観葉植物として人気があるパキラ。成長したまま放置してしまうと枝が徒長して見た目が悪くなるので、定期的な剪定が必要ですが…折角成長した枝を剪定して捨ててしまうのは勿体ないですよね?そこで今回は、剪定した枝を挿し木にして増やす方法を紹介します。挿し木にした枝の発根率や、発根に必要な期間や注意点などをまとめて、下記リンクにて動画も公開していますので、皆様のガーデニングライフのご参考になれば嬉しいです。【ガーデニング】剪定したパキラの枝葉を挿し木にしてパキラを増やす!
目次
1.観葉植物として人気のパキラ
その育てやすさと、膨らんだ株元の可愛いらしさから、観葉植物としてとても人気があるのが、写真の”パキラ”です。観葉植物をよく育てられている方なら、一度は育ててみたことがあるのではないでしょうか?
パキラは中南米を原産とする観葉植物ですが、直射日光を好みません。ある程度の耐陰性がありますが、光量が不足すると徒長した弱々しい株になってしまうので、室内の窓際などで育てるのにちょうどよい観葉植物になります。
ただし、耐寒性はあまり高くなく、冬越しには5℃以上の気温が必要だと言われていますので、日本(の本州)で屋外にて地植えするのは難しい植物になります。室内栽培でも冬越し中に葉を全て落としてしまうことが良くありますが、株が完全に枯れていなければ、春の到来とともにまた新しい葉を出してくれますので、諦めずに育ててあげましょう。
水やりは、成長期の4~9月には水の吸い込みが良くなりますので、毎日水やりしてもOKですが、土が常に湿ったままだと根腐れを起こしてしまいますので、土が乾いてからたっぷり散水することが重要になります。(観葉植物全般に言える水やりの基本ですが)
成長が鈍化する冬場は、やや乾燥気味に管理した方がいいので、気温が下がる秋口から散水する頻度を減らし、土が乾いた数日後に水やりする感じで管理すると丁度良いでしょう。(サンスベリアのように断水してはいけません。)
また、成長期である4~9月まではモリモリ成長してくれますので、定期的に剪定してあげないと外観が悪くなるだけでなく、葉の間の風通しも悪くなって良くありません。定期的に剪定してあげることが重要になります。
いずれにしても、パキラは可愛い見た目ですが、手があまりかからず、比較的育てやすい観葉植物と言えますね。
2.剪定した枝を”挿し木”で増やす
”パキラ”は成長期にはモリモリ成長しますので、定期的に剪定した方がよい観葉植物になりますが、せっかく成長した枝を剪定して捨ててしまうのは勿体ないですよね?そんな剪定した枝を有効活用して、株を増やしてしまう方法が”挿し木”です。
”挿し木”は当ブログでも何度か紹介していますが、トマトなどの野菜や、ローズマリーやバジルなどのハーブ、レモンなどの果物やポトスなどの観葉植物まで、いろんな植物に適用できる株の増殖方法です。(写真はレモンの挿し木の様子です)
挿し木の方法はいたって簡単です。プランターに赤玉土などの肥料成分のない土を入れ、そこに増やしたい植物の枝を挿しておくだけです。あとは、その枝から発根して新しい株として育ってくれるようになります。
挿し木の注意点としては、発根するまでは土を乾かさないことです。挿し木した土が乾いてしまうと、水が切れて挿し木した枝が枯れてしまうので、プランターに受け皿を設置するなどして、土が乾かないようにすると良いです。
あとは、使用する土に肥料成分がないというのもポイントになります。前述のとおり土を乾かさずに管理する必要がありますので、土に肥料成分が入っているとそれが腐って枝をダメにする可能性があります。よって、この肥料成分がないことが、挿し木を腐らせないために重要になります。
とまあ、何点かのポイントはありますが、挿し木は剪定した枝を活用して赤玉土に挿すだけという、比較的簡単に株を増やす方法になります。詳細は過去記事【ガーデニング】トマトの苗を増やす方法-わき芽を利用した挿し木 【ガーデニング】バジルの苗を株分けと挿し木で効果的に増やす! 【ガーデニング】レモンの苗を挿し木で増やす-必要期間や最適な時期などでもまとめておりますのでご参考にしてみてください。
3.見た目の乱れたパキラを剪定する
それでは、見た目が乱れたパキラの枝を剪定していきます。
まずはリビングで育てているパキラを剪定していきます。
こちらの株は写真右側の枝がまだ細いのにも関わらず、大きな葉をたくさんつけてしまったため、重力で大きく右側に垂れ下がってしまっています。
このままの状態では、見た目が悪いだけでなく、リビングに置くにはかなり邪魔です。子供が近くで暴れる度に葉がちぎれてしまうので、もっとコンパクトな株にしていきたいと思います。
剪定方法はいたって簡単です。右側に垂れ下がってしまっている部分をバッサリとカットするだけです。
現状は、膨らんだ株元から3本の枝が出ていますが、写真の左側の枝は高い位置に葉があり、真ん中の枝は中間高さに葉があります。右側の枝のみが徒長気味に伸びて、外側に垂れ下がっている状態ですので、その垂れ下がっている部分を低い位置でバッサリとカットします。(写真の矢印部をカットしました)
