リビング横にある和室の引き戸が閉まりきらずに隙間が空くようになりました。どうやら、Panasonic製のソフトクローズ機構が故障したようです。そこで今回は、引き戸が閉まりきらなくなった原因を調べて、容易に入手できる材料にて修理を行いました。耐久性の確認はこれからですが、修理作業はとても簡単です。築後10年以上経過したお家であれば、そろそろ同じような現象が発生し出す頃です。下記リンクにて動画も公開していますので、内容をご参考にしていただき、是非DIYで修理してみてください。
1.引き戸がソフトに閉まる:ソフトクローズ機構
下記リンクの記事では、「開き戸」を自動で閉めて半開きを防止してくれる「ドアクローザー」リョービ”ドアマン S-101PV ”をDIYで設置する方法をご紹介しました。
「引き戸」で同じような働きをしてくれるのが、ソフトクローズ機構と呼ばれるものです。
我が家の住宅設備にはパナソニックの製品がたくさん採用されています。引き戸は、リビング横の和室(2枚)、浴室、2階トイレの入り口に設置されていますが、それぞれにソフトクローズ機構が採用されています。
Panasonic製のソフトクローズ機構の原理は下記のとおりです。(Panasonic HPより引用した図を少々加工しました)

引き戸の上部には、先端にローラーが付いたアームが取り付けられていて、引き戸が開いた状態では「リセット状態」で位置が固定されています。(左図の状態です)
そして、そのアームは上に少し引き上げられると自動でゆっくり上がっていく仕組みになっていますので、引き戸が閉められるとローラーが枠側に固定されている四角い突起にぶつかって上に引き上げられ、そこから自動でゆっくり上がっていくことで、引き戸が”自動でゆっくり閉まっていく”仕組みです。(真ん中の図の状態です)
また、引き戸が開けられる際には、傾斜のある突起で「リセット状態」の位置に戻され、再び「リセット状態」で固定されます。(右図の状態です)

更に、引き戸を閉じる際には、ローラーが枠側の傾斜のある突起に当たることで引き戸を”閉める勢いを吸収”してくれますので、引き戸が勢いよく枠にぶつかることもありません。
さらっと説明してしまうと簡単な原理ですが、意外と良く考えられている機構ですよね。(流石、Panasonicさんといったところでしょうか)
我が家も、このソフトクローズ機構がすべての引き戸に標準装備されているおかげで、家族が平和に暮らせていると言えます。(引き戸が勢いよく閉まって、家の雰囲気が悪くなることがありませんw)
2.ソフトクローズ機構の引き戸が閉まらない

機構的には非常に優れたソフトクローズ機能ですが、ある頃から、我が家のソフトクローズ機能付きの引き戸が閉まりきらなくなりました。(写真のように引き戸を締めても隙間が空いてしまうようになりました)
まあ、室内犬が出入りするために、完全に閉めることが少ない引き戸なので、しばらくはそのままの状態で使用してきましたが…
そうこうしているうちに、今後は浴室の引き戸も同じように閉まりきらなくなりました。我が家には、そろそろ思春期を迎える娘がおりますので、浴室のドアが完全に閉まらない(鍵がかからない)のは少々問題があります。
取り急ぎは、引き戸が閉まりきらなくなった原因を調べて、DIYで修理が出来ないか?確認することにしました。
3.ソフトクローズ機能の引き戸が閉まらない原因
それでは、DIYで修理すべく、引き戸が閉まらない原因を調べていきます。まずは、引き戸が閉まる際に上下するアームの状態を調べます。

写真の左側がしっかり閉まる(正常動作する)引き戸のアームで、右側が閉まりきらない引き戸のアームです。
引き戸が開いた状態ではアームが「リセット状態」になっている必要がありますが、比較してみると、左側はローラー位置が手前に見えていてより低い位置にあり、「リセット状態」になっているように見えます。
しかしながら、右側はローラ位置がより奥側に見えていて高い位置にあり、「リセット状態」になっていないように見えます。(写真の画角では、右側のローラー位置の方が低く見えますが、構造的にローラーがより奥にある方が位置は高いです)
まずは、閉まりきらなくなった引き戸(右側)のアームを「リセット状態」に戻して、引き戸を開閉してみます。アームを戻して1度目の閉じ動作では引き戸が完全に閉まるようになりましたが、2度目の閉じ動作では閉まりきらなくなってしまいました。
閉まらなくなった引き戸のアームを再度確認すると、アームが上がりきった状態に戻っています。どうやら、開ける動作で「リセット状態」に戻らなければいけないアームが、何らかの原因で「リセット状態」に戻らなくなってしまったことで、ソフトクローズ機構が動作しなくなっているようです。
今度は、引き戸を外してアームの動きを詳しく確認してみます。

