輸入する果物、特にレモンなどの柑橘類には、輸入時に表面がカビないように「防カビ剤」が使用されています。「防カビ剤」は体に良くないと言われますが、それはどんなもので、どのような理屈で使用されているのでしょうか?状況を改めて確認するとともに、その除去方法などについても調べてみました。いずれにしても、レモンを皮まで堪能したいのであれば国産レモンです!そして、究極はガーデニングでの自家栽培ですよ!
1.輸入果物に使用される「防カビ剤」
昔から言われていることなので、皆さんもなんとなく認識されていると思いますが、輸入される果物、レモンやオレンジなどの柑橘類、ブドウやバナナなどには輸入している最中に表面がカビることを防ぐために「防カビ剤」と呼ばれるものが使用されています。
日本の農産物市場においては、消費者が農産物の外観などにこだわり過ぎる傾向にあります。味や新鮮さが全く変わらないのに、傷が少しあるだけで売り物にならないとか、ちょっとやりすぎです。
家庭菜園で野菜や果物を自作している方は、表面に傷が付いたとて、表面が虫に食われていたとて、その箇所を取り除けば美味しく食べられることを知っています。傷や虫食いのある分だけ安くなるのは仕方がないとしても、そんな農産物たちが市場で普通に消費される世の中であって欲しいものです。
さて、少し話が逸れましたが、そのような日本市場の極端な状況がどれくらい影響しているか?はわかりませんが、輸入果物は「防カビ剤」が使用されることで外観が維持され、そのまま店頭で販売されています。
2.輸入果物の防カビ剤は「食品添加物」?
輸入果物に使用されている防カビ剤は「防ばい剤」とも呼ばれ、表面についたカビの繁殖を抑制する「食品添加物」として扱われれています。
しかしながら、その成分は「農薬」と同じです。これは一体どういうことでしょうか?(かなりショッキングな話ですね。)
日本では、”収穫前”に使用する殺虫剤などを「農薬」と定義していて、”収穫後”に果物の腐敗や変色防止を目的として使用するものを「食品添加物」として扱い「食品衛生法」で規制しています。その理屈で「防カビ剤」は「農薬」と同じ成分ですが「食品添加物」に分類されます。
「食品添加物」については、”日本では海外で許可されている量の○○倍もの含有が認められている!”など、その規制内容について多くの問題が指摘されています。本件も、「農薬」を「食品添加物」としてマイルドに表現するところなんか、その危険性を感じにくくするような悪意さえ感じる人もいるでしょう。(基本的に「万引き」とか「いじめ」とか、聞こえ方がマイルドになってしまう表現は良くないです。「万引き」は窃盗、「いじめ」は暴行・傷害、そして恐喝です。)
一般的な感覚で言えば、どんな理由があるにせよ、成分が「農薬」と同じにも関わらず、収穫後に使用することで「農薬」と言わなくなるなんておかしいですよね。
3.防カビ剤が食品添加物になった経緯
収穫後に使用される農薬は「ポストハーベスト農薬」と呼ばれていて、海外ではその使用が規制されている国もあります。(使用する量によっては”有害”ということでしょう。)
日本における「防カビ剤」事情の発端は、1975年に輸入した外国産レモンから「ポストハーベスト農薬」として使用された「防カビ剤」”OPP”(オルトフェニルフェノール)が検出されたことから始まります。当時の日本では”OPP”を「農薬」として使用することすら認めていなかったので、当然ながら、そのレモンは廃棄処分されました。
しかしながら、そこで世界の”ジャイアン”USAからの”ごり押し”が始まります。そして、弱腰外交で名高い世界の”のび太”JAPANは、半ば押し切られる形で「食品添加物」という名目にて「防カビ剤」の使用を許可しました。
その結果、下記の「ポストハーベスト農薬」など、収穫後の果物に使用される多数の農薬が「食品添加物」として取り扱われるようになりました。
- OPP(オルトフェニルフェノール)
- TBZ(チアベンゾール)
- ジフェニル
- イマザリル
なお、今現在、防カビ剤を使用した果物には、使用した「食品添加物」としてその旨を明記するよう義務付けられていますが、世界の”ジャイアン”からはその表記義務も撤廃するよう要求が出ているようです。わが国(”のび太”)には毅然とした態度で対応してもらいたいですね。
4.輸入レモンから防カビ剤を除去する方法は?
