とある朝、嫁さんのゴルフⅦが動かなくなりました。セルは回ってエンジンは動き出すのですが、車体を揺らすくらい暴れて止まってしまいます。排気ガスも異常に臭いので、エンジン内で失火や不完全燃焼が発生していることは間違いなさそうです。そこで今回は、エンジンのスパークプラグ(点火プラグ)を交換して修理してみました。いやはや。。。その上にあるイグニッションコイルが固着してて…下記リンクで動画も公開していますので、皆様のカーライフのご参考になれば嬉しいです。【車-カーケア】#19 ゴルフⅦのスパークプラグを交換する-警告灯が点灯してエンジンが止まってしまう車を修理する
目次
1.エンジンが止まってしまうゴルフⅦ
とある朝、車で都心に出かけようとしていた嫁さんから「ゴルフのエンジンがかからないんだけど…」とアラームが挙がりました。。。
すぐに状況を確認すると、セルが回ってエンジンは動き出しますが、エンジンが暴れて激しく振動しています。そして、しばらくすると警告灯が点灯して止まってしまいます。
すぐに復旧させるのは難しそうなので、取り急ぎ、嫁さんには電車で出かけてもらって、状況をしっかり確認することになりました。
点灯している警告灯は、「エキゾーストシステム警告灯」と「EPC警告灯」の2つです。
「エキゾーストシステム警告灯」は日本車の「エンジンチェックランプ」と同じようなアイコンです。フォルクスワーゲン車の場合は、排ガス濃度の異常が発生した時の警告灯になるようです。
一方、「EPC警告灯」はエンジン制御の異常を示す警告灯になります。警告灯としては、こちらが日本車の「エンジンチェックランプ」に近い感じになりますね。
「エキゾーストシステム警告灯」と「EPC警告灯」はセットで点灯することが多いらしいのですが、異常のパターンが多岐にわたっているので、2つが点灯しただけでは原因は特定できません。
取り急ぎは、少し気温が上がる昼過ぎまでそのまま放置し、もう一度エンジンをかけてみますが…状況は全く変わりません。(エンジンが動き続けることはありませんでした。)幸い点いている警告灯が2個ともオレンジなので、無理やり運転出来る可能性はありますが…まずは車はなるべく動かさずに対応を考えたいと思います。
2.ゴルフⅦのエンジンがかからない原因は?
なんの前触れもなく、いきなりエンジンが止まるようになってしまった嫁さんのゴルフⅦ。その日はかなり冷え込んだので、真っ先に疑ったのはバッテリーなのですが、エンジンは一旦始動するので、バッテリーはしっかり稼働しているように見えます。少なくともバッテリーのへたりが主原因で発生している問題ではなさそうです。(我が家の車はバッテリーに負担を掛けないよう、アイドリングストップは常にOFFにしています。)
排ガスの匂いはとても臭いです。「エキゾーストシステム警告灯」が点灯していることから、排ガス濃度に異常があるのは間違いありません。原因はわかりませんが、現象としてはエンジン内で失火や不完全燃焼が発生しているのだと思われます。
失火や不完全燃焼が発生する要因としては、スパークプラグ(点火プラグ)の不良や、スパークプラグに高電圧をかけるイグニッションコイルの不良、燃料の噴射や混合比などの不具合、などが考えられます。燃料系の不良であれば、私には対応できそうにないので、ディーラーなどに修理をお任せするしかないでしょうが、スパークプラグ系であれば、DIYでの対応が検討できそうです。
そこで今回は、問題が発生した要因を「冷え込んだことでバッテリーの電圧が少し下がり、スパークプラグの点火不良が発生した」と仮定して、スパークプラグ(点火プラグ)の交換を実施していきたいと思います。
私のカーケアDIYもいよいよ点火系をいじる時がやってきましたね。(ドキドキです)
3.ゴルフⅦのスパークプラグ取り付け部の構造
今回はゴルフⅦのスパークプラグを交換していきますが、実際に作業する前に、取り付け部の構造を理解していきましょう。
写真は、エンジン上部に取り付けられているエアフィルターをケースごと取り外して、スパークプラグの場所がわかるようにした状態の写真です。