写真は、アームが「リセット状態」から徐々に上がっていく途中の写真になりますが、アームの動きは正常のようです。
具体的には、「リセット状態」にするとその位置でしっかり固定されますし、そこから少し上にあげると、そのままいい感じでローラーがゆっくり上昇してくれます。
では、なぜ開ける時に「リセット状態」に戻ってくれないのでしょう?正常動作する引き戸との差分を確認しようと、正常動作する引き戸も外してアームを詳しく確認してみたところ…非常に興味深いものを発見しました。

写真がアームの周辺から発見したものになりますが、劣化してちぎれたゴム部品がアームのそばに散乱していました。
ちぎれた破片を組み合わせてみると、どうやら輪っか状のゴムの残骸のようです。そして、そのゴムの幅はアーム先端のローラーと同じくらいの寸法です。
そうです!元々ローラーに装着されていたゴムが経年劣化で粉々になって破壊され、ローラーの内部部品(恐らくPOM材)がむき出しになっていたのです。
設計的には、引き戸を開ける際、枠側に固定された部品をローラーが通過することで、アームが「リセット状態」に戻る設計になっていますが、ゴムがなくなってしまったことで、アームがリセット状態に戻らなくなってしまった可能性が高いです!

実際に寸法を測定してみると、ローラーのゴムが嵌っていたであろう(一段低くなった)部分の幅寸法は7.8mm程度です。対して、開閉する時にローラーが通過する枠側部品の幅寸法は6.4mm程度でした。
これで、状況証拠がかなり揃ってきましたね。
ゴムがなくなってしまったことで、枠側部品を通過する際にゴムの厚み分だけローラーが下がらない状態になります。それがアームが「リセット状態」で固定されない直接的な原因になったと推測されます。
なお、破損したゴムは、現在、正常動作している引き戸で発見しましたので、ゴムの破損が、即、引き戸が閉まらない不具合につながるわけではなさそうですが、状況的には、今現在は正常動作している引き戸も遅かれ早かれ、閉まりきらなくなるのでしょう。(なんて恐ろしい設計でしょうw)
また、浴室の引き戸に関しても、同様の状態であることが確認されましたので、今回確認した3つの引き戸すべてでゴムが破損していたということになります。
4.故障したソフトクローズ機構を修理する
原因がわかったところで、故障したソフトクローズ機構を修理していきます。
ローラーに新たなゴムの輪っかを付けていくのは現実的ではありませんので、代替になるものがないか?を考えます。結果、導き出した答えは下記です。
修理に使用するのは、どのご家庭にも一つくらいはあるであろう、極々一般的な「ビニールテープ」です。

私はDIYで電気工事をすることが多いのでいつも常備していますが、絶縁処理に使用する黄色のビニールテープでは目立ってしまうので、たまたま持ち合わせていた白色のビニールテープ(写真)を使用していきます。
このビニールテープを、ゴムが取れたローラーにゴムの厚み分だけ巻き付けて、アームが「リセット状態」に戻るように修理していきます。
ビニールテープにはゴムほどの衝撃吸収性はありませんが、塩化ビニル製ですので、ある程度のクッション性があります。そのクッション性を利用して、引き戸を閉じる際の衝撃吸収効果も狙っていきます。(現在のゴムのない状態では、開閉時に硬い樹脂部品どうしがぶつかっている状態なので、その状態と比較すればかなりいい感じになるはずです。)

貼り付け方法は、ビニールテープを破損したゴムの幅にカットし、ローラーを回転させながら巻き付けていくという方法です。
ローラーの材料には恐らく、摺動性に優れたPOM(ポリオキシメチレン)樹脂、通称”ジュラコン”(商品名)が使用されていると思われます。
POM樹脂は摺動性が良い分、テープの接着性がとても悪い樹脂になりますが、テープを一巻き以上させて、テープどうしを接着させてしまえばしっかりとした密着性が確保できますので、使用中に簡単に剥がれてしまうこともないでしょう。
ビニールテープが一巻き出来たら、ローラーを巻いて溝が埋まるまで(ゴムの厚み分くらいまで)テープを巻き付けていきます。

