嫁さんが乗っているVWゴルフⅦのフロントバンパーのクリア塗装が剥がれました。クリアだけを再塗装して補修したかったのですが、痛んだクリアを剥がすと下地の塗装も剥がれてしまい…そこで今回は、下地のレッド塗装を含めたバンパーの再塗装を行いました。仕上がりが100点にはなりませんでしたが、DIYで初めてトライした塗装にしては、違和感なく綺麗に仕上げることが出来たと思っています。下記リンクにて動画も公開していますので、同じくDIYで初めて塗装される方のご参考になれば嬉しいです。【車-カーケア】#21 クリア塗装が剥がれたフロントバンパーをDIYで再塗装する!-初めてのバンパー塗装
目次
1.バンパーのクリア塗装が浮いて剥がれた…
中古で購入した嫁さんのゴルフⅦ。購入した時の外観状態はとても良かったのですが…年末に購入して半年が経過し、夏場になったタイミングでバンパーのクリア塗装に気泡状の浮きが発生し出しました。
しばらくはそのまま乗ってもらっていたのですが…時間とともに周りのクリア塗装もどんどん剥がれて、最終的には写真のような散々な状態に…
状況としては、フロントバンパーの直射日光が強く当たりやすい部分、地面と水平な面と、そこに接した斜めの面のダメージが深刻なようです。
そんな中、ゴルフⅦにリコール対応の修理が必要だという連絡を受けディーラーを訪問する機会があったので、メカニックの方に「普通に乗っていてこの状態は酷い。レッド塗装が弱くて不具合が多いとか傾向はないですか?」などとヒヤリングしてみたところ、一瞬、表情を曇らせた?ような気もしましたが…「この塗装は有償修理になる」というのがディーラーさんとしての最終見解になるようでした。(10万円弱の修理見積もりを提示されました。)
しかしながら、「塗装の無償修理はできませんが、ご希望があれば、表面が筋状に曇っているヘッドライトなら無償で交換出来ますよ。」と別の提案をしてくれたので、「やはり、何かの後ろめたい事実があるのだろう…」という感じはしました。冷静に考えて、同一面のヘッドライトウォッシャーカバーの塗装に全くダメージがないのに、バンパー塗装だけボロボロなんておかしいですからね。。。
いずれにしても、バンパーについては無償修理してもらえる可能性がないことが明確になりましたので、何らかの対応が必要となりました。
2.バンパー塗装の修理方法を検討する
フロントバンパーに自然発生したクリア塗装の浮きについては、ディーラーで無償修理してもらえないことが明確になりましたので、修理する方法を検討していきます。
2.1 ディーラーに塗装修理を依頼する
まずは、見積もりしてもらった内容(10万弱)にて、ディーラーに修理を依頼する方法ですが、パンパー塗装に10万弱は流石に高すぎますよね。。。ディーラーからお抱えの塗装工場に発注されて、そこにディーラーの儲け分が上乗せされて…という価格だと思われますので、自社塗装ブースを持っていないディーラーに塗装を依頼する理由がないですね。
2.2 自社塗装ブースを持つ修理工場に依頼する
価格的にリーズナブルなのは、自社で塗装ブースを持っている塗装工場に頼む方法です。余計な中間マージンが価格に乗らないので、塗装工場が請求する工賃のみで依頼が出来ます。
以前に、車をぶつけられた時に修理をお願いしたのは、敷地内に塗装ブースを持っている、近隣のイエローハットでした。バンパーの半分くらいの面積を塗装し直してもらった時の修理価格が3万円台だったと記憶しています。
イエローハットでは、「15cm×15cm」みたいな塗装する面積が費用算出の基準になっていて、「塗装範囲が基準を超える場合は要相談」となっていたと思いますが、今回の修理で塗装が必要な範囲は、上下方向の幅は狭いですが、横方向はフロントバンパーの全域に跨っています。塗装面積としては結構な広範囲になってしまうと思われるので、価格も割と高額になってしまいそうな感じがします。
正式な見積もりを取ってみないと実際の費用はわかりませんが、直感的には5万円を超えてしまうのではないでしょうか。修理した次の日にぶつけてしまう可能性もあるフロントバンパーに5万以上のお金をかけるのはちょっと微妙な気がしますね。
2.3 缶スプレーでDIY塗装して修理する
最もコストを掛けずに対応できる方法はやはり、缶スプレーを使用したDIYでの塗装修理でしょう。