ゴルフのエンジンは4気筒(シリンダーが4個)なので、それぞれのシリンダーに対してスパークプラグが取り付けられています。そして、それぞれのスパークプラグには、高電圧をプラグに伝えるイグニッションコイルが取り付けられています。写真の矢印部(4か所)に見えているのがイグニッションコイルです。その下(奥)にスパークプラグが取り付けられています。
下図はスパークプラグの取り付け部の断面を簡易的に図示したものです。
スパークプラグの真上にイグニッションコイルが取り付けられていますので、スパークプラグを交換する場合には、漏れなくイグニッションコイルを取り外す必要があります。
しかしながら、このフォルクスワーゲンのイグニッションコイルが、固着して抜けないことで有名なのだそうです。。。イグニッションコイルのエンジンへの固定は、図の右上に見えるボルトで止められているだけなのですが、穴の奥でスパークプラグに覆い被さっているゴム部分ががっちり固着して抜けないらしいのです。。。
我が家の車は中古車です。以前の持ち主がどんな感じで管理していたか?は不明なので、固着が激しい可能性があります。(ちなみに、ゴルフⅦのオイルフィルターは激しく固着していました。)ちょっと憂鬱な情報ですが、今のままでは車も動かせないので、何とかするしかありませんね。
4.スパークプラグ交換に必要な工具
スパークプラグのエンジンへの固定は、プラグの中心部の六角部分を回してネジ止めされているだけです。深めのレンチを使用してネジを弛めていけば、取り外すことが出来ます。
しかしながら、スパークプラグは穴の奥に取り付けられていますので、通常のレンチでは取り外したスパークプラグをエンジンの外に取り出すことが出来ません。
そこで必要となるのは、下記のようなプラグレンチです。今回はゴルフⅦのスパークプラグの六角サイズに合わせて、対角16mm用のプラグレンチを購入しました。
こちらのプラグレンチは、形状はただのソケットレンチなのですが、そのソケットの中に磁石が内蔵されています。ネジ固定を取り外したスパークプラグを、磁石の力でソケット内に保持して持ち上げられるようにしてくれます。スパークプラグの交換を行う際には、必ず準備した方が良い工具でしょう。(ピンセットなどで取り出す人もいるようですが大変です。)
5.ゴルフⅦに適合するスパークプラグ
我が家のゴルフⅦ(AUCJZ)に適合するスパークプラグの純正品番は 04E905601B (NGK製)です。しかしながら、純正部品を4個購入すると諭吉さんを超えてしまいそうな価格設定です。
そこで今回は、BOSCH製の互換品である下記を購入しました。
BOSCH製のダブルプラチナ仕様のスパークプラグ ”Y5KPP332”です。スパークする部分が両側ともにプラチナ(白金)製になっているスパークプラグになります。純正品の材質が何か?はよくわかっておりませんが、他のVWユーザーさん達も、このBOSCH製のものを使用しているようなので、互換性は問題ないでしょう。
ただ、今回はYahooショッピングで少し安く売られていた ”Y5KPP332S”(末尾にSが付いている)という型番の商品を購入しました。単価は@¥1,700(送料¥750)で4個の合計額は送料込みで¥7,550でした。”Y5KPP332”と仕様が同じように見えたのでこちらを購入したのですが、いろいろ調べても末尾の「S」の有無で何が違うのか?わかりませんでした。どなたかわかる方がいらっしゃればコメント欄で教えていただけると嬉しいです。
6.ゴルフⅦのイグニッションコイルを取り外す
インターネットで交換用のBOSCH製スパークプラグ ”Y5KPP332S” を注文しましたが、商品の着荷は2日後とのことです。新しいスパークプラグが到着する前に、固着しやすいと噂のイグニッションコイルを外しておきたいと思います。
まずは、エンジンの上部に配置されているエアフィルターをケースごと外していきます。
エアフィルターは写真矢印部にあるバネ性のある金属バンドで吸気用のパイプ(ホース)と接続されていますので、バンドのツマミ部分をフライヤーなどで挟んで取り外します。
パイプが外せれば、エアフィルターのケース自体はエンジンの上の突起に挿して固定されているだけなので、真上に引く抜けば取り外すことが出来ます。
なお、写真では見えていませんが、エアフィルターケースの向こう側にも、エンジンに吸気するための細いゴムホースが接続されていますので、それも外しておいてください。(一応、取り外したホースにはゴミが入らないようラップで蓋をしておきました。)
