【ガーデニング】レモンの苗木を取り木で増殖-発根に必要な期間は?

レモンの苗木を取り木で増やす方法-発根までに必要な期間は?

挿し木”とは異なり、事前に枝を切ることなく新しい苗木を増やすことが出来る”取り木”に関して、以前にオリーブの”取り木”を記事にしておりますが、今回はレモンの”取り木”をご紹介します。”取り木”したレモンの木が植え付け可能となる状態まで発根していく様子や、それに必要な期間などをまとめました。下記にて動画も公開していますので、これから”取り木”にチャレンジする方のご参考になれば嬉しいです。【ガーデニング】レモンの苗木を”取り木”で増やす!-剪定する枝木を有効活用する

1.剪定して苗木を増殖させる方法-挿し木

苗木を増殖させる方法として、一番に名前が挙がる方法が”挿し木”です。

バジルを赤玉土に挿し木してどんどん増やす

挿し木は、剪定した枝を赤玉土などの肥料成分のない培養土に挿して発根を促す方法です。いろいろな植物に適用できますが、バジルやローズマリーなどのハーブ類や、トマトなど挿し木が有名ですね。私のブログでもバジルは【ガーデニング】バジルの苗を株分けと挿し木で効果的に増やす!にて、トマトは【ガーデニング】トマトの苗を増やす方法-わき芽を利用した挿し木にて紹介していますのでご参考にしてみてください。

鑑賞するだけでなく実の収穫も楽しめるオリーブの木

他にもいろいろな植物に適用可能な優れた植物の増殖方法である”挿し木”ですが、個人的にオリーブやユーカリなどの「木」となる植物では成功したことがありません。

樹形を整えるためには必ず剪定が必要なので、捨ててしまう枝木が挿し木に成功したら儲けもの的な感覚でトライしていますが、挿し木してしばらく経過した枝を引っ張った時になんの抵抗もなくスルっと抜けてくる感触はなんとも悲しいです。(発根していると、根が張っているので、簡単には抜けなくなります。)

2.剪定せずに苗木を増殖させる方法-取り木

挿し木の他に苗木を増殖させる方法に”取り木”があります。

挿し木は発根に失敗すると枯れてしまう

取り木は事前に枝を剪定することなく、枝の途中から発根させて苗木を増殖させる方法です。具体的な方法は後述しますが、取り木にトライしている最中の枝にも、根から吸収した養分が送り込まれるので、取り木している枝を枯らしてしまうリスクがほとんどありません。(挿し木では、発根できなければ枯れてしまいます。)

取り木にトライした結果、発根が不十分だった場合は、取り木を辞めてしまえば、その枝を切断することなく、そのまま育てることが可能です。(もちろん、取り木にトライした痕跡は残ってしまいますが。)「挿し木で発根しにくいものを取り木にする」ということが多いので、挿し木と比較すると発根に時間がかかる手法にはなりますが、失敗するリスクは非常に低い手法と言えます。

以前にオリーブの取り木を【ガーデニング】オリーブを取り木で増やす-最適な時期や方法は?にて記事にしておりますが、本記事を書いている現時点では、まだそのオリーブは十分に発根出来ておりません。しかしながら、同時に取り木を開始して、記事に出来ていなかったレモンの木については、十分に発根して植え付け可能となりましたので、以下に、その方法と発根の経過などをまとめます。

3.レモンの取り木に最適な時期

取り木は、植物がよく成長する春から秋であればいつでもトライ可能なようです。月でいうと4月~10月くらいであれば実施できるということですね。

ただし、遅くても10月には植え付けが出来るよう、逆算して取り木を開始する必要があります。発根に必要な期間(後述)を考慮すると、遅くても8月くらいには取り木を開始した方がいいと思います。(発根が不十分な状態で植え付けて冬に突入すると、その苗木にとって非常に過酷な状態になってしまいますので。)