痛んだクリア塗装だけを剥がして、クリアが残った部分との段差を削り込み、そこに缶スプレーのクリア塗装を吹き付ければよいはずです。まあ、言葉で表すように簡単にはいかないとは思いますが、価格的に一番お安くなるのは間違いありません。
そこで今回は、DIY愛好家精神にのっとり、DIYでの塗装修理に挑戦してみることにしました。
3.剥がれたクリア塗装の修理方法
今回はフロントバンパーの剥がれたクリア塗装を、DIYで修理することにしました。
想定している修理の工程(流れ)は下記のとおりになります
- 痛んだクリア塗装を剥がす
- クリア塗装の段差をなくす
- 塗装する部分に足付けする
- 塗装しない部分をマスキングする
- 塗装する部分を脱脂する
- クリア塗装する
- クリア塗装の表面を整える
まずは、テープなどを使用して、浮いたクリア塗装を剥がしていきます。この際、クリア塗装が痛んだ部分を、現状で剥がれていない部分含めてすべて剥がしておく必要があるので、その辺の判断が難しそうな工程ですね。
クリア塗装の痛んだ部分が除去出来たら、クリア塗装が残った部分と剥がした部分の段差を耐水ペーパーなどで削って平らにしていきます。この作業がしっかり出来ていないと、完成した塗装に段差が出来てしまうはずなので、こちらもどの程度平らにしておけばいいか?の判断が難しそうですね。
続いて、新たに塗装するクリア塗装がレッド塗装としっかり密着するように、レッド塗装表面に薄い傷をつけて「足付け」していきます。具体的には#1000~#1500程度の耐水ペーパーを使用して、レッド塗装の表面に傷をつけて、クリア塗装を食いつきやすくする処理ですね。(足付けのイメージは図のとおりです。)
以上の下地処理が出来たら、塗装する部分以外をマスキングして、塗装部分の油分を除去(脱脂)し、クリア塗装を塗布する流れになります。
更に、クリア塗装が完全硬化したら、表面に出来た「塗装ブツ」や「液だれ」などを耐水ペーパーで削って除去し、表面を磨いて肌状態を仕上げて完成です。
4.DIYのクリア塗装に必要な部材と費用
続いて、作業に必要な部材を準備して行きます。
まずは、クリア塗装を剥がした際に残ったクリア塗装との段差を削り、クリア塗装が密着しやすいように足付けするために必要となるのが耐水ペーパーです。
今回は、下記のような#400~#1500までの番手がセットになっている耐水ペーパーを準備しました。他にもいろんなメーカーから様々なものが販売されていますが、めったに使用しないものなのでお安いものでいいでしょう。(100均でも購入できると思います。)
続いて、塗装する際には塗装しない部分をマスキングしておく必要がありますが、マスキング用の部材としては、布テープとポリエチレンシートが一体になっているマスカーテープと呼ばれるものを使用すると便利です。私は車を全体的に覆う3m幅のものと、細かい部分を覆う30cm幅のマスカーテープを購入しました。
更に、100均で購入できるマスキングテープを準備し、細かい部分はマスキングテープでマスキングすると上手くマスキング出来ると思います。
続いて、塗装する部分の脱脂処理には、下記のようなシリコンオフスプレーを使用します。こちらもめったに使用するものではないので、チビ缶と呼ばれる小さいものを購入しておけば良いでしょう。(私の場合は過去に使用した余りを流用しました。)
そして、新たに塗装する肝心のクリア塗装には、1液タイプのラッカー塗装ではなく、2液タイプの下記のウレタン塗装を準備しました。
1液タイプのラッカー塗料は、安価で保存も効きますが、塗装後の塗膜がガソリンで溶けてしまうなど、耐薬品性などに難があります。
対して、2液タイプの塗料は使用直前に2種類の液体を混ぜることで硬化が始まる塗料なので保存が効きません。2液を混ぜた後は速やかに(ソフト99製は12時間以内に)使い切る必要がありますが、塗装後の塗膜がガソリンなどに侵される心配がありません。価格は1液タイプと比較すると若干高価にはなりますが、今回は耐薬品性に関する信頼性などを重視して、2液タイプのウレタンクリアー塗料を選択しました。
また、塗装した部分と塗装しない部分の境界線などは、下記のようなぼかし剤を使用してぼかすと仕上がりが良くなるようです。私のような塗装初心者には使用が必須となりそうなアイテムですね。いろいろなものが売られていますが、クリア塗料と同一メーカーのものを購入しておくと安心です。(私の場合はソフト99で統一しました。)