そうすることで、3本の枝の葉が「高い位置」「中間位置」「低い位置」の3エリアにバランスよく分かれてくれますので、全体的に丁度良い見た目になるでしょう。
よって、今回は他の2本の枝は全く剪定しませんでした。(右側の枝を大きくカットしたのみで剪定は終了です)
続いて、私の寝室で栽培している小さめのパキラを剪定します。
こちらは株元から2本の枝が伸びていますが、片方の枝がヒョロヒョロと徒長気味に伸びていて株全体としてのバランスが悪いです。
よって、こちらについては、株全体の高さが抑えられるよう、背が高い方の枝を低い位置でバッサリとカットします。カットした枝の低い部分から新しい葉が出てくれば、株が全体的にバランスよくまとまるようになるでしょう。
これで、我が家で育てている2つのパキラの剪定が終了しました。剪定を行ったのは6月初旬なので、成長期が終わる9月までには剪定した箇所がしっかり成長して、バランスの良いパキラ苗になってくれるでしょう。
4.剪定したパキラの枝を挿し木する
続いては、剪定したパキラの枝を挿し木にしていきます。
まずはリビングのパキラから剪定した大きな枝(写真)から処理していきましょう。
植物は根から水を吸い上げて成長しますが、吸い上げた水は全体に行き渡るとともに、その一部は葉の表面から蒸発します。よって、吸い上げた水が蒸発し過ぎないよう、挿し木する前に最低限の葉を残して除去しておく必要があります。
現状は上写真のとおり、かなり大きな葉がたっぷり付いていますので、今回はそのほとんどの葉を除去していきます。
また、葉の面積が大きいとその分だけ蒸発量が大きくなりますので、残す葉も半分以下の面積になるよう小さくカットしておきます。
結果、こちらの剪定枝については、写真のように葉を4枚残して除去し、残した葉も小さくカットして赤玉土に挿しました。
また、剪定した枝が挿し木にするには少々長すぎた(風で倒れそうだった)ので、枝の下半分をカットして別の挿し木としました。(写真下方に挿さっているのが枝だけの挿し木です)
結果として、2本中1本は葉がない枝を挿し木にする感じになってしまいました。この状態でしっかり発根してくれるか?はわかりませんが、その辺りも含めて以降の経過を確認していきます。
続いては、寝室のパキラから剪定した枝を処理していきます。
こちらの枝については現状で付いている葉が4枚だけです。それほど多くの葉はついておりませんので、葉の数はそのまま残していきます。
また、既に大きく成長した3枚は半分以下のサイズにカットしていきますが、出てきたばかりの可愛い葉については、残してもそれほどの影響はないと思われますので、そのままのサイズで残しました。
そして、こちらの枝も挿し木するにはちょっと長すぎますので、枝の下半分をカットして、葉のない状態で挿し木にしていきます。
結果、今回のパキラの挿し木は写真のようになりました。挿し木した枝は計4本。その内の2本は葉がない状態の挿し木になります。
挿し木が完了したら、たっぷり散水して赤玉土を十分に湿らせます。そして、2項でも説明したプランター用の受け皿を設置して、その受け皿に常に水が溜まっている状態にして、赤玉土が乾かないよう管理します。
また、挿し木直後は枝が少し弱っていて、かつ、環境が変わって戸惑っていると思いますので、2・3日は半日陰で養生させて屋外の環境に慣らし、その後、陽当たりの良い場所に移動させていきます。
5.挿し木したパキラの経過を観察する
今回は2株のパキラから剪定して、計4本の挿し木を行いましたが、このうち何個が発根してくれるでしょうか?挿し木後の経過を観察していきます。(なお、挿し木を実施したのは6月初旬です)
5-1 挿し木から2週間後-6月中旬
下写真は挿し木後、2週間が経過したパキラの様子です。
挿し木した枝の発根の目安は、新しい元気な芽が出てくるか?である程度判断しますが、まだまだそのような状態には見えませんね。
また、挿し木後は、赤玉土が乾かないようしっかり管理したのですが、挿し木時に残した葉が何枚か痛んできています。枝が吸い上げることが出来る水分に対して、残した葉の数が多すぎたのかもしれませんね。
痛んだ葉を残しておいても、株に負担がかかるだけなので、痛んだ葉は根元から綺麗にカットしていきます。結果、リビングのパキラは葉が2枚、寝室のパキラは葉が1枚になりました。最初からこのくらいの葉数にしておくのが良かったのかもしれません。
そして、葉がない状態で挿し木にした枝にも変化が現れ始めました。
写真は寝室のパキラから剪定した、葉のない状態の挿し木になりますが、矢印の部分から新芽らしきものが出始めています。
まだ小さ過ぎるので、新芽ではない可能性もありますが、ダメもとで挿し木した葉がない状態の挿し木にも、発根する可能性が出てきましたね。
赤玉土が乾かないよう管理を継続して、これからの成長を注視していきましょう。
5-2 挿し木から4週間後-7月初旬
挿し木後、4週間が経過しました。挿し木したパキラはどんな感じになったでしょうか?
