【情報】国民年金保険料の免除制度-申請条件や申請方法、免除の効果

国民年金保険料免除制度の申請条件や申請方法、免除額と受給額の関係

いろいろと問題を抱えている国民年金制度ですが、家計が急変したりして保険料の支払いが困難になった場合には、保険料の支払いを免除してもらえたり、支払いを待ってもらえたりします。今回はその中の「免除制度」についてまとめました。免除された期間はそれに応じて受給額が減りますが、受給年数によって免除額と受給を減額された分とのバランスがどうなっていくか?なども試算しましたので、ご参考にしてみてください。

1.老後も安心?国民年金制度

20歳以上の国民全員が加入する国民年金制度の年金手帳

日本以外の状況はわかりませんが、日本には「国民年金制度」というものがあり、20歳以上を超えた国民全員が加入して毎月の保険料金を負担することで、自分が老人になった時に、それを「年金」として受け取ることが出来るシステムになっています。

ただし、自分が受け取れる「年金」は、実際に自分が負担したお金ではありません。今現在、我々”働き世代”が負担している保険料は、既に引退してご高齢である方々の「年金」に充てられるという”体”になっています。

基本的には「国民が負担した保険料を国が資金として運用し、増やしたものを年金に充てる」というのが年金制度のあるべき姿であるはずなので、本来であれば、保険料を”負担する”というより、”国に預ける”と言った方がしっくりくる制度のはずです。そして、預けたお金には利息がついて返ってくるのが当たり前なこの世の中で、自分が積み立てたお金に対して”+α”されたものが返ってこないのは、全くもっておかしい話です。

国民全員が加入する国民年金制度は実質的には破綻している

しかしながら、「バブルで無駄な施設を作りまくって無駄遣いした」などのめちゃくちゃな過去があったりして、年金制度自体は既に破綻しています。そして、その破綻した事実を「若者が老人を支えている」的な美辞麗句で国民をごまかしている状況だと思っています。(私見です。)

そんな状況にある国民年金制度。「どうせ、自分が負担した分なんて返ってこないんでしょ?」というマインドで「出来ることならそんな保険料を負担したくないなぁ。。。」と思われている方も多いでしょう。(バブル時代の無駄遣いの件とかには、今ではマスコミも全く触れませんしね。)

最近では、今後もこの制度が成り立つのか?すら危ういと思っている方も多くなっていると思うので「自分で何とかする!」というマインドで、個人で「年金積立」や「iDeCo」などを始める人も増えました。(やれやれですね。)

2.現在までの国民年金制度の遍歴

年金制度は明治時代から始まったと言われています。最初の年金制度は、軍人向けのもので、年金というよりは「恩給」的な意味合いが強いものだったようです。

労働者を対象とした年金が始まったのは1942年ですが、その後、農業従事者や自営業者用の年金制度として1959年に始まったのが国民年金制度です。

当時は、月額¥100の保険料を25年納めた場合の年金支給額が月額¥3,000で、40年納めた場合の年金支給額は月額¥3,500だったようです。(まとめると下記です)

保険料納付期間総納付額支給額総納付額 < 総支給額
100円/月25年(300ヵ月)30,000円2,000円/月受給開始から15か月後
100円/月40年(480ヵ月)48,000円3,500円/月受給開始から14か月後

計算してみると、年金受給開始から2年後には、支給額の合計が総納付額を超えます。お金の利率などを考慮すると、これが正しい年金制度の在り方なんじゃないかと思いますよね。(最長で40年お金を預けたらどのくらいの利息が付くべきなんだろう…)

国民全員が加入する国民年金制度には専業主婦も加入が義務付けられている

1985年には、それまで「国民年金」「厚生年金」「共済年金」で異なっていた水準が同じになるように、全国民を対象とした基礎年金部分が創設されました。そして、1986年には、任意加入だった主婦も強制加入となり、1991年には学生も強制加入の対象となりました。

 そして、その後もいろいろと改正が行われ、現在は20歳から59歳までの全国民が加入対象となり、10年以上保険料を納めることで、原則65歳から年金を受給できる制度になっています。

令和4年時点での国民年金の年間支給額は¥777,800です。平均年収が¥400万くらいと言われるこの世の中で「そんな額でどうやって暮らせばいいん?」という金額ですが、保険料と支給額の関係をまとめると下記のとおりです。年金を11年間もらわないと元が取れない(75歳まで生きないと損をする)とか、民間が同じことをしたら「詐欺だ!」と言われてしまう制度でしょうね。