最後にクリア塗装が完全に硬化した後に表面を仕上げるために使用するのが、耐水ペーパーと磨き用のコンパウンドです。私の場合は過去に使用したソフト99の傷けし用液体コンパウンドと、下記の3M製の液体コンパウンドを所持しているので、そちらを流用して対応します。
結果、今回新たに準備した部材とそのざっくりとした価格は下記のとおりになります。
- 耐水ペーパー :¥ 500
- マスカー 3m幅 :¥ 500
- マスカー 30cm幅 :¥ 100
- ウレタンクリアー:¥2,500
- ぼかし剤 :¥ 800
その他、手持ちのマスキングテープやシリコンオフスプレー、液体コンパウンドなどを使用しますが、取り急ぎで必要な費用はざっくり¥4,400程度ということになりました。この価格で綺麗に塗装することが出来たら最高ですね。
5.痛んだクリア塗装を剥がしてみると…
クリアー塗装用の部材がすべて準備出来たら、作業を開始していきます。
まずは、ゴルフⅦのフロントグリル(VWのエンブレムがついたパーツ)を外して、バンパーの上部水平面を加工しやすくしておきます。
グリルの外し方は、まずはグリル上面の両端が、トルクスネジ(特殊ネジ)で固定されているので、そのネジをトルクスビットで外します。(写真は運転席側のトルクスネジです。)
続いて、ネジの内側(横)に嵌合用のツメがかかっている場所が左右2か所ずつ(計4か所)ありますので、その部分にドライバーなどを突っ込んでツメの嵌合を外します。(ドライバーを突っ込む場所は、下写真をご参照ください。グリル側に穴が開いているのでわかりやすいです。)
ツメが外せたら、あとはグリルの下側のツメがバンパーに掛かっているだけになるので、そのツメを破損しないように注意しながら上方に引き抜けば、グリルを外すことが出来ます。
更に、どうせならバンパーを外した方が作業が楽じゃね?とバンパーを固定しているネジをすべて外してみたのですが…ヘッドライトとタイヤの間にある嵌合ツメを上手く外すことが出来ませんでした。力任せに外すとツメを破損させそうだったので、バンパーの取り外しは諦めました。(おとなしくマスキングして塗装します。)
フロントグリルが外せたら、粘着テープをクリア塗装面に貼り付けて、痛んだ塗装を剥がしていきます。
作業を始めてみると、一度に結構な面積のクリア塗装が剥がれていきます。痛んだエリアのクリア塗装はほぼほぼ全面密着していないと思った方がいい感じです。
この酷い状態を改めて観てみると、メーカーの製造品質不良であることは間違いなさそうですが、メーカーにそれを訴えても有償修理になってしまう。これが商品の保証範囲や期間がはっきりしていない車業界の闇ですね。
そして、同じ要領でどんどんクリア塗装を剥がしいくと…更に悲しい事実が判明しました。なんと、クリア塗装と一緒に下地のレッド塗装もところどころ剥がれてしまっています。
写真の白い部分がレッド塗装が剥がれて、下地のプライマー塗装?(白)が見えてしまっている箇所です。黒く見える部分については、プライマー塗装まで剥がれて、樹脂の地色が見えてしまっていますね。
私のクリア塗装の剥がし方がいけなかったのでしょうか?この状態では、例えクリア塗装を綺麗に吹いても、この色ハゲが補修できません。(耐水ペーパーで磨いて地道にクリア塗装を除去するべきだったのでしょうか。。。)
こうなってしまったら、もはやレッド塗装を再塗装するしかありません。計画を練り直してレッド塗装用の塗料などを準備します。
6.レッド塗装の塗装工程を追加する
今回は、痛んだクリア塗装だけを剥がして、新たなクリア塗装を塗布するだけの予定でしたが…痛んだクリア塗装の剥がし作業で下地のレッド塗装も剥がれてバンパー樹脂が見えるようになってしまいました。レッド塗装を塗装しなおす前提で計画を練り直します。
レッド塗装の工程を加えた場合の、新工程は下記のとおりです。(太字が追加工程です)
- 痛んだクリア塗装を剥がす
- クリア塗装、及び剥がれた下地塗装の段差をなくす
- 塗装する部分に足付けする
- 塗装しない部分をマスキングする
- 塗装する部分を脱脂する
- 下地が見えた部分をプラサフ塗装する