エアフィルターケースを取り外せば、イグニッションコイルの頭部分が見えてくるので、まずは接続されているケーブルのコネクタを外していくのですが…このコネクタがまた外しにくい。。。
イメージとしては、イグニッションコイル側のコネクタに嵌合用のツメがあるので、マイナスドライバーなど(図中のオレンジ色)をケーブル側のコネクタ凹部に挿しこんで矢印方向に倒し、そのツメの嵌合を外していく感じです。
なお、この作業でコネクタを破損させてしまう人が結構いるようです。図はあくまで私のイメージ図なので、コネクタの構造をよく確認しながら慎重に取り外してください。
コネクタが外せたら、イグニッションコイルを固定しているボルトを取り外して、イグニッションコイルを真上に引き抜いていきます。
しかしながら…この悪名高いイグニッションコイル。やはり素手ではビクともしませんでした。元々外側に出ている頭の部分は動くのですが、その奥のゴムで覆われている部分がスパークプラグから全く抜けてくれません。本来であれば、エンジンを少し温めて、熱を持った状態で取り外した方がよいみたいですが、既にエンジンは掛けられない状態です。このまま冷え切った状態で作業するしかありません。
そこで、かなりの力技になりますが、イグニッションコイルに紐を通して輪っかを作り、その輪っかにバールを通しして、図にような感じで、てこの原理を利用して外してみることにしました。
この方法でもなかなかビクともしませんでしたが、散々格闘した末に、何とか取り外すことに成功しました。(もう2度とやりたくない作業ですね。。。)
なお、こんな苦労を避けるために、下記のようなイグニッションコイル取り外し専用の ”プーラー” と呼ばれる工具が販売されています。私にはその使用感がわかりませんが、イグニッションコイルを取り外す際には準備した方が良いですね。
実は私も、作業に間に合うよう”Ama〇on Pr〇me”を利用して「8:00~12:00に届けます」と明記されているものを注文したのですが…実際に商品が届いたのは17:30過ぎ。。。作業に全く間に合わなかったので返品処理しました。(Ama〇onに午後の作業に使いたいから早く届けて欲しい、と催促の電話をしたら「商品紹介ページの到着時間はただの目安です。到着指定日の23:59まで待て!」などとキレ気味に言われました…許すまじ。Ama〇onカスタマーの担当者。)
7.ゴルフⅦのスパークプラグを交換する
イグニッションコイルが外せたら、その下のスパークプラグを交換していきます。
まずは前述のプラグレンチを使用してプラグを外していきます。スパークプラグは常に熱が加わる部品なので、取り付けたネジ部が焼き付いて硬くなっていることがあるようです。しかしながら、元々強いトルクで締め付ける部品ではないため、回転方向さえ間違えなければ、ムキになって力を入れずとも外れてくれます。焦らず冷静に対応しましょう。(緩むときに「カキンッ!」と乾いた音がします。)
ネジが外れると、プラグレンチの磁力でスパークプラグがレンチに固定されますので、そのまま真っすぐ引き抜いて取り出していきます。
古いスパークプラグが取り出せたら、取り外した穴にゴミなどが入っていないことを確認して、新しいスパークプラグを取り付けていきます。
取り出した時と同様に、プラグレンチのソケットに磁力で固定した状態で取り付けていくのですが、その際に注意すべき点が1点。取り付けるネジ部分がそれほど強くないようなので、ネジがしっかり噛んだ状態でネジを締めていかないと、ネジ山が破損して大変なことになります。ネジを入れていく際は、写真のようにプラグレンチのレバーを使用せずに、軸を指で回す感じで優しく入れていくのが良いです。
指では回らなくなるところまでプラグレンチで締め付けたら、最後はトルクレンチを使用して、既定のトルクで締め付けていきます。
今回購入したBOSCHの”Y5KPP332S”は、ネジ径がM12(P1.25mm)で、規定トルクは”23N/m”となっています。規定のトルクでしっかり締め付けておきました。
