【DIY】24時間換気システムの住宅で換気口を閉じた時の給気は?

24時間換気システムで換気口を閉じた時の屋内の空気の流れを考察

現在の住宅には各部屋に換気口(通気口)が設置されていますが、隙間風が入ってくるため閉じたままにしている方も多いと思います。現在の住宅には、なぜ各部屋に換気口(通気口)があるのでしょうか?そして、その換気口(通気口)を閉じたままにするとどうなるのでしょうか?その辺の疑問を明確にすべく記事をまとめてみました。部屋から廊下などへ空気を漏れなくする方法含めて「24時間換気システム」の考え方をまとめていますので、換気系DIYを行う際のご参考にしてみてください。

1.住宅の各部屋に換気口(通気口)がある理由

隙間風は入るのでいつも閉じられていることが多い住宅の換気口(通気口)

皆さんのお家にも各部屋に写真のような換気口(通気口)が設置されていると思います。

しかしながら、冬場に「開」状態にしておくと隙間風が入って来て寒いし、夏場はエアコンの冷気が逃げてしまうので、常時「閉」状態にされている方が多いのではないでしょうか?

こんなものは昔の住宅にはありませんでした。(実際に、私の実家にはありません。)最近の住宅には、なぜ使用頻度の低いこんなものが設置されているのでしょうか?

その理由は、住宅の気密性が上がったことに起因すると言われています。昔の住宅は適度に隙間があり、家の中の汚れた空気などが自然に換気されていました。それに対して、最近の住宅は気密性が上がったことにより汚れた空気が換気されなくなったため、換気口が必要になったというわけです。

住宅の隙間から隙間風が入ると寒い

でも、上記だけ聞いてしまうと…「冷暖房の効率を良くするために、せっかく家の気密性を上げたのに、壁に穴を開けて換気するなんてアホじゃね?」って思いますよね。換気がしたいのであれば、窓を開ければいいだけですから。

個人的に上記は、我々一般市民を納得させるために聞こえ良く理由付けされた”建前”なのだと考えています。各部屋の換気が必要となった直接的な原因は、建築資材や家具などに含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質を屋外へ排出しないといけなくなったためです。

住宅の気密性が向上し有害なホルムアルデヒドなどの化学物質が自然換気されなくなりシックハウス症候群などの症状が報告されるようになった

住宅の気密性が上がったことで、有害な化学物質が自然換気で屋外へ排出されなくなったことが原因となり、各所でシックハウス症候群などの症状が報告されるようになりました。そこで、2003年に建築基準法が改正され、「24時間換気システムの設置」が義務化されたというわけです。

となると…やっぱ「アホじゃね?」ですよね。(笑) 有害な化学物質が健康を害するのがわかったのであれば、「24時間換気システムの義務化」を行うのではなく、「有害な化学物質の規制」を行うのが本筋です。なんだか、この辺りにも行政の闇を感じますよね。。。

2.24時間換気システムによる屋内の空気の流れ

住宅建材や家具などに含まれるホルムアルデヒドなどの有害物質を屋外に排出するために義務化された「24時間換気システム」ですが、それにより屋内の空気の流れはどうなっているのでしょうか?

部屋やトイレ、お風呂場などの空気を強制的に換気させる換気扇(パイプファン)

排気が行われるのは、主にトイレやお風呂場などに設置された換気扇です。(写真は、以前の記事【DIY】異音がうるさいトイレの換気扇を交換する -パイプファンにてトイレに設置したPanasonic製パイプファン”FY-08PD9D”です。)

トイレなんて年中臭いわけではありませんし、お風呂場もお湯を張っていない状態では換気は必要ありません。何で24時間換気する必要があるのだろうと不思議に思っていましたが、常にどこからかの換気が行われるよう、法律で定められていたんですね。

では、給気が行われるのはどこからなのでしょうか?その答えは、家の図面を確認するとわかります。

住宅の自然換気による空気の流れ

家の図面には、空気の流れが矢印で表示されていますが、我が家はトイレやお風呂場の換気扇を出口(排気口)として、各部屋の換気口(通気口)が給気口となるよう設計されていました。(図は我が家の2階の空気の流れを図示したものです。)

したがって、我が家の「24時間換気システム」で想定されている空気の流れは、「各部屋の換気口(通気口)から新鮮な空気を給気して、トイレやお風呂場の換気扇から排気する」前提となっています。(他のお家の図面を見たことはありませんが、きっと同じような設計になっていると思います。)

3.換気口(通気口)を閉じた状態での給気は?

住宅建材や家具に使用される有害な化学物質を屋外に排出するために義務化された「24時間換気システム」は、トイレやお風呂場などの換気扇を24時間稼働させて排気し、各部屋の換気口(通気口)から給気を行う前提であることがわかりました。

部屋の換気口(通気口)を閉めた状態

しかしながら、換気扇で排気した分の給気を行うはずの各部屋の換気口(通気口)は、常時「閉」状態のままにされている方も多いはずです。冬はそこから隙間風が入ってきますし、夏はそこから冷気が逃げてしまうので、そうなってしまうのは当たり前ですけど。。。

換気扇で屋内の空気が排気されるだけで給気が行われないのであれば、室内の空気はどんどんなくなって、いつかは”真空”になってしまいますが…実際にはそうはなりません。ということは、どこからか人知れず給気が行われているということです。では、排気された分の空気はどこから給気されているのでしょうか?