- プラサフ表面を整える
- 塗装する部分を足付け・脱脂する
- レッド塗装する
- クリア塗装する
- クリア塗装の表面を整える
工程の変更点として、まずはクリア塗装をすべて剥がして段差をなくしたら、下地が見えてしまった部分にプラサフ塗装を追加します。
プラサフとは、プライマーとサーフェサーの両方の役割を持ったものになります。
プライマーとは、素材と塗装の密着性を確保するために塗布されるものです。今回は、クリア塗装を剥がす工程で、わずかですがバンパー樹脂がむき出しになってしまった部分があります。新品の素材ではないので、プライマーなしでも密着はするようですが、今回はプラサフを塗布して、素材がむき出しになった部分の更なる密着性を確保します。
サーフェサーとは塗装する面の凸凹を埋めて滑らかに仕上げるために塗布されるものです。また、塗装する面をパテ埋めした際には、パテが塗料を吸い込んでしまうのを防止します。今回は、パテを使用していないので、サーフェサーとしての機能はそれほど必要ではありませんが、塗装する色が隠蔽性の低い”赤”です。ホワイトのプラサフを使用することで、樹脂がむき出しになった部分(黒)と周辺の色差を小さくして”赤”を綺麗に発色させる効果を狙っていきます。
また、プラサフを塗布したら、その上からそのままレッド塗装することが可能となりますが、今回はプラサフの状態を確認しながら、必要に応じて磨き作業も入れていきます。その後、その表面を再度足付けして脱脂し、レッド塗装 ⇒ クリア塗装を塗布する流れとなります。
7.レッド塗装追加に必要な部材と費用
計画の練り直しで追加で必要となるのは、プラサフとレッド塗装用の塗料です。
まず、プラサフにはウレタンクリアー塗料と同一メーカーのソフト99製のプラサフ(ホワイト)を準備しました。量はそれほど必要ないので、準備するのはチビ缶でよいでしょう。
レッド塗装用の塗料は、色番号を確認して特注品を準備します。
VW車の場合は、荷台のスペアタイヤ格納部などに色番号が明記された銘板があるようなのですが、我が家のゴルフⅦでは、それを見つけることが出来ませんでした。型式からゴルフⅦの赤色(トルネードレッド)の色番号を調べて、下記のG2(TORNADE RED)を発注しました。
結果、今回の施工で準備した部材は下記のとおりとなりました。(太字が追加準備した部材です。)
- 耐水ペーパー :¥ 500
- マスカー 3m幅 :¥ 500
- マスカー 30cm幅 :¥ 100
- ウレタンクリアー:¥2,500
- ぼかし剤 :¥ 800
- プラサフホワイト:¥ 800
- ボデーペン :¥3,000
特注のボデーペンの価格がそれなりに高かったので、準備した部材の総額はざっくり¥8,200円程となりました。シリコンオフやコンパウンドなども改めて準備した場合は、部材費が¥10,000を超えてしまいます。まあ、それでも塗装業者さんに頼むよりは大分安いですが、これは失敗が許されないレベルになってきました。
8.クリア塗装の段差を削って平らにする
部材がすべて準備出来たら、前回の作業で剥がしきれなかった痛んだクリア塗装をすべて剥がしていきます。
計画の練り直しとその間に発生したエンジントラブルの対応などで、前回作業から既に3週間が経過しています。(エンジントラブルでスパークプラグを交換したDIYを過去記事【車-カーケア】エンジンがすぐ止まるゴルフⅦのスパークプラグ交換でまとめていますのでご参考にしてみてください。)
改めてクリア塗装の状態を確認してみると、この3週間の間に新たに剥がれてきたクリア塗装がありそうです。(上写真の白濁している箇所が新たに剥がれてきた箇所ですね。)その辺も含めて、現状で剥がせるクリア塗装をすべて漏れなく剥がしていきます。
前回作業でクリア塗装を剥がした場所の、更なるクリア塗装の除去には#1000の耐水ペーパーを使用しました。#1000の耐水ペーパーで、端面が浮き始めたクリア塗装を剥がすと同時に、クリア塗装の残った部分との段差を削って平らにしていきます。
なお、耐水ペーパーが当たって欲しくない、ヘッドライトウォッシャーカバーや、センサー部のパーツなどは、マスキングテープでマスキングして作業しました。