テープの巻き付けが完了したら、アームを「リセット状態」に戻して引き戸をセットし、実際に開閉してみます。結果は…引き戸が完全に閉まるよう、完璧に修理することが出来ました。(写真は完全に閉まるようになった引き戸です)
もちろん、引き戸を何度開閉させても、引き戸を開いた状態では必ず「リセット状態」に戻るようになりましたし、ゆっくり閉まっていく動作にも問題ありません。結論として、私の仮説、及び対策は適切だったようです!
残る問題は耐久性ですが、2週間ほど使用した現在でも特に問題はありませんので、ある程度の耐久性もあると考えています。(ビニールテープがちぎれることはあまり考えられませんし、ビニールテープの接着も時間の経過で更に強固になっていくはずなので、耐久性もかなりあると考えています。)
5.ソフトクローズ機構の耐用年数は15年以下
閉まらなくなった引き戸が修理出来たら、ゴムは破損したが現状では問題なく開閉できていたもう一つも引き戸についてもビニールテープを巻いて修理しました。(修理による弊害はありませんでした。)
続いて、閉まりきらなくなっていた浴室の引き戸も修理します。

状態としては、リビング横の引き戸と同じ状態でした。写真のような”ゴムの残骸”が散乱していて、ロールがむき出しになっていました。
”ゴム残骸”の端面にはひび割れがたくさん確認できますので、もはやボロボロの状態ですね。(辛うじて輪っかの原型を保持している状態です)
こちらの引き戸も、リビング横の引き戸と同様にビニールテープを巻いた結果、無事、完璧に修理することが出来ました。(これで娘の入浴時も安心ですw)
ついでに、開閉としては問題ないもう一つの引き戸である2階トイレの引き戸の状況も確認しましたが…こちらも例に漏れず、ゴムがなくなっていました。(ローラーが剥き出しの状態でした。)今後、閉まりきらなくなるのは時間の問題だと思いますので、こちらも後日、改めて修理しておきます。
結果として、我が家の引き戸の4か所中2か所(50%)が閉まりきらなくなっており、4か所中4か所(100%)の引き戸でゴムの破損が確認されました。我が家は今現在で築15年ほどですので、パナソニックさんのソフトクローズの耐久性は15年以下ということになりますね。(その感想は後ほど…)
・故障したソフトクローズ機構を修理して
今回は、故障して閉まりきらなくなった引き戸を、ビニールテープを使用して簡単修理しました。どのお宅にもあるもので簡単に修理できますので、築年数が10年以上経過しているお宅でソフトクローズ機構の引き戸があれば、是非一度、状態を確認しておくことをおススメします。

っていうか、戸建ての住宅は35年とかでローンを組んで、それ以上住み続ける想定のものです。引き戸の耐用年数が15年以下ってちょっと設定が低すぎると感じるのは私だけでしょうか?
ゴムではなく、ゴムとプラスチックの中間材料である”エラストマー”などの材料を使用すれば、耐用年数はもっと向上できたはずです。本質的には時限式の設計品質問題とも言える事象だと思いますので、Panasonicさんには是非改善をお願いしたいですね。(今後、同じような被害者がでないように…)
PanasonicさんにはいつもDIYでお世話になっていて感謝しています。古民家のように耐用年数100年以上を要求したりはしませんので…もっと頑張って!Panasonicさん!w




コメント
はじめまして。
我が家の引き戸もテープを貼るだけで機能回復しました!
新品部品代だけでも1万オーバーということがわかり、ダメ元で分解するか~と考えながら検索してみて目からうろこでした。
他の記事もおもしろそうなものが多いので参考にさせていただきます!
ありがとうございました!
コメントありがとうございます。私の拙い記事がお役に立てたようで嬉しいです!
ビニールテープの耐久性がどれほどか?はわかっておりませんが、補修が簡単なので、他の箇所が壊れて引き戸としての寿命がくるまでは使用できそうです。
それにしても、部品代が1万円オーバーとは…引き戸ごと交換させたい思惑が見えて残念ですね。(ソ〇ータイマー的な設計を疑ってしまいます。)
丁度うちでも昨晩から寝室の引戸が閉まらなくなり困っていたところです。
同じ構造の脱衣場の戸を外して色々調べていたら同様にウレタンのローラー部品が出てきました。
部品として購入しようとすると1万円以上する様なのでこちらのブログを参考にビニールテープでの補修を実践してみます。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
ビニールテープでしっかり補修できることを祈っております!
一度目はテープを巻きすぎて直径が大きくなってしまい上手く溝に入りませんでしたが、
少しずつ径を小さくしながら調整し、上手く修復する事が出来ました。
ついでに脱衣場の引戸も同様に直して上手く行きました。
ほんと助かりました。ありがとうございました。