【車-カーケア】VW車に最適なドレンボルトとドレンパッキン仕様

フォルクスワーゲン車に最適なドレンボルトとドレンパッキンを考察

アルミ製のオイルパンを採用しているフォルクスワーゲン車に最適なドレンボルトとドレンパッキンの仕様を考察してみました。現状での右近次的結論としては、スズキ純正のドレンボルト(ロングタイプ)を使用するのが最適解です。そのような結論に至った経緯を理論的に説明していますので、ご参考にしてみてください。(実際の適用結果は、後ほど改めて報告します。)

1.フォルクスワーゲン車のオイルパン仕様

我が家にはティグアンとゴルフⅦという2台のフォルクスワーゲン車があり、両車ともセルフでオイル交換を行っています。

フォルクスワーゲンのアルミ製オイルパンの外観は鉄製のように黒塗装ではなくマットシルバー

フォルクスワーゲンのオイルパンの仕様はアルミ製です。鉄製のオイルパンと比較すると重量的に軽いというメリットがありますが、ドレンボルト装着部のネジ山が破損し易かったり、衝撃を受けると変形せずに割れてしまったりと、それなりのデメリットもある仕様です。(鉄製のオイルパンは黒く塗装されていることが多いですが、アルミ製のオイルパンは写真のように外観がマットシルバーであることが多いです。)

ドレンボルト装着部(写真矢印部)のネジ仕様は、M14×P1.5です。日本車で言うと、HONDA/MAZDA/SUZUKI/MITSUBISHIなどと同じ仕様になりますね。(日本車におけるドレンボルトのネジ仕様は下記のとおりです。)

ネジ仕様適合メーカ
M12×P1.25TOYOTA/NISSAN/DAIHATSU(一部車種を除く)
M14×P1.5MITSUBISHI/HONDA/MAZDA/SUZUKI(一部車種を除く)
M16×P1.5TOYOTA86,GR86/SUBARU BRZ 他
M20×P1.5SUBARU(一部車種を除く)

今回はこのアルミ製オイルパンに適したドレンボルト、およびドレンパッキン(ドレンワッシャー)の仕様を右近次的に考察していきたいと思います。

2.フィルクスワーゲン車に適したドレンボルト仕様

まずはアルミ製のオイルパンに適したドレンボルト仕様を考察してみます。ネジ仕様(ネジ径とネジ山ピッチ)をオイルパンに合わせてM14×P1.5とすることは必須となりますが、他の仕様はどのようにしたらよいでしょうか?

2.1 ドレンボルトの長さ

ティグアンとゴルフⅦの純正ドレンボルトの仕様は下記のとおりです。

車種型番仕様材質備考
ティグアンN90813202M14×1.5×22パッキン付き
ゴルフⅦN90288901M14×1.5×16パッキン別
フォルクスワーゲン純正のドレンボルトは車種によって長さや仕様が異なる

パッキン有無は置いといて、2車種の純正部品を比較すると「ボルトの長さ」が異なります。車を購入した時に装着されていたドレンボルトは写真のとおりですが、確かにドレンボルトの長さが異なっていますね。(左:ゴルフⅦ/右:ティグアン)

2車種でなぜボルトの長さが違うのか?は開発者でないとわかりませんが、ボルトがより長いことによるメリット、およびデメリットは下記のとおりと考えます。

メリットネジ山1つに対する応力負担が少ないため、ネジ山が破損しにくい
ネジ山の接触面積が大きくなるためシーリング性に優れる
デメリットオイルパン内部と干渉する可能性がある

上記のメリット・デメリットから考えると、部品が干渉しない前提で考えれば、ネジ部がより長いほうが性能的に優れていると言えるはずです。よって、ネジ長さは18~22mm程度と長めのものを選択することにします。

2.2 ドレンボルトの材質

次にドレンボルトの材質について考察します。

オイルパンの材質がアルミなので、オイルパンのネジ山を破損させないようにするためには、アルミよりも柔らかい材質のものを選択した方がよいはずです。

アルミ製のボルトは折れやすい

しかしながら、ドレンボルトには締め付けによる応力がかかります。ネジ自体の強度が低いと締め付けによってネジが折れるリスクが大きくなります。ネジが折れて折れた部分がオイルパンから除去できなくなったら、ネジ山破損よりも面倒くさい惨事になりそうです。