4.レモンの木の取り木方法-初期作業

4.1 取り木したい部分の皮を剥ぐ-環状剝皮法

まずは、取り木する部分(発根させたい部分)の枝(幹)の皮を剥ぎます。

事前に熱湯消毒したカッターやナイフで皮を剥きたい部分の上下に切り込みを入れて皮を剥ぎます。

剪定するレモンの枝木の皮を剥き環状剥皮法で取り木する

表面の皮が1枚剥ければいいので、切り込みはそれほど深く入れる必要はありません。表面から力を入れずに刃を当てて、軽くぐるりと1周させればよいです。(電源コードの被覆を剥く感じで刃を入れればOKです。)

切り込みがちゃんと入っていれば、写真のように皮は簡単に剥けます。切り口に爪を差し込むなどして、剥いちゃってください。

なお、皮を剥く間隔(上端から下端までの長さ)が狭すぎると、木が頑張って剥いた皮を再生してしまうので、少なくとも5cmくらいは皮を剥いた方がいいでしょう。(私は7~8cmくらい剥きました)

4.2 取り木したい部分の上部を針金で縛りつける-針金結束法

続いて、皮を剥いだ部分の上部を針金で縛ります。

剪定するレモンの枝木に針金を巻いて養分の通りを阻害する針金結束法で取り木する

「皮を剥く取り木(環状剝皮法)で発根しにくい木を、針金で縛る取り木(針金結束法)で対応する」というのが、取り木の正しい考え方になるようですが、両方実施してしまう方が多いようです。(私も両方実施しました。)

針金で縛る意味は、取り木する部分への養分が通りにくいようにするためです。木にストレス(ダメージ)を与えて発根(再生)を促すわけですね。

針金はどんなものを使用してもいいと思いますが、養分を通りにくくすることが目的なので、ペンチを使ってしっかり締め付けておきます。(首を絞められたみたいで苦しそうですですが…)

4.3 皮を剥いだ部分に濡らした水苔を巻き付ける

続いて、皮を剥いだ部分に十分に濡らした水苔を巻き付けます。

剪定するレモンの枝木に水苔を巻いて取り木するための発根を促す

水苔を巻き付ける意味は、取り木する部分に水分を供給し続けて発根を促すためです。挿し木でいう赤玉土などの培養土と同じ役割ですね。発根した根は、水苔から水分を供給し、根をどんどん成長させていきます。

なお、ガーデニングで使用する”乾燥水苔”は湿地帯に自生するコケ植物を乾燥させたものです。葉の細胞に大量の水分を蓄えることが出来るので、土の表面を乾燥させたくない胡蝶蘭などの洋ラン栽培では欠かせない素材になります。

なお、水苔は素材に十分な隙間があり、水分を保持した状態でも通気性に優れていますので、発根した根が根腐れするのを防止できます。

4.4 水苔にラップを巻き付けてテープで固定する

最後に水苔にラップを巻き付けてテープで固定します。

剪定するレモンの枝木に水苔を巻いてラップで包み、取り木するための発根を促す

ラップを巻き付ける意図は、水苔からの水分を蒸発しにくくするためです。密閉できるわけではないので、蒸発を「ゼロ」にすることはできませんが、水分を蓄える能力に優れた水苔に、更にラップを巻くことにより、保水能力を更に向上させます。

ラップの上下はテープなどで固定しておきます。テープは何を使用しても良いですが、私は手元にあったビニールテープを使用しました。

下側のテープは水分が下に抜け落ちないよう、しっかり固定した方がよいですが、ラップ内の水分が足りなくなった場合には、後述する水分補給が必要になります。よって、上側のテープ固定は後で水が補給できるよう、下側よりは簡易的に固定しておくのが良いと思います。

以上で、取り木の初期作業は完了です。なお、今回の取り木では画像で紹介した枝の他にもう一か所(計2か所)の取り木を行いました。

5.取り木中のレモンの木の管理

取り木中の木の日々の管理は、水苔が完全に乾燥することがないように管理するだけです。

取り木するために水苔を巻いてラップで包んだレモンの枝木に定期的に給水して発根を促す

取り木処理した部分は完全に密閉されているわけではないので、雨が降ることでも、ラップ内に多少の水分が補給されますが、雨の状況も考慮しつつ、1週間に1回くらいで水苔の乾燥状態を確認するのがよいでしょう。

なお、取り木処理した部分はラップに包まれているので、日の当たる時間帯は内部が”温室”状態になります。(取り木部分を握ってみると、湿った水苔が、かなり生暖かい状態で蒸されている状態が確認できるます。)この辺も、発根を促進する一つの要素になっているのかもしれませんね。