保険料納付期間総納付額支給額総納付額 < 総支給額
16,590円/月10年(120ヵ月)¥199万¥194,450/年受給開始から11年後
16,590円/月40年(480ヵ月)¥796万¥777,800/年受給開始から11年後

上記のような状況を誤魔化す言い訳が「若い世代が今を支える!」です。「保険料」=「年金支給額」ではないんだよ!ってことを、国民に刷り込みたいのでしょう。今後の受給額引き下げや、受給開始年齢の後ろ倒しなどという声も聞こえてきていますし…何とかしてもらいたいですね。本当に。

3.国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

色々と問題のある国民年金制度ですが、家計の状況が変わって保険料が納められなくなった時のために、納付を免除したり、待ってくれたりする制度があります。それが、国民年金保険料の免除制度と納付猶予制度です。

3.1 国民年金保険料の免除制度

国民年金保険料の免除制度は、世帯の所得額が一定額以下の場合や、被保険者本人が失業したなどで、国民年金保険料を納めることが経済的に困難となった時に、保険料の納付が免除になる制度です。

免除対象となる所得額については、計算式が面倒くさい感じだったので理解するのを諦めました(すいませんが、国民年金基金のHPにてご確認ください)が、概要としては、前年度の所得額から、配偶者の収入や扶養家族の人数などを控除した額が、判定の基準額になるようです。

会社をリストラされて国民年金保険料の支払いが難しくなった場合には、納付の免除制度を申請することが出来る

ただし、失業した場合に関しては、前年度の所得額に関係なく手元に支払うお金がないということで、特例として免除の審査をしてもらえるようです。困った時に支払いを免除してもらえるのはとても助かりますよね。

免除額(保険金が免除される割合)は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類で、免除された期間も保険料を納付した期間として算入することができますが、保険料が免除された期間の分だけ受け取る年金受給額は少なくなります。

ただし、免除がどの割合になる場合においても、受け取る年金受給額は、保険料の一定割合分を国が負担した”体”になりますので、それらを表にまとめると具体的には下記のようになります。

免除額
(納付額)
納付期間
への算入
国による
保険料負担
保険料の
見なし納付額
全額
(0)
2分の12分の1
4分の3
(4分の1)
8分の38分の5
2分の1
(2分の1)
4分の14分の3
4分の1
(4分の3)
8分の18分の7

全額免除を受けた期間も保険料の支払い期間に算入することが出来て、かつ一定割合を国が負担して納付したことにしてくれるなんて、ありがたい制度ですね。失業してお金に困ったら、是非、活用すべき制度な気がします。

申請は「7月から翌年6月まで」を1年の区切りとして、1年単位で申請しますが、「翌年度も同様の審査を依頼する」みたいな欄にチェックを付けておけば、翌年度も同基準での審査が受けられるようです。

申請先は市町村の役所窓口ですが、マイナンバーガードを持っていれば、インターネットで電子申請することも可能です。

3.2 国民年金保険料の納付猶予制度

国民年金保険料の納付猶予制度は、世帯の所得が一定額以下の場合に、保険料の納付が”猶予”される制度です。適用される所得額の算出方法などは、こちらも計算方法が面倒なので割愛しますが、令和5年現在、対象年齢は50歳未満です。

国民年金制度の納付猶予制度は納付を先送りにしてもらえるだけ

納付を”猶予”してもらえるだけの制度なので、支払いが完了するまでは保険料納付期間として算入することができません。また、猶予期間終了後は速やかに保険料を納付する必要がありますので、問題を先送りするだけで根本的な解決にはならない制度ですね。

したがって、こちらはあまり有意義な制度であるとは言えないと思います。大学生などが「在学期間中は猶予を受けて、就職したらまとめて支払う」というようなケースを想定しているのだと思いますが…就職したばかりの若者に「耳を揃えて払いやがれ!」って…金銭的に恵まれた官僚様たちの考えそうな制度ですよね。(一般の若者の金銭的な厳しさをもう少しわかって欲しいものです。)

4.国民年金の免除を受けた場合の年金受給額

国民年金保険料の免状制度を適用した場合には、前述のとおり、免除を受けた分のいくらかは国が補填した形にしてもらえますが、逆に言うと補填されない部分については年金受給額が減ることになります。その減少額は、いったいどの程度になるのでしょうか?計算してみましょう。

