DIYで作成する木工製品の完成度を上げるには、事前にしっかり設計して、加工の寸法精度を上げることが最も重要になりますが、その他にも仕上がりを良くするために注意すべきポイントがあります。今回は、木工製品の仕上がりを良くするポイントとなる「木材をまっすぐ垂直に切断する方法」についてまとめました。皆様のDIYライフのご参考になれば嬉しいです。
目次
1.木材の切り口を垂直にすることの重要性
DIYで製作する木工製品の完成度を上げるには、外観の美しさや使い勝手、そして強度など考慮した上で、事前にしっかり設計することが重要になります。TVでヒロミさんのDIYを見ていても、設計(事前の構想)の重要性を痛感できますね。(ヒロミさんはセンスがありすぎて参考にならないですが:笑)
それと同様に重要なのが”寸法精度”です。設計した通りの寸法で材料を加工することが、完成度を上げるためには非常に重要になります。
それに加えて、加工した材料を美しく組み上げるために、重要なポイントがいくつかあります。今回はその第1弾として「木材の切り口をまっすく垂直に(平らに)切断する方法」をご紹介したいと思います。
切り口が歪んでいると、せっかく寸法通りに材料を切り出しても、組み立てるときに歪んでしまって完成度が下がってしまいます。私のような初心者のDIYにはとても重要なポイントになりますので、ご参考にしていただけると嬉しいです。
2.のこぎりガイドを使用して切断する
まずは、普通の”のこぎり”(手ノコ)にて、”のこぎりガイド”と呼ばれるツールを使用して材料をまっすぐ垂直に切断する方法を紹介します。
2.1 マイターボックス式 のこぎりガイド
色々な種類の”のこぎりガイド”がある中で、一番扱いやすい”のこぎりガイド”は、下記のマイターボックス式と呼ばれる”のこぎりガイド”だと思っています。(私見ですけど)
ガイドに切断する木材をセットして、ガイドに設けられた溝にのこぎりの刃を入れて切断していくツールです。
細い溝にのこぎりの刃を入れて切断するので、刃が斜めになることがなく真っすぐ垂直に切断することができます。誰にでも使えそうな簡単なツールですね。
しかも、切断角度は材料に垂直(0°)だけではなく、一定の角度をつけて切断することも可能です。上記”のこぎりガイド”では、垂直(0°)の他に、22.5°、45°での切断ができます。さらに、材料と刃の接触角度を45°に(斜めに)して切断することも可能ですが、あまり使用する機会はなさそうですね…
使用時のポイントは、材料が動かないようしっかり固定することです。のこぎりが材料に真っすぐ垂直に入っていくのに、材料が動いてしまっては意味ないので、クランプなどを使用して、ガイドと材料をしっかり固定してあげる必要があります。
もう一つのポイントは、写真のようにのこぎりの刃を材料に水平に当ててカットすることです。通常、木材をカットする際には、のこぎりの刃を材料の奥側の角に45°くらいの角度をつけて当てて、手前に向けてカットしていきますが、その切り方だとガイドも一緒に切断されてしまいます。よって、このガイドを使用する際には材料に水平にのこぎりを当ててカットすることが必須になります。刃と材料の接触面積が増えるので、刃にかかる抵抗が多少大きくなりますが、ガイドの効果で余計な方向に力が入らないようになるので、2×4材くらいまでの材料なら、問題なくカットできると思います。
ただし、マイターボックス式のガイドは主に2×4材(38mm×89mm)を切断する目的で作られているので、それよりも大きなサイズの木材には使用できません。(ガイドに固定することが出来ません。)2×4材よりも大きな材料を切断する際には、別の手法を用いる必要があります。
2.2 マグネット式 のこぎりガイド
続いては、100均などでも購入できる、マグネット式の”のこぎりガイド”です。
ガイドを切断したい角度に開いて材料にセットし、のこぎりの刃ををガイドのマグネットにくっつけた状態で切断することで、材料をまっすぐ垂直に切断できるガイドです。(写真ではガイドを90°に開いて材料に対して垂直(0°)にカットしています。)
私はこのガイドを実際に使用したことがないので、マグネットの強度含めた使用感がわかりませんが…イメージでは、切断中に刃が磁石から離れてしまいそうな気もするので、設計思想的にはちょっと危い感じはしますね。ただ、同等なものを100均で購入出来るので、お試しで購入して使用感を確認してみるのは良いかもしれません。(意外と良いのかも?)