耐水ペーパーで粗めに削り込んだ状態が写真の状態です。クリア塗装が綺麗に全部剥がれてくれればよかったのですが、ところどころ中途半端にしっかり密着して残っている部分があり、その段差を綺麗になくすのがかなり難しく…写真のようにまだらな外観になってしまいました。手のひらで触っても、多少の段差を感じる状態なので、この辺については更なる削り込み(平滑化)が必要ですね。
前回作業でクリア塗装を剥がしていなかった部分については、前回より粘着力が小さいマスキングテープを使用して前回より丁寧にクリアの剥がし作業を行いました。
その効果があったのか?は微妙な感じですが、前回作業と比較すると、下地塗装まで剥がれた箇所を多少少なくすることが出来ました。
クリアがすべて剥がせたら、耐水ペーパーで段差を削り込んで平らにしていきます。段差をなくす作業に#400の耐水ペーパーを使用するか?迷いましたが、その気持ちをぐっとこらえて、地道に#1000での削り込みを行いました。
段差が概ね除去出来たら、#1000の耐水ペーパーで足付けを兼ねて全体を磨いて下地処理は完了です。
下地処理が完了した状態は写真のとおりです。手のひらで表面を撫でても段差がほとんど感じられないくらいの滑らかさになりましたが、まだらになっている部分は高さに変化がある部分です。私のような初心者には、その上にクリア塗装を乗せた時にどう見えるか?は、実際に塗装してみないとわかりません。その辺りの感覚は、実際に体感してみる以外にないでしょう。
以上で塗装の下地処理は完了しましたが、作業に取り掛かる時間が遅かったこともあり、既に当日中にすべての塗装工程を完了させることが出来ない時間になってしまいました。塗装作業は後日実施することにしてその日の作業は終了としました。(こうして嫁さんへの納車が遅れていきます。。。ww)
9.塗装する箇所以外をマスキングする
さて、前回の下地処理から、また10日ほどが経過してしまいました。新たにクリア塗装が浮いた箇所がないか?の確認も兼ねて、塗装するエリア全体を#1000の耐水ペーパーで磨いて足付けし直します。
足付けが完了したら、いよいよ塗装のマスキングを行います。
まずは、写真のように、マスキングする部分のエッジをマスキングテープでマスキングします。
なお、このマスキングは最終塗装まで使用しますので、塗料が染み込んでしまうマスキングテープを使用した場合は、マスキングした箇所にも塗装の色が乗ってしまいます。基本的には「塗装用」と明記されているマスキングテープを購入した方が良いでしょう。(「塗装用」も100均で購入できると思います。)
エッジをマスキングテープでマスキング出来たら、その上からマスカーテープを貼っていきます。
マスカーテープの布テープ部分を貼る位置は、マスキングテープより若干外側にして、塗装境界のラインがマスキングテープになるように施工した方が、上手くマスキング出来ると思います。
上写真は、塗装部の上側に3mのマスカーテープを貼って固定しているところです。車のルーフまで広げたら、風で浮かないよう別のマスキングテープで端面を固定しておきます。
続いて、塗装部の下側に30cmのマスカーテープを貼っていきます。
塗装部の上側境界は「塗装境界=部品の見切り」なのでマスキングは簡単ですが、下側は写真内の黄色矢印部分のマスキングラインなどが「塗装境界=マスキング境界」になります。そのような箇所にマスキングテープを普通に貼ってしまうと、その境界がくっきりと目立ってしまうので、境界が出来るだけ目立たなくなるよう工夫する必要があります。
マスキングの境界を目立たせたくない箇所については、図のようにマスカーの布テープを貼る向きを逆にして、ポリエチレンシートを一旦折り返してマスキングするようにすると、マスキング境界をより目立たせずに塗装できるようです。(受け売りです)
ポリエチレンシートを折り返した部分が多少膨らむことで、境界をよりソフトにマスキングするイメージですね。
まあ、初心者の初めての塗装でどれだけ上手くできるか?わかりませんが、わからないからこそ、先達の方々の知恵はしっかり活用しないといけません。今回は境界を目立たせたくない下側のすべてのマスカーを、上図のように貼り付けました。
10.塗装面を脱脂してプラサフを塗装する
マスキングが完了したら、塗装する部分をシリコンオフスプレーで脱脂して、プラサフ(ホワイト)を塗装していきます。