前年度の所得額が一定以下の場合には国民年金保険料の納付免除制度を申請することが出来る

まず、令和4年時点の20歳から60歳まで「12か月×40年=480ヵ月」の保険料を全額納付した場合の年金受給額は”¥777,800/年”です。(重複しますが、少ないです。。。)

対して、全額の免除を受けた期間は「半額が納付された」と見なされますので、40年間にわたって全額の免除を受けた場合の年金受給額は、”¥388,900/年”です。

上記を元に、「全額免除」を受ける期間(年数)と、それによる年間受給額を算出してみると、その関係は下記のようになります。

免除期間【年】なし1年5年10年20年40年
年間受給額¥777,800¥768,078¥729,188¥680,575¥585,350¥388,900
年間受給差額▲¥9,722▲¥48,612▲¥97,225▲¥194,450▲¥388,900
受給月額¥64,817¥63,196¥60,766¥56,715¥48,613¥32,408
月間受給差額▲¥1,621▲¥4,051▲¥8,102▲¥16,204▲¥32,409

感覚的には元々の支給額が少ないので、5年くらい免除を受けたとて、大勢には影響ない気がしますね。(月額が¥4,051減っても、生活はそんなに変わらないと思いますので。)

免除額が4分の3、半分、4分の1の場合の影響(差額)は、上記よりも少なくなります。(免除額が半分であれば、10年くらい免除を受けても大勢に影響はなさそうです。)直近の状況が厳しい状況があれば、積極的に活用すべき制度と言えそうですね。

5.国民年金の免除額と支給額の関係

4項で「免除を受けた場合の受給額」(減額される金額)は概ね把握できましたが、「納付が免除される金額」とのバランスはどうなるでしょうか?

若くして亡くなるなどして、受給期間が短ければ「総免除額 > 減額分」となりますので、免除をうけた額の方が間違いなく多くなるでしょう。(受給前に他界してしまった場合も同様ですね。)しかしながら、長生きして受給期間が長くなれば、「総免除額 < 減額分」となり、結果的に「全額支払った方がよかったね」という結果になります。

全額の免除を受けた場合の、「総免除額」と「年間受給減額」の関係をまとめると下記のとおりです。

免除期間【年】なし1年5年10年20年40年
総免除額
A
¥199,080¥995,400¥1,990,800¥3,981,600¥7,963,200
年間受給減額
▲¥9,722▲¥48,612▲¥97,225▲¥194,450▲¥388,900
A<B×年20.5年20.5年20.5年20.5年20.5年

比較した結果としては、65歳の受給開始から21(20.5)年以上の受給を受けると、免除された額よりも、受給減額分(総額)の方が大きくなる試算結果となりました。(免除割合がどの場合においても同じ結果でした。)

受給減額が免除額を超えるのは86歳です。私には生きていられる自信がないかなぁ。。。また、現時点では65歳からの受給となっていますが、「受給開始が70歳」というようなバカバカしい声も聞こえて来ているので、上記の試算結果だけから考えると、免除を受けられる状況があるのであれば、免除を受けておいた方がよいという結論になりそうですね。(支給総額自体が今より下がる可能性も十分ありますし。。。)

・国民年金の免除制度適用を試算した感想

うーん。国民年金の金額を改めて試算してみると…そもそも満額受け取れた場合の支給額が少なすぎるので、ここから支給額が多少上下したとて、国民年金だけでは生活できないのは間違いないですね。いろいろと自分で準備していかないといけない状況だと改めて感じました。

国民全員が加入する国民年金制度で老後は安心して暮らすことが出来るのだろうか?

そして、保険料の免除制度については、制度を適用できる状況があり、かつ、長生きする自信がないなら、積極的に利用しておいた方がよいと思いました。(私には86歳まで元気に生きている自信は全然ないですしね…)

それと、いろいろ問題のある国民年金制度。保険料を未納とした場合は、自分がもらえる額が減るだけなのだと思っていましたが…催告状や督促状などが届いた上に、最後は財産の差し押さえまでするんだそうです。年金の”無駄遣い”の件はうやむやのままで国民の財産は差し押さえるとか、ちょっと対応がめちゃくちゃだと思うのは私だけでしょうか?

世の中は納得いかないことが多過ぎ漣ですね。^^

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