【情報】相続した固定資産を登記申請手続きする方法-必要書類や費用

相続した固定資産を自分で登記申請手続する方法-必要書類や費用

相続した固定資産は登記申請手続きによる可及的速やかな名義変更が必要です。一般的には司法書士などの法律の専門家に代理申請してもらうことが多いようですが、私の両親が他界した際には、すべての固定資産を自分で登記申請して名義変更しました。名義変更するだけの登記申請であれば、申請は意外と簡単ですし、登録免許税以外に発生する費用もかなり抑えることが出来ます。代理申請してもらうような無駄な出費は控えて、みんなでお得に名義変更しちゃいましょう!

1.相続した土地・家屋の名義変更は自分で出来る?

固定資産を相続する際には、登記内容の名義変更が必要です。大切な誰かが他界すると、悲しみに浸る余裕もないまま、いろいろな手続きが必要となって大変ですよね。。。

固定資産の登記申請は、司法書士などの法律の専門家に頼む方が多いと思いますが、その名義変更は法律の知識が必要な申請なのでしょうか?

相続が発生した際に、各相続人が相続する割合などが不明確な場合などには、それを滞りなく交通整理して決定するために法律の知識が必要になるでしょう。しかしながら、相続人が限られていて相続する範囲が明確な場合などでは、法律の知識が必要になるとは思えません。にもかかわらず、代理申請できる人が法律家などに限られるって、なんだかおかしな話ですよね。(誰にでも出来る簡単な電気工事も資格がないと施工できないので、資格とはそういうものなのかもしれませんけど。。。)

また、車を所有する際にも名義変更や車庫証明などの手続きが必要ですが、自分で処理すればお安く処理できるのに、車屋さんなどに依頼すると費用が膨れ上がります。(車庫証明の取り方は、別記事【車-情報】車庫証明の取り方-自分で手続きする際の必要書類などを参考にしてみてください。)知らないということは、お金を無駄にすることなのだと思っています。

両親が他界した際に、父親名義で固定資産税の請求が来ていた固定資産についてはすべて自分で登記申請しました。法務局の方が親切に教えてくれたこともあって、とても簡単に(お安く)申請できました。

今回は先日の記事【情報】固定資産税の通知がない土地の調査-名寄帳の取得方法のとおり、固定資産税の通知がなかった父親名義の土地が、隣町に存在していたことがわかりましたので、前回(10年以上前)の登記申請の内容を思い出しながら、自分で申請していきたいと思います。

2.相続登記の申請に必要な書類

相続登記の申請に必要な書類は下記のとおりです。

  1. 登記申請書
  2. 登記原因証明情報
  3. 住所証明情報
  4. 相続関係説明図 *2の返却を受ける場合
  5. 評価額情報
  6. 相続証明書類
  7. 委任状 *申請を委任する場合

以下で、それぞれの書類について説明します。

2.1 登記申請書

登記申請書には、相続登記する固定資産の情報や、相続情報などを記載します。法務局のHPにフォーマットと記載例が掲載されているので、それに準じて記載すれば、それほど難しい申請書ではありません。

記載内容の詳細は”登記申請書”のリンク先にてまとめておりますので、そちらをご参考にしていただければと思いますが、記載時の注意点を下記します。

郵送で申請する場合の「申請日」(”④提出先”の左側)は、法務局で受理した日を申請日として記載してくれるようなので、空欄で良いようです。

⑤の「課税価格」は、固定資産税の通知と一緒に送られてくる「土地・家屋課税明細書」に書かれている「評価額」を1,000円未満切り捨てで記載します。私のように固定資産税の請求がなかった固定資産については、「固定資産税課税台帳」や「名寄せ帳」などを入手して記載しましょう。(「名寄せ帳」の入手方法は【情報】固定資産税の通知がない土地の調査-名寄帳の取得方法にてご確認ください。)

⑥の「登録免許税」は、課税価格×0.004(0.4%)です。ただし、今回申請した2022年12月時点では、特例で”課税価格が100万以下の固定資産は免税”という扱いになっていたようなので、”免税”を適用する意思を示す「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載しておけば、税金はまさかの「¥0」です。(逆に、上記を記載しないと特例が適用されないので注意が必要です。)

なお、郵送で申請する場合の登録免許税は、白紙に税金分の収入印紙を貼って、登記申請書とのつづり目に契印を入れて提出してください。(私の今回の案件は”免税”なので、収入印紙も不要でした。)

2.2 登記原因証明情報

「登記原因証明情報」は、被相続人(今回は父親)の出生から死亡までの経歴(法定相続人が何人いるか?がわかるもの)と、被相続人と相続人との関係が明確になる公的書類があればよいので、被相続人の「除籍謄本」や「改製原戸籍」と、相続人の「戸籍抄本」があれば大丈夫だと思います。

ただし、実際の手続で要求される資料は、法務局やその処理担当者、相続案件などによってばらつきがあるようです。(もっとわかりやすくしろよ…って思いますけど。)

