉に育ちました。
枝分かれしている部分には、成長のパワーが溜まっていると言われますが、確かにその傾向はありそうですね。
8月はお盆で長期不在になるので、その期間の水切れが少々心配ですが、そこは雨が助けてくれることを願って、このまま順調に育ってくれるよう、しっかり管理していきましょう!(ここまで来たら、もはや期待しかないですね)
4.2 太木挿しから2か月後-8月末
太木挿し開始から2か月が経過しました。太木挿ししたオリーブの様子はどうなったでしょうか?

1か月前に出て来てくれた新芽が、場所によっては小さな枝にまで育ってくれています。
挿し穂によって成長の具合に随分と差がありますが、とりあえず、新芽が順調に成長してくれたことを喜びましょう。
新芽がここまでしっかり成長してくれていれば、流石に多少の発根が見られるはずです。鉢上げはもっとしっかり根張りしてからでも良いかもしれませんが、今回は、検証も兼ねてトライしています。成長が見られる枝に関しては、この辺で鉢上げ(植え替え)して、根の様子を確認しましょう。

新芽が出ている枝を用土から出してみると、まだ十分とは言えませんが、しっかり発根していることが確認できました。(写真のとおり、ヒョロヒョロの根ですが、長さは十分です)
なお、根は枝のカット面付近からのみ出るものだと想像していましたが、それだけではなく、新芽付近から出ている根もあります。なんか「なるほど!その手があったか?!」って感じですね。
発根が確認できたものは、このまま鉢上げ(植え替え)して独り立ちさせていきますが、新芽から根が生えているものは、その新芽が培養土の表面(上端)位置と合うように植え付けていきます。(根が剥き出しにならないよう注意して植えていきます)
その他の新芽が出ている枝でも、概ね発根が確認できましたが、中には新芽が合っても根が全くないものもありましたので、小さな新芽のものは、もう少しこのまま養生することにしました。

結果、このタイミングでは、発根が確認出来た写真の3つの枝を鉢上げして独立させました。
独り立ちしたとは言え、まだ根張りが十分ではないので、しばらくは水を切らさないよう管理してあげる必要がありそうですが、今まで挿し木に成功しなかったオリーブを3株も増やせたのは嬉しいですね!
新芽が出ていて発根が見られない枝は、発根するまでそのまま養生を続けますが、新芽が出ていない枝にも、部分的にカルスが見られるものがあります。カルスは、植物の瘡蓋みたいなもので、いずれ根に変わる可能性があると言われていますので、これからの発根に期待して観察を続けていきましょう。
5.太木挿ししたオリーブのその後
太木挿し開始から2か月で、ある程度の発根が確認できた3つの枝を鉢上げ(植え替え)しましたが、その後の状況はどうなったでしょうか?

写真は鉢上げから更に2週間が経過した太木挿しのオリーブです。
根張りがあまり十分でない状態で鉢上げしたので、タイミングが少々早すぎたかなぁと心配していましたが、3株ともその後の成長は順調です。
写真の右側に移っている、通常の挿し木で増やしたヒョロヒョロのオリーブと比較すると、太木挿ししたオリーブは、見た目もなんだか可愛いですね。(ガジュマルみたいに太い枝から葉が出ていて可愛いです)
実際にトライしてみた上での感想としては、オリーブを挿し木するなら「太木挿し」一択なんじゃないかと感じました。(可愛いって正義)

新芽が出なかったりで挿し木を継続している枝については、まだ新芽が全く出ていない枝もありますが、全体が茶色くなって完全に枯れてしまった枝はなさそうなので、このまま管理を継続していきます。
正直、既に3株の増殖が完了し、地植えのオリーブが枯れてしまった場合の代替苗は確保できました。よって、これ以上モリモリ苗を増やす必要はないのですが、せっかく始めた太木挿しです。このまま冬越しさせることも含めて今後の成長の様子を確認していきます。(面白い現象が確認できれば、また本ブログで記事にします)
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