今回のプラサフは、樹脂がむき出しになってしまった、バンパーの角R部分だけに塗装出来ればOKなので、写真のように新聞紙を当てながら局所的に塗布しようとしましたが…そんなイメージ通りにいくはずもなく、かなりの面積にプラサフが塗布されてしまいました。
まずは30分ほど放置してプラサフを乾燥させて、プラサフが余計に塗布されてしまった部分を、足付けも兼ねて#1500の耐水ペーパーで磨きます。
この際、あまり磨きすぎるとせっかく塗布したプラサフがすべてなくなってしまうので、その辺も考慮しながら、優しく磨きを入れます。結果、想定よりも広範囲にプラサフが残る結果になりました。
また、これはその後の作業の中で痛感したことですが、マスキング部分に塗布されたプラサフは、乾燥すると簡単に剥がれて、塗装時にかなり邪魔な存在になります。この時はそれを知る由もないですが…プラサフを塗布する場合は、マスキングに塗布されたプラサフが剥がれ落ちてこなくなるような対策を施した方が良いです。(すごく面倒くさいですけど…)
11.塗装面を脱脂してレッド塗装を塗布する
プラサフが磨けたら、シリコンオフスプレーで再度脱脂を行い、いよいよレッド塗装を塗布していきます。
空き缶に塗装を試し吹きするなどして、塗装される感じがつかめたらバンパーへ塗装していきます。
こちらは完全な受け売りですが、塗装を上手に行うコツは1回1回を薄く塗ることだそうです。「あれ?下地の透けがなくならないなぁ」などと焦って厚塗りしてしまうと残念な結果になることが多いとのこと。
まずは1回目の塗布を終えたのが写真の状態です。全体に満遍なく、薄ーく吹き付けました。当然ながらプラサフの白が丸見えですが、焦りは禁物と言い聞かせて我慢します。
そして、レッド塗装を塗布したら、すぐにぼかし剤を塗布して、境界が馴染むようにします。(以降、すべての塗装作業でぼかし剤を塗布しました。)
10分ほど乾燥させて2回目を塗布します。まだまだ下地が見えてまだらですが、焦らない焦らない。
その間に次のクリア塗装に備えて、2つの液体を混合させて使用するウレタンクリアーの混合処理を行っておきます。底面のピンを缶に押し込んで、逆さにした状態で液体が混合するまで放置します。
10分程放置したら3回目です。まだまだらな部分がありますが、だんだん下地が見えなくなってきました。
以降4回目、5回目と10分放置しては塗装する作業を繰り返します。(DIY塗装は時間がかかりますね。。。)
通常は5回くらいで終わりなのでしょうが、ビビって薄く薄く塗り重ねていることもあり、最終的には6回の塗布を実施しました。その状態が写真の状態になります。
6回塗り重ねているだけあって、下地の色は見えなくなっていますね。しかしながら、色を塗った率直な感想としては「この車。こんな色だったかな?」です。しっかりゴルフⅦ用のトルネードレッドを発注したはずですがその上のクリア塗装がないので、他の部分と比較するとかなり色が違って見えています。塗装の境界線がどう見えるか?含めて、この時点ではかなり不安になりますね。
しかも、屋外で塗装していて、今日は風も吹いています。塗装したところに毛ゴミなどが付着して、結構大きな塗装ブツが発生しています。
まあ、この辺は想定の範囲内ではありますが、この辺がクリア塗装硬化後の仕上げ作業でどれくらい綺麗に仕上がるか?は初心者の私には、やってみないとわからない領域です。
いずれにしても、これでレッド塗装の工程は完了しました。
12.ウレタンクリア塗装を塗布する
レッド塗装を塗布して30分程放置したら、完全乾燥する前にクリア塗装を塗布します。カラー塗装後のクリアをどのタイミングで塗布するか?は、いろいろな見解があるようでしたが、私はカラー層とクリア層が混ざってしまうのを避ける意図で、少し長めの30分を確保しました。
まずは1回目です。塗装が垂れたりしないように、薄ーく塗っていきます。(ちょっとビビりな塗り方だったような気もしますが。)
クリア塗装を塗布したら、すぐにぼかし剤も塗布します。ぼかし剤は両方の塗装で使用するので消費量がかなり多くなりますね。(塗装完了まで足りるのか不安になってきました。)
10分程放置したら2回目の塗布です。2回目は1回目よりも多く塗布してよいみたいなので、早く結果を出そうと少したっぷり目に塗布したところ…塗膜がところどころ垂れ気味になってしまいました。。。まあ、その辺は完全硬化後に仕上げる前提で作業を進めていきます。
