新たな電源ケーブルを天井裏に引き回したい場合などには、引き回したい天井の周りに点検口がないととても不便です。そこで今回は、天井点検口のない部屋に、新たな点検口を後付け設置する方法を紹介します。私が実際にリフォーム済の実家に施工して苦労した内容などを下記リンクの動画内でも紹介していますので、皆さんのDIYのご参考になれば嬉しいです。【DIY】#47 分電盤が設置されている廊下に天井点検口を新設する-天井裏に電源ケーブルを引き回すための準備
1.天井裏にアクセスするための天井点検口
一般的な木造の住宅は2階建て、もしくは3階建てで建てられている場合が多いですが、その最上階には屋根裏のメンテナンスで屋根裏に入るための天井点検口が設置されています。
しかしながら、最上階”以外”の階では、天井裏にアクセスする機会がほとんどないため、天井点検口が設置されていないことが多いです。
ただ、どの部屋においても、天井裏に電源ケーブルが配線されていることがほとんどなので、電源ケーブルを新たに配線したい場合などに、天井点検口がないのはとても不便です。(せめて、分電盤が設置されている部屋には、デフォルトで必ず天井点検口を設置しておいて欲しいと願う今日この頃です)
そこで今回は、天井点検口の一般的なサイズや構造、固定方法やサイズの選定方法、及び、天井点検口のないお部屋に新たな天井点検口を設置する方法などを紹介します。
2.天井点検口のサイズ
天井点検口には一般的に下記3種類のサイズがあります。(数字の単位はmmです)
- 300角
- 450角
- 600角
一般的に一番多く使用されているのは”450角”の点検口ですね。
スペースに制限がある時には”300角”を設置する場合もありますが、点検口の役割は、写真のように点検口に体を入れて、天井裏を点検するための入り口(窓)です。
300×300mmのサイズでは大人が上半身を入れることは難しいため、基本は”450角”、スペースに余裕がある場合は”600角”を設置して、屋根裏の点検が十分に出来るよう配慮します。
3.天井点検口の構造
一般的な天井点検口は、外枠と内枠の2ピースで構成されています。
外枠は、天井に開けた穴にピッタリ嵌め込んで固定するパーツになります。安全性を考えると天井にしっかり固定することが必須となりますね。
内枠は、外枠に嵌合させて天井に蓋をするパーツになります。写真のように、天井に穴を開けた際に切り取った石膏ボードなどの天井材を嵌め込むことにより、天井点検口設置後も、施工前と比較して違和感のない状態に仕上げることが出来ます。
外枠と内枠の嵌合は、内枠を外枠から完全に取り外して全開口に出来るタイプや、内枠を片持ちで固定して開くように出来るタイプなどがあります。この辺は、天井裏にアクセスする頻度や、天井点検口の使用方法(覗いて点検するだけ、そこから天井裏に入る、etc.)によって、選択すべきところでしょう。
内枠の開け方は、色々な仕様のものがあると思いますが、ロックするつまみを手で回転させて開けるもの、ドライバーなどでロックを回転させて開けるものなどがあります。(上写真の点検口はドライバーでロックを回転させて開けるタイプです)
4.天井点検口の固定方法と適用サイズ
続いて、天井点検口の固定方法と適用するサイズなどを考えていきます。
まず、一般的な木造住宅の天井の構造は下記のとおりです。
上の階の土台になる柱に「吊り木」が垂直方法に固定され、それに水平方向の「野縁受け」が固定されてます。更に、その「野縁受け」に固定される「野縁」に石膏ボードなどの天井材が固定されているという構成です。
よって、天井材を支持する野縁などを損傷させずに天井点検口を設置する場合は、野縁と野縁の間のスペースに設置する必要があります。(野縁を切って、追加部材で補強した上で点検口を設置することもできますが、ここではその内容は割愛します)
天井点検口の固定は、通常は下図のように、向かい合う2辺の野縁に外枠を固定するという手法で施工されます。
なお、図はネジで固定する仕様のものになりますが、ネジ固定だけでなく、野縁の上に金具を引っかけて吊った状態で固定する仕様のものもあります。
いずれにしても、しっかりした構造物である野縁に固定する形になりますので、既存の野縁の配置が天井点検口の設置に大きく影響します。
一般的な野縁のピッチは、300mm、450mm、そして600mmです。そうなんです。野縁のピッチに合わせて天井点検口のサイズがラインナップされているということですね。
よって、適用する天井点検口のサイズは、野縁の間隔(ピッチ)に合わせて選択するのが一般的です。具体的には、野縁が300mmピッチで配置されていれば、300角の点検口を選択し、ピッチが450mmであれば450角のものを選択します。
既存の住宅で野縁のピッチを確認する方法はいくつかありますが、その辺は次の項(天井点検口の設置方法)で紹介します。
5.天井点検口の設置方法