ラップ内を確認した結果、水苔が乾燥気味になっているようであれば、上側のテープを外して、ラップ内に水分をたっぷり補給しておきます。

6.取り木したレモンの木が発根するまで

6.1 取り木処理部にカルスが発生する

前述の皮を剥ぐ工程の説明の中で、皮を剥ぐ量が不足すると剥いた皮を木が修復してしまうと説明しましたが、植物は「カルス」と呼ばれるものを表面に形成して外傷を修復させます。人間でいうところの瘡蓋(かさぶた)みたいなものでしょうか?

取り木するために水苔を巻いてラップで包んだレモンの枝木に発生したカルス

写真は(6/12に)取り木を始めて約3週間が経過した(7/1の)レモンの木です。皮を剥いだ部分(主に針金で縛った部分の上部)から白いもこもこした物体が噴き出ています。これが植物の瘡蓋「カルス」です。

取り木では、植物がまずこのカルスが発生させることで表面を修復し始め、そこから更に復活するための根を出すという過程を経るようです。

よって、まずはこのカルスの発生が、取り木が順調か?を判断する目安になると思います。私のレモンの木では、皮を剥いた部分の上端からカルスが発生し始めました。(カルスが発生していない状況では、恐らく発根しません。)

6.2 取り木処理部の発根が始まる

カルスの発生が確認出来たら、徐々に発根が始まっていきます。

取り木するために水苔を巻いてラップで包んだレモンの枝木に発根した小さな根っこ

写真はカルスの発生を確認した時点(7/1)から、更に約3週間経過した(7/23の)レモンの木です。

巻いていたラップを開いて水苔の下を確認してみると小さな根が出てきているのを確認しました。

それより下でも発根しているのか?確認したかったのですが、発根した根がすでに水苔に絡んでいる状態で水苔を剥いてしまうと、折角発根した根が切れてしまう可能性があります。(根が切れなかったとしても、水苔に絡んだ根が抜けてしまいます。)よって、これ以上の発根確認は止めにして、引き続き経過を観察することにしました。

なお、しっかり発根してくれば水苔の外側にまで根が出てきます。よって、短い根を無理に確認する必要はありませんで、発根が確認出来たら、水苔の外側にまで根が伸びてくるのを待ちましょう。

6.3 取り木処理部が十分に発根する

前回(7/23に)発根開始を確認してから更に約4週間経過しました。(8/22です。)お盆休みで帰省した期間があり、確認間隔があいてしまいましたが、取り木の発根状態を確認していきます。

取り木するために水苔を巻いてラップで包んだレモンの枝木に水苔の外側まで十分に発根した根っこ

写真はラップを外した状態です。水苔の外側まで根が伸び始めています。この状態まで根が伸びていれば、枝を切断して植え付けても、発根した根から水分や養分などを吸収することが出来そうです。

取り木処理したもう一か所の方も同じような状態になりました。(水苔の外側まで根が出てきました。)2か所ともに、そろそろ切断してもよいタイミングとなりましたね。

しかしながら、ここで1点問題が発生しました。メインで観察を続けてきた箇所については、取り木処理を実施した後で、その枝先(上側)にレモンがたくさん実ってしまいました。

取り木予定のレモンの枝木を剪定させない意思を示すかのように実ったレモンの実

今回は右近次的に初めての取り木になりますので、枝を切断して植え付けた後の新しい苗木の成長過程は現時点では未知数です。植え付け後の生育状態が良くなくて、せっかくここまで育った実がダメになってしまうのはもったいないです。

そこで今回は、メインで観察してきたこちらの切断は先延ばしにして、もう一か所を切断して植え付けていくことにしました。

こちらの植え付けは、枝先に実ったレモンを収穫してから、切断して植え付けしていくことにします。(その新しい苗木は冬の間は室内への避難させることを検討した方がいいかもしれませんね。)