一口に「防カビ剤」と言っても使用方法は様々です。”OPP”は、果実の収穫⇒水洗い後に、果実全体にシャワー状に噴霧されるようですし、”TBZ””イマザリル”などは表面にコーティングされるワックスに含有されるようです。
柑橘類は元々表皮表面にワックス層を持っていますので、防カビ剤はその元来のワックス層、及びコーティングされるワックス層に含有しているということになりますね。
中国などでは表面に付着した農薬を除去するために、野菜を料理に使用する前に”食器洗い用洗剤”で洗うのが普通なのだそうです。通常の農薬は「水溶性」(水に溶ける性質)のものが多いので、かなりの農薬成分がこれで除去できます。
しかしながら、「ポストハーベスト農薬」は一部を除いて水に溶け”にくい”ものが多いようなので、この”中国式農薬除去法”(食器用洗剤)では除去できません。(残念ですね。)
「防カビ剤」については、ワックス層を除去してしまうことで、ワックス層と一緒に成分を除去することが出来るようです。具体的には、「アルコール」(エタノール)をキッチンペーパーなどに含ませて、ワックス層を表面から根こそぎ取り除くという方法がよいみたいです。(私は試したことがありませんが…)
ただし、防カビ剤が皮を通過して果肉にも到達しているとか、皮から飛散する汁に防カビ剤が含まれるとかいろいろな話もありますので、ワックス層を除去するだけでは完全な対策にはならないかもしれませんね。(防カビ剤たっぷりの果物をそのまま食べるよりは随分と良さそうですけど。)
そうなると、確実なのはやはり”国産レモン”を購入することです。例え「防カビ剤」が「食品添加物」扱いにされていたとしても、体に良くないとわかっているものをわざわざ使用するような農家さんは日本にはいないはずですから。(と信じたい。)
ただし、国産レモンでも「無農薬」と明記されているもの以外は農薬が使用されていると思った方がよいので、使用する前に”中国式農薬除去法”で農薬を除去してみるといいかもしれません。(笑)(前述のとおり、農薬は水溶性のものが多いので、散布量が中国産野菜のように多くなければ、水とスポンジだけで大分除去出来そうですけどね。)
更に最強なのは、ガーデニングでの自家栽培です。自分の庭であれば、完全無農薬で栽培が出来ます。写真は私のお庭で収穫したレモンですが、2022年は計26個のレモンを収穫することが出来ました。自家栽培したレモンで飲む生絞りレモンサワーは格別です♪(レモンの収穫については【ガーデニング】国産レモンの収穫-降霜地域に最適な収穫時期は?で記事にしていますのでご参考にしてみてください。)
自家栽培の難点は収穫できる季節が限定されてしまうことですが、基本的にはそれが本来の自然な姿です。「それぞれの季節にその時期の旬のものを食べる!」それだけでも、かなり豊かな食生活が実現できるはずですので、安全が疑問視されるようなものは自家栽培して愉しむのが一番だと思います。
・もはやなんでもあり?の「食品添加物」
今回はレモンの「防カビ剤」が気になって夜も眠れなくなり、実状を調べて記事にしましたが、「食品添加物」という”なんでもあり”の異空間の闇がここでも出てきたことには驚きました。。。
「日本人は普段から比較的健康的なものを食べている国民なので、他の国より食品添加物を採っても健康被害はないんです」的な話もよく聞きますが、それって日本人として納得できる内容ですかね?極端なこと言えば「この海は他の海よりも綺麗だから、害が出ない範囲で汚してもいいよ。」みたいな理屈と同じに聞こえるので、日本人として納得がいく話ではないと思うんですよねー。
このような記事を書いていると「陰謀論者」と言われてしまうのであまり深くは触れませんが、輸入小麦にも「ポストハーベスト農薬」がたーっぷり使用されているようです。もちろん「食品添加物」という異空間でうやむやにされているので、あまり問題視はされることはないですけど。(やはり闇が深い)
この世に、命や健康よりも大切なものってあるんでしょうか?って…改めて考えさせられます。