それでは、具体的な天井点検口の設置方法を紹介します。(私の実家で新たな電源ケーブルの配線が必要になって天井点検口を追加した時の施工内容になります。電源ケーブル設置などの詳細は過去記事【DIY】換気扇を浴室暖房乾燥機に交換する③-200V化電気工事をご参考にしてみてください)
天井点検口を設置する場合、まずは設置したい場所の野縁がいくつのピッチで配置されているか?を確認します。
野縁のピッチを確認する方法はいくつかありますが、私が行っている方法は、最初に壁裏センサを使用して大まかな野縁の配置を確認し、大体の状況がわかった状態で下地キャッチを使用してより正確な状況を確認するというものです。
前者の壁裏センサは文字通り、センサの反応で壁裏の障害物を検知する方法です。写真のとおりセンサを壁や天井に当ててスライドさせるだけなので、壁や天井を全く傷つけることなく壁の中の障害物を検知することが出来ます。
ただし、壁裏に電源ケーブルなどの障害物が不規則に存在する場合などでは、結果がよくわからなくなる場合があるので、私は最初の全体像を大まかに把握するツールとして使用しています。(反応があった箇所の境界線には写真のようにテープを貼っていきます)
一方、後者の下地キャッチは小さな針を壁に挿して壁裏の障害物を探るツールです。実際に壁に挿すので、結果は明確に出ますが、壁に小さな穴を開ける検出方法なので、多少壁を傷つけてしまう確認方法になります。また、小さな針は非常にもろくて曲がりやすいので、基本的には状況を大まかに把握した後の最終確認のツールとして使用しています。
さて、今回天井点検口を設置する天井の確認結果ですが…壁裏センサがよくわからない反応を示している箇所があります。野縁が300mmピッチで配置されているように見えますが、壁裏センサで反応する箇所に下地キャッチを挿しても野縁がなかったり。。。
実際の状態がはっきりわからない状況ですが、そんな時は実際に穴を開けて確認しないとわかりません。野縁の間隔は正確にはわかりませんが、天井点検口は300角にて下記のものを準備しました。
天井点検口が準備出来たら、天井の石膏ボードに穴を開けていきます。本当は天井裏が視認できる程度の小さな穴を開けてから、点検口を嵌める大きな穴を開けていきたいところですが、前述のとおり、切り取った天井材は点検口の内枠に嵌めて蓋として使用しますので、切り取る部分を分割することはできません。
天井や壁などに穴を開ける場合は、写真のようにマルチツールを使用すると便利です。手ノコなどを使用して穴をあける場合は、最初に刃を入れる穴などが必要になりますし、穴あけ途中で刃の方向を変えることはできませんが、マルチツールは左右に振動する刃が対象物をカットするというツールなので、刃を対象物に当てるだけで、自由自在にカットすることが出来ます。
また、刃の入る深さの調整も簡単なので、壁裏や天井裏に障害物があった場合などでも、障害物を傷つけることなくカットすることが可能となります。
さて、300角の天井点検口を設置すべく、石膏ボードに300×300mmの穴を開けましたが、そこで新たな事実が判明しました。なんと、現状の石膏ボードの上には、リフォーム前に使用していた昔の天井が存在していました。(天井が2重になっていることで、センサの反応がおかしくなっていたようです)
写真のように、昔の天井にも穴を開けると、やっと天井裏にアクセスすることが出来るようになりました。
昔の天井は砂壁なのでマルチツールの刃を当てると大量の砂が顔に掛かりますが、そこに穴を開けないと点検口として機能しませんので、昔の天井にも300×300mmよりも一回り小さい穴を開けていきます。
さて、昔の天井の穴から天井裏の野縁のピッチを確認してみると…野縁のピッチは450mmでした。既に300角の点検口を準備してしまったので、通常の固定方法では片側しか野縁に固定することができません。新たな補強材を野縁にしっかり固定して対応すればよいのですが、それもちょっと面倒です。
そこで今回は、ちょっと強度的な不安が残る対応にはなりますが、下記の構造で外枠を固定することにしました。
昔の天井に”追加木材”を新たに固定して、そこに点検口の片側を固定する作戦ですね。旧天井の素材が薄いべニア板なので、強度的にはあまり強くはありませんが、開けた穴の形状は四角です。点検口を保持する強度くらいは出せるだろうと判断しました。
天井に外枠が固定出来たら、天井から切り取った石膏ボードのサイズを調整して内枠に嵌めていきます。(写真参照)
それを天井に固定した外枠に嵌合させれば、天井点検口の設置は完了です。
やはり、天井点検口を設置する際のポイントは、野縁を含めた天井裏の構造を事前にどれだけ正確に把握できるか?になりますね。。。(猛省)
今回はリフォーム済の物件ということもあり、事前の野縁のピッチ確認(予想)を失敗してしまいましたが、失敗してもリカバリーは可能です。穴を開けてしまったあとでは後戻りはできませんので、失敗したら「その後どうするか?」を考えて施工を進めるのが重要になりますね。
それにしても、昔の天井…懐かしかったww(あの廊下を見上げながら大泣きしたことを思い出した)