7.取り木したレモンを切断して植えつける

十分な発根が確認できら、取り木処理した(発根した)箇所の下側を切断して植え付けていきます。

取り木するために水苔を巻いてラップで包んだレモンの枝木に十分な発根が見られたので切断して植え付ける

なお、今回は前述のとおり、メインで観察してきた方ではなく、2か所目として取り木処理した箇所(オリーブの木と隣接する側の枝)を切断して植え付けていきます。発根の状態は写真のとおりで、メインで観察してきた箇所同様、水苔の外側まで根が伸びています。

切断は取り木処理した(発根した)箇所のすぐ下側を切断するだけです。生木用の園芸用のこぎりで、水苔が落ちてしまわないよう優しく切断していきます。(枝が込み入った箇所で、他の枝を傷つけないように切断するのは意外に大変でした。)

取り木して十分に発根したレモンの枝木を切断して植木鉢に植え付ける

切断した枝は、水苔を付けたままの状態で植木鉢に植え付けます。鉢に底石(軽石)を少し入れて、化成肥料を混ぜた土を軽く引いておき、その上に切断した枝をセットして園芸用の土を入れていきます。

なお、レモンの木に特別な土は不要と思っていますので、ホームセンターで安価な園芸の土を購入して使用しました。(特別な土が必要なのは、酸性土が必要なブルーベリーなどの一部の植物だけだと思っています。専用のものは不要です。)

植え付けが完了したら鉢の底から水が流れ出てくるまでたっぷり水を与えておきます。(土の中の空気が抜けて隙間が埋まってくれます。)

取り木して十分に発根したレモンの枝木を切断して植木鉢に植え付けたら鉢の底から水が出るまで十分に散水する

写真が植え付けた状態の新しいレモンの苗木(散水中)です。切断した状態での枝のバランスが少し悪かったので、枝葉が多くて重いほうに倒れないように、支柱を立ててくくりつけておきました。

また、しばらくは発根した根の吸水力が弱いと思うので、2~3日は夏の直射日光には当てずに半日陰で療養しました。

更に、植え付け後しばらくは、土が完全に乾かないよう鉢の下にトレーを敷いて水をためて管理する予定です。新芽が確認出来たら、更に十分な根が伸びたサインです。トレーを外して通常管理に移行していきます。

以上で、取り木の作業は完了です。

8.レモンの取り木に必要な期間:検証結果

今回の我が家のレモンの取り木に関する経過(検証結果)をまとめると下記のとおりになります。

イベント対応日開始からの期間
取り木開始6/12
カルス確認7/1約3週間(19日)
発根確認7/23約6週間(41日)
植え付け8/22約10週間(71日)

取り木開始から植え付けまでに必要な期間は、お盆を挟んで最終確認(植え付け)が少し遅れてしまったこと(もう少し前に植え付け可能な状態になったであろうこと)を考慮すると「2か月」(9週間)くらいという結論になりますね。

天候や水苔の乾燥状態などによって必要な期間は前後するかと思いますが、皆様がトライされる際の参考にしてみてください。

・レモンの取り木に成功して

レモンの取り木については、トライした2か所とも十分な発根を見せてくれました。結果としては、大成功と言えますね。植え付け(切断)までに必要な期間も「2か月」という結果で、こちらも当初の予定通りとなりました。

取り木処理したレモンの枝木のすぐ下からたくさん生えてきた新芽

また、観察していて興味深かった点としては、取り木処理をした後すぐに、そのすぐ下の部分から新芽がたくさん生えてきたことです。(写真は取り木処理して約3週間後(7/1)の取り木部下側の様子です。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、新芽がたくさん伸びてきています。)

「ここはもうすぐ切断されてしまうかもしれない。今のうちに新芽を出しておかないと…」とレモンの木が思ったか?は定かではありませんが、植物の反応って面白いですね。^^

しかしながら…同時にトライしてすでにブログの記事にしているオリーブの木については、残念ながら現時点で発根が確認出来ておりません。植物によって難易度に差が出てくるのは当然だと思いますが、今シーズン中に発根出来るか?微妙な感じです。。。

なお、挿し木や取り木には、植物に活力を与えて発根を促進する下記の「メネデール」(ダジャレ?)などの促進剤を切り口に塗布するとよいそうです。すでに秋の足音が聞こえてきている状況ですが、どこかで効果を確認してみたいと思っています。

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