私の今回の案件でも、前回の登記申請で使用した書類をそのまま提出したのですが、「これでは足りない。(昭和22年から34年頃までの戸籍情報が抜けている)」と言われてしまいました。「前回はこれで処理してくれましたよー。」と伝えてはみましたが、「今回は完璧じゃないと駄目です!」と言われてしまいました。。。

ですので、我々一般市民側で出来る対応としては、まずは「これで大丈夫じゃね?」って資料をそろえて法務局に登記申請し、「足りない」と言われたら、その足りない書類を”具体的に”明確にしてもらって追加で入手して提出する、という割り切ったスタンスで挑むしかないと思います。

「まずは法務局にチェックさせるとかひどくね?」と私も思いますが、担当者によって言うことが異なる現状では仕方がないですよね。ちなみに、司法書士が代理申請した内容にミスがあると、法務局からきつく叱られるなどと聞きますが、一般人には極めて優しく教えてくれます。^^

2.3 住所証明情報

こちらは相続人(今回は私)の住所情報です、2.3項の「戸籍抄本」に加えて「住民票」があれば大丈夫です。

住民票の使用期限は一般的に3か月と言われたりしますが、実際には「住民票」に期限はないみたいです。法務局のHPを見てもその辺が明記されていないので、もしかしたら、古いものでも受け付けてもらえるかもしれませんね。(差し戻されたら面倒なので、私は新しいものを入手しましたが:笑)

2.4 相続関係説明図

提出した2.2項の書類を返却してもらうために提出する書類です。

2.2項の書類は、今回の私の申請のように、使いまわしが出来る重要な書類になります。「相続関係説明図」の作成はとても簡単なので、こちらを添付して、お金をかけて入手した重要書類を返却してもらいましょう。(必要事項が記載されていれば、どんなフォーマットでも大丈夫なはずです。)

なお、図の余白に「相続関係書類は還付した」と記載して、”チェック欄”を作成するのが「この書類。返せよな!」という意思表示になるみたいなので、忘れずに記載するようにしましょう。

ちなみに、2.2項の戸籍関係書類がすべて返却できるということは、登記申請では「相続関係説明図」の妥当性を確認するため”だけ”にその戸籍関係書類を確認しているということになります。その場で情報を確認するだけなら「役所同士が情報を共有して確認しあえばいいだけじゃね?」って思いました。。。(そういう合理性に欠けるところが嫌いなんだよなぁ。お役所仕事は。)

2.5 評価額情報

登記申請書に記載した「課税価格」(評価額)の妥当性が確認出来るような書類です。

一番簡単なのは、「固定資産税 課税明細書」です。固定資産税の請求がない固定資産では「固定資産税課税台帳」や「名寄せ帳」などを役所で入手して提出します。

司法書士さんのホームページなどをみると「固定資産税の評価額証明書が必要」とか書いてあったりしますが、対象固定資産の課税価格(評価額)が解ればいいだけなので、「それが必要というのは、あなたの個人的な感想ですよね?」と言った上で「課税明細書」を渡せばOKです。(わざわざお金を払って不必要な証明書を準備する必要はありません。(司法書士が代理でそれを入手して、手数料をぼったくろうとしているのかもしれませんけど。)

2.6 相続証明書類

相続人が複数人いる場合に、誰がどの固定資産を相続したかを明確にするための書類です。

相続が1人だけで、法定相続される場合(他界した両親の固定資産を1人しかいない子供が相続する場合など)は特別な書類は必要ありません。

相続人が複数になる場合、もしくは法廷相続人以外の方が相続する場合などには、誰がどの固定資産を相続したか?そしてそれを相続人全員が承認しているか?がわかる書類を提出する必要があります。「遺産分割協議書」や「遺言書」などを提出すればよいと思いますが、この辺は私には詳しくはわからない部分なので、事前に(もしくは「書類が足りない」と言われてから)法務局の担当者にご相談するのがよいかと思います。

相続人が増えると、2.2項、2.3項の提出書類も多くなるのでめんどくさいですね。(私の場合、相続人は私一人なので、手続きは比較的簡単でした。)

2.7 委任状

こちらは司法書士などに代理申請を委任する際に必要なものです。今回の記事は、趣旨が「自分で申請しよう!」なので、この書類は不要です。^^

3.固定資産の相続登記手続きの申請方法

申請先はその固定資産を管轄する法務局になります。よって、今回の私の申請のように実家の固定資産に関する相続登記の場合は、実家の最寄りの法務局になります。

申請方法は、窓口で申請出来れば、その場で「登録免許税」が支払い出来ますし、不備があればその場で指摘してもらえるのでベストですね。

しかしながら、実家が遠いなどで、窓口での申請が難しい場合は、郵送で申請することになります。(私は毎回郵送です。)

郵送での申請方法は「簡易書留」などの履歴が追跡できる方法で、表に「登記申請書類在中」と明記して送付します。書類の返却や、登録した情報を通知してもらう場合は、返信用の封筒と書留用の切手、もしくはレターパックプラス(赤)などを同封しましょう。