10分放置して、3回、4回と塗り重ねます。写真は4回目の塗布を終えたところですが、4回目くらいからやっとクリア塗装に艶感が出てきました。この調子でどんどん塗り重ねていきます。
5回目、6回目、7回目を塗り終えたところでハプニング発生です。なんと、雨が降り出してきました。今日が夕方から雨予報なのはわかっていましたが、作業に予定より時間がかかってしまい、雨が降り出す前に作業を終えることが出来ませんでした。
仕方がないので、3mのマスカーを上からもう1枚被せて、雨除けにしました。
その”マスカー塗装ブース”の中で最後の8回目の塗布を行ってクリア塗装は終了としました。(塗料が余っていたので本当はもっと塗り重ねたかったのですが、時間切れですね。)
クリア塗装が完了したら、塗料の表面が乾燥する前に、マスキングを外していきます。境界の見栄えが気になる部分については、乾燥する前にマスキングを取ってあげた方が、状態が良くなるのだそうです。
雨除けのマスカーの中に潜り込んで、マスキングを除去していきます。
写真がマスキング境界が塗装境界になる部分のマスキングを外したところですが…うーん。どうなんでしょう。境界はくっきりしていて微妙な感じです。この辺りも完全硬化後に仕上げてみないと何とも言えないですね。
また、このマスキング除去作業で新たなトラブルが…マスキングを取り外すときに、マスカーに付着していたプラサフの一部が、完全に乾燥していない塗装表面に飛散して張り付いてしまいました。(プラサフ工程の項で問題提起した内容です。)
プラサフとその後の塗装でマスキングを取り換えるのは現実的ではないので、プラサフ工程でプラサフが付着したマスカーには、新たなマスカーなどをその上から2重で貼り付けるなど、マスカーに付着したプラサフが飛散しない対策が必須となりそうです。(勉強になりました。)
塗装は完了しましたが、雨は更に強くなって来ました。表面が乾燥するまでの最低2時間は雨に濡れないよう管理します。(マスカーに溜まった雨を時々除去しながら放置しました。)
そして、2時間の経過を待って、雨ざらしの状態としました。「塗装した日に雨ざらしで大丈夫か?」については大分不安がありましたが、雨が溜まってマスカーブースが潰れ、マスカーのポリエチレン部分が塗装面に張りついてしまったりするのを避けたいという判断で、2時間後の雨ざらしを選択しました。
13.完全硬化後のクリア表面の仕上げ作業
ウレタンクリア塗装の完全硬化は2~3日程とのことです。早く磨きを入れたい気持ちを抑えて4日間放置しました。
まず、塗装後に雨ざらしになった影響ですが、翌日には表面に水玉模様が出来ていてかなり焦りましたが、その後、しっかり乾燥したら概ね消えてくれました。あとは塗膜内部の状態にその影響がないことを祈るだけです。
完全硬化後の塗装面の肌状態は…写真のとおりで完全にゆず肌です。
ウレタンクリアーは磨きを入れなくても綺麗に仕上がると言われているみたいですが、私の塗装技術ではゆず肌にしか仕上げることが出来ませんでした。(磨いてピカピカにしていくしかないですね。)
また、レッド塗装をした際に付着していた毛ゴミは、立派な塗装ブツになっていました。(写真にも映っています。)塗装ブツについては、すべて耐水ペーパーで削り込んで除去していきます。
マスキングを外すときに表面に付着したプラサフの欠片については、完全硬化後も塗装表面に張り付いていました。(写真内の白い点が張り付いたプラサフの欠片です)
こちらも削り込んで除去していくしかなさそうですが、こちらは上手く対応すれば避けられた不具合なので、後悔が残りますね。
他の不具合としては、ヘッドライトの面に塗装(赤)が多少吹き込んでいました。ヘッドライトは無償で新しいものに交換してもらえる前提で作業しているのでそのままでも良いのですが、一応シンナーで吹き込んだ塗装を除去しておきました。
さて、全体の確認が終わったら、塗装面を仕上げていきます。
まずは塗装面から凸している塗装ブツを木片に巻き付けた#1000の耐水ペーパーで除去していきます。出っ張っているブツのみを削って、周りのクリア層を極力削らないよう慎重に作業しました。