写真が挿し木1か月後のパキラの様子です。それぞれ、多少の変化があったように見えますので、詳細を確認していきましょう。
まず、リビングのパキラから剪定して挿し木した枝(左側2本)から確認していきます。
まず、葉がない状態で挿し木した枝については、既に茶色く変色してしまって枯れてしまっているように見えます。(地表部の枝の先端部は、既に枝の中が空洞になっていてストローのような状態です。)
枝を抜いて地中側の先端を確認してみたところ、発根する前兆である”カルス”(写真の白い部分)が出来ているようには見えますが、発根している様子は見られませんでした。
ただ、状態としては、完全には枯れていないようにも見えますので、一応、元の状態に戻して、完全に枯れるまで挿し木を継続していきます。
続いて、葉がある状態で挿し木した枝についてはどうでしょうか?
よく観察してみると、残した葉の根元部分から写真のような小さな葉が出てきていることが確認できました。まだまだ本当に小さな葉ですが、新しい葉が出てきたのはかなり良い変化ですね!
新しい葉が出てきたということは、既に発根が進んでいる可能性があります。期待して根元の状態を確認しましたが…根はまだ1本も生えてませんでした。
他の植物では、「新芽=発根」となるものが多いイメージですが、パキラはそんな簡単に発根してくれる植物ではないようです。こちらも元通り赤玉土に挿して、再度経過を確認していきましょう。
続いては、寝室のパキラから剪定した挿し木の状態を確認していきます。
まず、葉がない状態で挿し木にした枝に、挿し木後2週間の時点で確認された「新芽らしきもの」は写真の通りの小さな葉に成長しました!(可愛いですね)
そして、写真では見えにくいですが、その葉の下に新たな小さな葉も生えて来ています。それぞれの葉が小さいのはちょっと気になりますが、経過としては順調に見えます。
小さいながら新しい葉が生えてきているのであれば、発根も進んでいるのでは?と期待して根元の状態を確認してみましたが…こちらも根は1本も生えていませんでした。発根までにはもう少し時間が必要な感じですね。
葉がある状態で挿し木した枝については、この2週間での大きな変化はありませんでしたが、枯れている様子は全くなく順調に見えます。継続して経過を観察していきます。
5-3 挿し木から6週間後-7月中旬
挿し木後、6週間が経過しました。ぞれぞれの挿し木の様子を確認していきましょう。
写真は6週間後の全体の様子になりますが、まずはリビングのパキラから剪定した挿し木(左側2本)の状態を確認していきます。
まずは、葉がない状態で挿し木した枝の状態ですが…地中の根元まで完全に茶色くなっています。既に枯れてしまっているようですので、こちらの枝は諦めましょう。
葉がある状態で挿し木にした枝については、4週間後時点で小さかった葉がだいぶ伸び、しっかり「新葉」と呼べる状態になりました!
期待を込めて地中側の先端状態を確認したところ…写真のようにしっかりとした根が複数生えてきていることがわかりました。
ここまで発根してしまえば、もう通常の培養土に植え付けても大丈夫ですね。この挿し木は”挿し木場”から卒業して、新たなパキラ株として育ってもらいましょうww
続いて、寝室のパキラから剪定して挿し木した枝の状態を確認していきます。
まずは、葉がない状態で挿し木した枝の状態は、4週間後からそれほど変わっていないように見えます。
念のため、地中側の先端状態を確認したところ、写真のとおり、まだ弱々しいですが、複数の根が発根し始めていることが確認できました!