オンライン申請もできるようですが、必要書類が郵送だったりしそう?(よく理解してません)なので、だったら全部郵送でいいじゃん?!って思って途中で読むのを止めました。

4.不動産登記申請にかかる費用

自分で登記申請する場合に、窓口申請時で支払う金額は「登録免許税」のみです。(課税価格×0.004(0.4%))

その他には、申請の準備段階で「除籍謄本」や「改製原戸籍」、「戸籍抄本」などを入手する費用がかかります。私が郵送で「改製原戸籍」を追加入手した時の入手費用は下記のとおりで、1通あたり1,000円程度でした。「自分の戸籍情報を入手するだけなのに高くね?」とは思いましたが、司法書士とかに依頼すると平気で5千円/通とか請求されると思いますので、申請を依頼する場合も、書類は出来るだけ自分で入手した方がよいでしょう。(役所が遠方でも、大抵のものは郵送で申請出来ます。)

  • 申請手数料:750円(定額小為替)
  • 定額小為替手数料:200円
  • 返信用切手:84円

また、郵送で登記申請する場合は、簡易書留を使用する必要があるので、料金は郵便料金+320円です。そして、書類の返送などを受ける場合は返信用のレターパックプラス(赤)を同封しますので、その費用が520円かかります。

登記時の「登録免許税」は固定資産の評価額により変動しますし、誰が申請しても発生する費用なので除外して考えると、相続の登記申請で発生する”申請費用”は、書類を入手するために事前に発生する費用を含めて、せいぜい5,000円程度ということになるでしょう。司法書士がどのくらいの手数料をもらうか?はわかりませんが…やはり自分で申請するメリットは大きいと思います。

4.不動産登記申請に必要な期間

登記申請が受理されて、登記が完了するまでの期間は、資料がすべて揃っていれば、概ね「1週間くらい」です。(申請の込み具合などにもよるかとは思いますが、一旦受理がされてしまえば、処理自体にそれほど時間はかかりません。)

もし、書類に不備があって手続きが長引いた場合でも、年度を跨がなければ、固定資産の評価額が変わらないので問題はないようです。逆に、年度を跨ぐと評価額が変わる可能性があるので、その場合はどうなるのでしょうか?なんか、ちょっとめんどくさそうなので、年度末に申請するのは避けた方がいいかもしれないですね。

5.相続登記が完了した時の書類

登記が完了すると、申請時に同封したレターパックなどで、下記のものが返送されてきます。

  • 登記完了証(書面申請)
  • 登記識別情報通知
  • 戸籍関係の書類

前回(10年以上前に)申請した時とは書式がかなり変わったような気もしますが、「登記完了証」は、申請受付番号と固定資産の不動産番号などが書かれた、申請した内容の登記完了を証明する書類になります。

登記識別情報通知」には、登記した固定資産の地番や不動産番号に加えて、登記識別情報として、数字とアルファベットの組合せからなる12桁の符号とそのQRコードが記載されています。この「登記識別情報通知」が従来の「登記済権利証」(登記済証)に代わる重要な書類になるようです。(大切にしないといけませんね。)登記識別情報(12桁の符号)は、以降の所有権移転登記手続きなどで、登記名義人本人による申請であることを確認するために必要となります。書面ではなく、符号自体に効力があるようなので、書面をしっかり保管しておくとともに、符号をむやみに教えちゃいけないということですね。

戸籍関係の書類は申請時に提出したものの”返却”です。さすがに以後、使用することはないと思いますが、万が一に備えて大事に保管しておきます。

この書類が送られてくれば、相続登記申請はすべて完了です。(お疲れ様でした。)

・相続登記申請含む代理申請業について

久しぶりに登記申請をしてみた感想としては、やはり申請用に入手する書類が多すぎますね。まあ、どういう人が申請しているか?っていうのを明確にするために、申請者が本人であることを証明する必要はあると思いますが、「法務局」という「役所」に申請するために、「地方自治体」という「役所」から必要な情報を入手して提出するって、やっぱりおかしいと思うんですよね。彼らが役所どうしで情報共有して、申請内容が事実かどうか確認出来れば、申請者がわざわざ情報を入手して”伝言ゲーム”する必要はないと思うんです。。。(もっと合理的なシステムを考えて欲しいです。)

また、記事の中でも「司法書士がボッタくっている」みたいな妄想発言が多々ありましたが、基本的に代理申請の仕事は、各役所がいろんな情報を一元管理(共有)して申請を簡素化し、各個人が自分で申請できる環境を作ることが出来れば、すべて不要に出来る仕事だと思うんですよね。。。逆に、その不要な代理申請の利権を守るために、わざわざ申請難易度が高いままにしていませんか?(陰謀論だと言われそうですが…笑)

いずれにしても、相続登記については、申請はそれほど難しくありません。わざわざ高いお金を払って代理申請してもらう必要はないと思いますので、法務局の担当者さんと会話しながら、是非自分でやっていただきたいと思う今日この頃です。(代理申請業が不要になれば、今よりももっとスマートな社会になると思っています。)

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