また、マイターボックス式では切断角度が溝のある角度に限定されますが、マグネット式はガイドの開く角度を変えることで自由に調整できます。その点の自由度はとても良いですね。
ただ、切断できる材料のサイズは「ガイドと同等の大きさ」になると思うので、マイターボックス式同様2×4材くらいまでの材料に使用するガイドになると思います。
2.3 ソーガイド式 のこぎりガイド
最後は、ちょっと高価なソーガイド式の”のこぎりガイド”です。
のこぎりの刃をガイドのスリット部にはめ込んだ状態で材料にセットし、切断するガイドです。
こちらも実際に使用したことがないので、使用感はわかりませんが、のこぎりの刃が上からすっぽり覆われていてズレようがないので、より正確に切断できるガイドになっていると思います。
ただ、お値段が少々高くなりますし、セッティングがちょっとめんどくさそうな印象はありますね。
以上、3種の”のこぎりガイド”を紹介しましたが、価格・使用の手軽さ・正確さ、などから総合的に判断すると、マイターボックス式が最もバランスが取れていて”いい感じ”だと思います。(思いっきり、私見ですけど。)
3.電動のこぎりを使用して切断する
続いては文明の力に頼って、電動のこぎりを使用して、まっすぐ垂直に切断する方法です。
3.1 電動丸ノコ
まずは木工DIYでは定番の電動丸ノコですね。
私が使用しているのはHiKOKI製の電動丸ノコ FC6MA3です。安価なものから高価なものまで、いろいろな丸ノコが販売されていますが、材料を抑える金属部品”ベース”が変形してしまうと精度のよい加工ができなくなってしまうので、ベースが変形しにくいアルミ製のものを選んで購入するのが良いと思います。(安価な丸ノコはベースが鉄製で変形しやすいです。)電源は、充電式のほうが取り回しが良いですが、その分価格が上がってしまいますので、DIYで使用するレベルなら、コード式で十分だと思います。(私の FC6MA3はコード式です)
使用方法は、材料に丸ノコのベースを押し当てて、手前から奥に向かってカットしていくだけです。ベースが材料から浮かないようにカットできれば、切り口は材料に対して真っすぐ垂直になります。
ただ、丸ノコを手前から奥に動かす際に、フリーハンドで真っすぐに動かすのは非常に難しいので、DIYでは、下記のような丸ノコガイド定規を使用してカットすることをお勧めします。
また、電動丸ノコで恐ろしいのが”キックバック”です。材料を切断する時に、切断した(丸ノコの右側の)材料がのこぎりの刃側に倒れて、刃の通り道がふさがれた時に、行き場を失った丸ノコが暴れてしまう現象です。私はまだ経験したことはないですが、非常に危険な現象なので、切断した材料がその場から動かないよう、上写真のように材料の下にスタイロフォームなどを敷いて作業すると安心です。
また、丸ノコの刃の突出量が切断できる深さになります。材料がちょうどよく切断できるよう、写真のように、スコヤなどを使用して刃の突出量を調整して使用します。(材料とスタイロフォームの表面が少しだけカットできるよう調整します。)
重複しますが、電動丸ノコは非常に便利なツールですが、使用方法を間違うと非常に危険なツールです。(死亡事故も発生しているようです。)ご使用の際は十分ご注意の上で使用するようにしてください。(私も常に緊張感をもって使用しています。)
3.2 スライド丸ノコ
続いては憧れのスライド丸ノコです。これがあれば、最強だと思います。
電動丸ノコは丸ノコ側を動かして材料を切断するので、キックバックなどの危険を伴いますが、スライド丸ノコは卓上に固定されている丸ノコをスライドさせて切断するだけなので、丸ノコが暴れるリスクがほとんどありません。材料が動いたりさえしなければ、切り口は完璧に垂直になります。
個人的には、ホームセンターの”DIY開放スペース”で何度か使用したことがあるだけなので、それほど使用感は語れませんが、材料のセッティングや切断が非常に簡単なので、フローリングの板を張るなど、材料を大量に切り出すようなDIYではかなり重宝すると思います。
ただし、丸ノコがスライドする量に限界があるので、切断できる材料の幅は限られます(大きな材料は電動丸ノコを使用して切断する必要があります)が、レーザーで切断するラインを投影してくれるような便利な製品もあり、私にとっては「いつか購入したい」憧れのツールです。
また、収納性に問題があるため、設置・収納ができるスペースがないと購入できないツールです。空き家となっている実家の改築DIYを開始する際には、是非とも購入したいですね。
以上、電動の丸ノコを使って材料を垂直にカットする方法を紹介しました。2×4材などの一般的な木材をカットするなら、最も便利なのは間違いなく”スライド丸ノコ”です。ただし、収納性に問題があるので私のように狭い敷地でDIYをせざるを得ないDIY師は”電動丸ノコ”を使いこなしていきましょう。