ネジ山の破損対策としては、2.1項にて長めのドレンボルトを採用することに決定しました。よって、ネジ山破損対策はそれで問題ないレベルになると判断し、ドレンボルトの材質は鉄(スチール)以上の強度を有する折れ難い材質(鉄、ステンレス、チタン合金など)のものを選択します。

3.アルミ製オイルパンに適したドレンパッキン

続いて、ドレンパッキン(ドレンワッシャー)について考察します。

3.1 ドレンパッキン(ドレンワッシャー)の外形サイズ

ティグアンとゴルフⅦに装着されていたドレンパッキンを比較すると、いずれもサイズは「14×20」(内径14mm、外径20mm)で同じです。

よって、外形サイズは「14×20」(内径14mm、外径20mm)に準ずるサイズのものを準備することとします。

3.2 ドレンパッキン(ドレンワッシャー)の厚み

ドレンパッキンの厚みは、それぞれの車に元々ついていたものを実測すると、1.40~1.45mmくらいでした。

ドレンパッキンの役割は、ドレンボルトを締め付けることでドレンパッキンがつぶれて隙間を埋めることなので、厚みは大きいほうがつぶれやすいはずです。

よって、厚みは1.5~2mmくらいの厚めのものを選択していきます。(1mmでは薄すぎると判断しました。)

3.3 ドレンパッキン(ドレンワッシャー)の材質

日本車におけるドレンパッキンの材質は概ね下記となっているようです。

メーカー 材質
TOYOTA/DAIHATSUアルミ+コーティング
SUZUKI/HONDA/MITSUBISHIアルミ
NISSAN/SUZUKI
SUBARU/MITSUBISHI

ドレンボルト部のオイルシーリングの設計思想は、ドレンボルトを締め付けることによる下記の効果を想定しているはずです。

  • ネジ山どうしの密着によるシーリング
  • ドレンワッシャーがつぶれて隙間を埋めてくれることによるシーリング。

ネジ山どうしの密着は2.1項で長めのドレンボルトを採用することにより最適化できますので、ドレンパッキンとしては、最もつぶれやすい仕様の材質を選択したいです。

日本車の純正ドレンパッキンに採用されている材質の硬度を比較してみると「鉄 > 銅 > アルミ」となります。よって、一番潰れやすい材質は”アルミ”ということになります。

アルミ製オイルパンに使用するドレンパッキンはアルミ製の厚みがある仕様に限る

また、アルミ製のオイルパンを採用している車種では、パッキンがオイルパンより硬いとオイルパン側が凹んでしまうはずです。よって、オイルパンと比較して同等”以下”の固さとなるドレンパッキンを採用する必要があります。

よって、アルミ製のオイルパンが採用されている車種では、ドレンパッキンの材質はアルミ一択です。同種の材料を使用することで、異種材料の電位差による錆の発生なども防止できます。

4.ドレンボルトとドレンパッキンの選定

ここまでの考察で、それぞれの部品に対する選択方針が下記の通りに決定しました。

ドレンボルトネジ仕様M14×P1.5
ネジ長さ長め(20~22mmくらい)
材質鉄(スチール)以上の硬度
ドレンパッキン外形サイズ内径14mm 外径20mm程度
厚み厚め 1.5~2.0mm程度
材質アルミ

ここからは、上記をもとに実際に準備する部品の仕様を決めていきます。まずはフォルクスワーゲン純正仕様が使用できないか?を今一度確認します。

4.1 フォルクスワーゲン・ティグアン純正仕様の判定

ティグアン純正のドレンボルト/ドレンパッキン仕様とその判定結果は下記です。なお、ドレンパッキンの材質は、車購入時に装着されていた部品が磁石に付くか?で判断しました。

部品項目仕様判定
ドレンボルトネジ仕様M14×P1.5
ネジ長さ18mm程度(全長22mm)
材質鉄(スチール)
ドレンパッキン外形サイズ内径14mm 外径20mm
厚み1.5mm
材質×

基本的にはいい感じの仕様なのですが…ドレンワッシャーが鉄なのがNGです。

ドレンパッキンがアルミ製のものに交換できれば完璧なのですが、あらかじめドレンボルトに取り付けられて交換できない仕様になっているいるので、ここがどうにもできないですね。