部屋のコンセントやスイッチの隙間からは壁からの冷気が流れ込んでくる

最近の住宅は気密性が向上したと言ったとて、よく見てみると、部屋の各所には少しずつの隙間があります。例えば、ドアの周りには、ドアがスムーズに動くための隙間が必ずありますし、コンセントやスイッチプレートなどもカバーで密閉されているわけではないので、その隙間で部屋と壁の中がつながっています。(写真はカバーを外したスイッチの外観です。)

また、天井裏に入ってみると良くわかりますが、天井裏と各部屋の壁との間には、ある程度の断熱材が配置されてはいますが、空間としてはつながっています。そして、天井裏や壁の中などの空間は、外気との換気が行われている屋根裏や床下につながっています。

よって、外壁の気密性が向上したと言っても、屋内の各部屋は相互に少しずつつながっていて、壁の中ともつながっています。そして、壁の中は天井裏、そして最終的には屋根裏、床下などともつながっていますので、各部屋の換気口(通気口)を閉めたとて、給気される空気の経路はたくさんあるということです。

キッチンのレンジフードを動作させると電源ケーブルを引き込んでいる天井の穴から給気が行われる

実際、冬場にコンセントの増設などの電気工事を行うと、コンセントボックスなどからかなりの隙間風が入ってくることがよくわかります。以前の記事【DIY】レンジフード交換工事-プロペラファンをシロッコファンでは、キッチンのレンジフードをDIYで交換しましたが、レンジフードを動作させると、電源ケーブルを引き込こんでいる天井側の穴(写真上部の穴)から、勢いよく空気が給気されてくるのが確認できました。

したがって、各部屋の換気口(通気口)が閉じられたままの「24時間換気システム」では、トイレやお風呂場、そして台所で換気(排気)された分の空気が、天井裏や床下などから壁伝いに給気されて循環していることになります。

4.24時間換気システムの空気の流れを変える方法

24時間換気が行われている住宅では、換気を行うトイレやお風呂場などの気圧は下がって、他の部屋に対して「負圧」になります。すると、各部屋からの空気が廊下などを通って、トイレやお風呂場などに流れていくという空気の流れが出来あがります。(2項で図示したとおりです。)

部屋の匂いは24時間換気システムの空気の流れで部屋から廊下などへ拡散される

では、ある部屋で”異臭”が発生したとしましょう。その部屋で発生した”異臭”は家の中にどのように拡がっていくでしょうか?

その部屋の窓を開けない限りは、その部屋から直接屋外に”異臭”が排出されることはありません。「24時間換気システム」で作られた空気の流れに沿って、その異臭はトイレやお風呂場に向かって、部屋の外に拡散していきます。

では、部屋で発生した”異臭”が屋内に拡散しないようにするにはどうしたら良いでしょうか?その答えは1つです。異臭が発生した部屋から直接排気を行う以外にありません。

そんな時に活躍するのが下記のような換気扇(パイプファン)です。(トイレに設置されている換気扇と同等仕様のものになります。)部屋にこのような換気扇(パイプファン)を設置すれば、”異臭”が屋内へ向かって拡散することを防ぐことが出来ます。

上記は、Panasonic製のパイプファン”FY-08PDEPD”になりますが、通常の換気口(通気口)に使用されているΦ100mm塩ビパイプにピッタリ適合するの換気扇なので、使用していない換気口(通気口)を取り外して、それと置き換える形でそのまま取り付けることが出来ます。(交換方法は過去記事【DIY】使用していない換気口を換気扇(パイプファン)に交換するにてまとめていますのでご参考にしてみてください。)

電気シャッター付きの換気扇(パイプファン)は電源をオフするとシャッターが締まりゴキブリなどの侵入を許さない

更に、本製品はスイッチをオフにすることで、電気式のシャッターが閉まる仕様になっているので、換気扇をオフにした状態でも、ゴキブリなどの侵入を許しません。(電源をオフにすると、写真のルーバー部分がカシャっと閉じます。)24時間の稼働を前提としない換気扇には必須の仕様ですね。

ただし、電源ケーブルを壁内に配線して端子に直接接続する仕様なので、スイッチをオン・オフするためには本体とは別の「スイッチ」も必要となるため、設置には電気工事士の資格と知識が必要な製品です。

電気工事士の資格がないという方には、下記のような電源コード式の製品もあります。引き回すコードが剥き出しになってしまうというデメリットがありますが、施工は簡単なのでおススメです。

なお、今回は我が家でたばこの煙を拡散させていた部屋にパイプファンを増設し、たばこの匂いが拡散しないよう施工しました。その内容も合わせてご紹介したかったのですが、記事が長くなりましたので、そちらの紹介はまた別の記事にてご紹介したいと思います。

部屋に換気扇(パイプファン)を設置したことで屋内の空気の流れを変えることが出来る

結果、我が家の2階には、以前に私の寝室に設置した換気扇含めて3部屋中2部屋に換気扇が設置され、設置後の空気の流れは図のようになりました。

2階で排気している空気がどこから給気されているか?は、もはやわかりません(1階からも流れてきているでしょう)が、部屋からの匂いが屋内に拡散されないメリットは結構大きいです。

以上、換気系のDIYを行う際には、家全体の空気の流れを考えて実施した方がよいというお話でした。ご参考にしてみてください。

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