やっぱり、新しい葉が出て来てくることで光合成が出来るようになるので、その効果で発根も促されるというロジックなのでしょうね。
ただし、まだまだかなり小さい根なので、”挿し木場”から卒業するにはちょっと早計な感じがします。もう少し、この”挿し木場”でしっかりとした根を生やしてから卒業させてあげましょう。
続いて、葉がある状態で挿し木にした枝の状態を確認します。
外観的な状態としては、小さい新葉がわずかに出てきているという状態ですが、生育状態は問題なさそうです。
地中側の先端状態を確認してみると、写真のようにしっかりとした根が何本か発根出来ていることが確認できました!
ちょっと根の数が少ない気もしますが…まあ、卒業する状態にはなっているでしょう。ということで、こちらの枝も、この”挿し木場”からは、卒業させることにして、通常培養土の鉢に植えていきます。
ここまでの結果としては、葉のある状態で挿し木した枝が発根するまでに必要な期間は「6週間」ということになりましたね。
発根が十分でなかった、葉のない状態で挿し木した枝については、そのまま継続確認していきます。
5-3 挿し木から8週間後-7月下旬
挿し木後、8週間が経過しました。
葉がある状態で挿し木した枝は、6週間後の時点で”挿し木場”から卒業しましたが、その時点で発根が不十分だった、葉がない状態で挿し木にした枝のその後の状態を確認していきます。
外観的には新たな葉が出てきているわけではなく、あまり変化がないように見えますが、地中側の先端状態を確認してみたところ…写真のように前回は短かった根が長く伸びていることが確認できました。
まだそれぞれの根がちょっと細いようにも感じますが、これだけ長く伸びていれば、普通の培養土に植え付けても成長していけるでしょう!
ということで、この枝も「8週間」で、この”挿し木場”から卒業です。(おめでとう!)
これで挿し木した枝のすべての結果が確認できました。結果としては、枝を4本挿し木にして、3本が発根して新しい苗になりました。(パキラ苗が3本増えました)
6.パキラの挿し木について-結果まとめ
挿し木した4本のパキラが、”挿し木場”から卒業(一部は退学)しましたので、その結果から、パキラの挿し木についてまとめていきます。
まず、パキラを挿し木にする場合の注意点としては、枝に葉を残した状態で挿し木することが望ましい!という結果となりました。(写真は葉を残して挿し木したパキラ苗です)
葉を残した状態で挿し木した枝は、2/2本が発根に成功し、成功率は100%でした。しかしながら、葉がない状態で挿し木した枝は、2本中1本は新葉を出せずに枯れてしまい、成功率は50%でした。サンプルが4本と少ないですが、葉がある状態で挿し木した方が良いのは間違いなさそうです。
また、挿し木時に残す葉の数については、挿し木後に枯れてしまった葉の状況から考えると、残す葉は1枚~2枚で良く、あまり多く残し過ぎても、葉からの水分蒸発が多くなりすぎるなどして良くないという結果になりました。
そして、パキラを挿し木した場合に発根(鉢への植え付け)までに必要な期間は下記のとおりです。(写真は葉がない状態で挿し木したパキラ苗です)
- 葉がある状態の挿し木:6週間
- 葉がない状態の挿し木:8週間
前述のとおり挿し木する場合は、葉がある部分を挿し木にした方が良さそうですが、その場合の必要期間は6週間。葉がない部分でも更に2週間くらい養生すれば、何とか発根出来るという結果ですね。(成功率は下がりますけど)
以上の結果をまとめると、パキラの挿し木に際しての注意点などは下記のとおりとなります。
- 葉がある部分の枝を挿し木にした方がよい
- 残す葉は1枚~2枚とし、葉の半分くらいをカットする
- 挿し木から植え付けまでに必要な期間は6週間程度
皆様が挿し木にトライする際のご参考にしてみてください。(6月~7月での結果です)
7.葉の部分だけでも挿し木が可能?
今回はパキラの”枝”の部分を挿し木にしましたが、実は”葉”の部分だけを挿し木にしても苗を増やすことが可能なようです。
実は今回も、ご紹介した”枝”の挿し木と同時進行で、”葉”だけを挿し木(まずは水挿し)にすることにもトライしていたのですが…ある理由で失敗してしまっています。
失敗した原因は既に明確になっていますので、今後、剪定できるような葉が出てきた際に、再度、”葉”のみの挿し木にトライしたいと思います。
結果は、またこのブログなどでまとめていきますので、楽しみにして、お待ちくださいませ。