また、新品のパッキンが必須となるオイル交換においては、ドレンボルトも毎回交換しなければならなくなります。半年に1回の話ですが、コスパが良くないですね。

4.2 フォルクスワーゲン・ゴルフⅦ純正仕様の判定

続いて、ゴルフⅦ純正のドレンボルト/ドレンパッキン仕様とその判定結果は下記です。

部品項目仕様判定
ドレンボルトネジ仕様M14×P1.5
ネジ長さ12mm程度(全長16mm)×
材質鉄(スチール)
ドレンパッキン外形サイズ内径14mm 外径20mm
厚み1,5mm
材質×

こちらはドレンパッキンが交換できる仕様なので、仕様が気に入らなければ、他のものに交換することが可能ですが、ドレンボルトのネジ長さが短いのは致命的ですね。

4.3 使用するドレンボルトとドレンパッキンの決定

フォルクスワーゲン純正部品では目指す仕様にならないことが明確になったので、市場で流通している他の部品の中から、考察した仕様に合うものを探します。

結果、ドレンボルトについては、下記の部品を準備することにしました。

スズキ純正のドレンボルトのロングタイプです。スズキ車もアルミ製のオイルパンを採用した車種が増えてきたようですが、以前の短いドレンボルトではネジ山の破損が多発したのでしょう。最近の車種では長いものに置き換わっているようです。こちらであれば、ボルトのネジ長さ、材質などもばっちりですね!

部品項目仕様判定
ドレンボルトネジ仕様M14×P1.5
ネジ長さ22mm(全長22mm)
材質鉄 or SUS *1

*1:現品を確認したところ、磁性がわずかしかなく、鉄製のVW純正品よりも重量がある(VW:39g/SUZUKI:43g)ので、鉄ではなく、400番台のステンレスなどである可能性があります。(嬉しい誤算ですね)

ただし、フォルクスワーゲン純正品とはボルトの頭サイズが異なります。フォルクスワーゲンの6角形2面幅が19mmなのに対して、スズキの2面幅が17mmです。より小さくなる方向なので構造上の干渉などは発生しないと思いますが、作業時によく確認する必要があります。

続いて、ドレンパッキンはフォルクスワーゲン純正同等品の下記の部品を準備することにしました。

私の車に装着されていたドレンパッキンが”たまたま”鉄(スチール)製だっただけで、フォルクスワーゲン純正品はアルミなのかもしれませんが、今回はフォルクスワーゲン純正品同等のアルミ合金品の2mm厚のものを購入して使用します。

部品項目仕様判定
ドレンパッキン外形サイズ内径14mm 外径20mm
厚み2.0mm
材質アルミ

・選定した部品をティグアンに適用する

結論として、今後の採用方針は下記の通りで、ドレンボルトはスズキ純正品(ロングタイプ)を使用していくこととしました。ドレンパッキンが交換できる仕様なので、オイル交換時にはドレンパッキンだけを交換することで繰り返しの使用が可能になり、コスパも向上するはずです。

  • ドレンボルト :スズキ純正ドレンボルト(ロングタイプ)
  • ドレンパッキン:フォルクスワーゲン純正同等形状のアルミ仕様
定期的に訪れるオイル交換のタイミング

もうすぐティグアンのエンジンオイル交換の時期がやってきます。炎天下の中で交換するのは気が重いですが、実際に使用した結果はこちらのブログにて報告していきたいと思います。

なお、私が実践しているオイル交換の頻度は【車-カーケア】VW車に適切なエンジンオイル交換頻度は?にて考察しています。また、愛用しているオイルフィルターは下記のとおりで、ちょっと特殊なフィルター形状になっていて、【車-カーケア】BOSCH”OF-VF-15”用フィルターレンチにて適合するフィルターレンチを考察しています。合わせてご参考にしてみてください。

・追記:ティグアンへの適用報告

ティグアンにSUZUKI純正のドレンボルトを使用してオイル交換を行いました。ゴルフⅦのオイルパンがアルミ製だったので、それよりも年式の新しいティグアンのオイルパンも当然アルミ製だと思っていたのですが…改めてオイル交換してみたところ、ティグアンのオイルパンは鉄製でした。

よって、私のティグアンはそれほどドレンボルトに気を遣う必要がないオイルパン仕様でしたが、SUZUKI純正のドレンボルトを使用して特に問題なくオイル交換をすることが出来たことを報告しておきます。(SUZUKI純正ドレンボルトのアルミ製オイルパンに対する効果は、次回のゴルフⅦのオイル交換で改めて確認します。)

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