写真の右側が取り外した古いスパークプラグで、左側が新たに取り付けた新品のスパークプラグです。古いものは流石に使用感がありますが、失火が発生してしまうほど劣化していますでしょうか?その辺の判断はよくわかりませんが、まあ、交換して悪いことはないはずです。まずは交換した状態でのエンジンの調子を確認してみましょう。
スパークプラグの取り付けが出来たら、取り外したイグニッションコイルを元に戻してボルトで固定します。そして、コネクタを装着すれば、交換作業は完了です。
この作業を4か所同様に行いました。なお、同時に複数のスパークプラグを外してしまうと、エンジン内で空気が循環してゴミが入ってしまうという話も聞いたので、交換作業は1本ずつ行いました。
8.エアフィルターを取り付けてエンジン始動
4本のスパークプラグを交換して、イグニッションコイルを元通りに取り付けたら、最初に外したエアフィルターケースにすべてのホースを取り付けし直し、エンジン上に固定すれば作業は完了です。(写真のとおり元通りに復元できました。)
すべての作業か完了したら、いよいよエンジンを始動させます!今回は、スパークプラグだけを交換して様子を見ることにしましたが、壊れているのがイグニッションコイルなら、今回の作業は無駄になってしまいます。イグニッションコイルの取り外し作業をもう一度やることを考えると心が折れそうになりますので、かなりドキドキの”エンジン始動”ですね。
ビビっていても仕方がないので、イグニッションスイッチをオン!です。
エンジンは…無事掛かりました。しかしながら、アイドリングが不安定です。いつもよりエンジンの振動が激しいです。
最近のエンジンは頭が良いので、部品の調子が悪くなれば、その状態を把握して、それにあった動作をアレンジしてくれるんだそうです。であれば、まずは今のプラグの状態(新品に換えたということ)を車に教えてあげないといけません。
ただ、エンジンとの会話の方法が良く分からないし、このまま激しい振動が続くのも良くなさそうです。とりあえずエンジンを少しふかして対話を試みます。
すると…徐々にアイドリングが安定し、エンジンの振動が小さくなってきました。とりあえずはスパークプラグの交換でエンジンの調子が戻ってくれたみたいです。(とりあえずエンジンが止まらなくなって良かったー。)
9.スパークプラグを交換したゴルフⅦの試運転
スパークプラグを交換したことでエンジンが止まることがなくなり、アイドリングの状態も安定してきました。
エンジンの調子を更に確認すべく、試運転してみます。
特に目指す場所などはありませんが、久しく通ってなかった道などを中心に、近隣を1時間ほど試運転しました。
結果、このゴルフⅦは嫁さんが普段乗っている車なので、スパークプラグ交換前後での調子の差などはわかりませんでしたが、エンジンの調子がすこぶる良好なのは実感できました!
久しぶりにゴルフⅦを乗り回しましたが、ゴルフはやっぱりいい車ですね。走りのバランスとしては、私のティグアンよりもキビキビ動いていい感じです。(嫁さんには車への愛が足りないと感じるので、もっと大事に乗って欲しいなと思ったりします。)
10.VCDSでエラーログを確認してみる
スパークプラグの交換でエンジンが止まらないようになったので、VCDSでエラーログの内容を確認してみます。(修理に取り掛かる前にやる作業でしたね。。。存在を忘れてました。)
運転席の足元にあるコネクタで車にケーブルを接続して、USBで接続したパソコンを使用して車のECU(コンピューター制御)にアクセスします。
パソコンとの接続が出来ていることが確認出来たら、「01-Engine」メニューの「Fault Codes-02」を確認しますが…なぜかエラーログは検出されませんでした。
最初のメニューに戻って「Auto-Scan」も実施しますが、「01-Engine-Status OK」と表示され、エンジン関係のエラーログは確認できませんでした。(なんでだろう?操作方法が違う?)
いずれにしても、少なくとも現在の状況として、エンジンは問題なく稼働してくれているようです。今後、イグニッションコイルの調子がおかしくなる可能性はありますが、その来たるべき決戦に備えて、取り外し用のプーラーなどを準備しておきたいと思います。(Ama〇on Pr〇meには二度と頼らずに注文しておきます。)