続いて、表面に付着したプラサフの欠片を#1500の耐水ペーパーで、周り全体を削り込む感じで除去します。結果、プラサフの欠片は概ね削り込むことができました。(一安心です。)
局所的な不具合が解消出来たら、次は全体的なゆず肌改善です。
プラサフを除去するために#1500で削り込んだエリアのゆず肌がいい感じに改善されたので、まずはクリア塗装全体を#1500で削り込むことにしました。
結果、全体的なゆず肌については、ある程度改善することが出来ました。(平滑になりました。)
ゆず肌が改善出来たらコンパウンドによる磨き作業を実施していきます。
まずはソフト99の液体コンパウンド#3000 傷けし用を使用して全体を粗めに磨きます。
それが終わったら次は同じくソフト99の#7500 仕上げ用で磨いていきます。コンパウンドの番手を上げていくことで次第にクリア塗装の表面に艶が出てきました。(写真で使用しているのが#7500です。)
#7500まで磨いたら、ソフト99製コンパウンドの出番は終了です。ここからの仕上げ作業には、磨き性能に優れた、3M製の液体コンパウンド、ハード1-L、ハード2-Lを使用していきます。
まずはハード1-Lを使用して全体を磨いていきます。ハード1-Lで磨くことで、艶が1段階上がっていくのがわかります。3M製のコンパウンドはやっぱり一味違いますね。
そして仕上げはハード2-Lです。写真がハード2-Lで磨いた後の外観になりますが、磨くことで表面の光沢が増し、バンパーに映り込む電信柱の姿がくっきり映るようになりました。ここまで艶が出れば仕上がりとしては上々でしょう。
ヘッドライトウォッシャーカバーから伸びる塗装境界の仕上がりに関しては、磨いても色味の違いは改善されず、多少ラインが残ってしまう仕上がりとなりました。(写真でも色味の違いがわかると思います。)
ただ、よく見ないとわからないレベルなので、個人的には合格点です。写真のようにピカピカに磨き上げるとどうしても目立ってしまいますが、嫁さんは普段、それほど車を綺麗にして乗らないので、まあ違和感は感じないでしょう。ww
磨きが完了したら、マスキングテープをはがして部品の隙間に入ってしまったコンパウンドなどを除去します。(これをやっておかないとコンパウンドが隙間にこびり付いてしまうので意外と重要な作業です。)
最後にフロントグリルを取り付けて車を元通りにすれば、すべての作業は完了です。(お疲れ様。俺。)
今回は、クリア塗装だけで済むはずが、クリア剥がして下地が見えて…結果的に大がかりな塗装作業になってしまいました。兎にも角にも、ある程度納得できる仕上がりで任務が完了してなによりです。
・DIYでのバンパー塗装に初トライした感想
今回はDIYでのバンパー塗装に初トライしましたが、まずは何とか納得できる仕上がりになってくれて”ほっとしている”というのが正直な感想です。
ただ、写真ではなかなか表現できない内容になりますが、完成状態では想像以上に塗装前のゆがみを拾ってしまうことを実感しました。次回はもっとしっかり”大胆に”削り(磨き)を入れて、塗装前の状態を更に向上させてから塗装すべきと思いました。(そうすることで、仕上がりはもっと良くなるはずです。)
また、今回の作業で最も後悔したのは、マスカーに付着していたプラサフの処置ですね。乾燥したプラサフがパリパリになって飛散し、塗装時の異物になってしまうことがわかりましたので、次回は何らかの対策を施したいと思います。やはり、プラサフ後にマスカーをもう1枚追加貼りしてプラサフが飛散しないように対策する感じですかね。
それと、塗装境界の元色との色差については、解決がかなり難しいと感じました。。。プロの塗装では現場で色味を微調整して違和感のないように仕上げてしまうのでしょうが、DIYではそれが出来ないので、どうしても元塗装との色差が発生せざるを得ないです。特に輸入車の塗装は(勝手な妄想ですが)色味のばらつき(振れ幅)が大きいでしょうし、やはり、塗装する部品全体を塗装して塗装境界をなくすべきなのかなぁなんて思いました。
いずれにしても、今回のトライで塗装の一連の流れや、上手く塗装するコツはなんとなくわかりました。次回にトライする際にはその経験を生かして、より適切に対応していきたいと思います。(DIY塗装などをしなくて済む状態で車に乗れたらベストなんですけどね。)