2020年秋より芝生の育成を始めて丸2年が経過しました。10年以上、雑草を抜く以外のケアをせずに放置してきたこともあり、床土が粘土質でまだまだ堅く、良好な芝生というにはほど遠い状態ですが、2シーズン通して芝生育成を続ける中で、作業については色々と理解を深めることができました。そこで今回は、その第1弾として「芝刈り」に焦点を当て、目的や効果、注意点、各ご家庭におススメの芝刈り機などの内容をまとめていきます。是非、ご参考にしてみてください。
目次
1.芝刈りを行う目的と効果
綺麗に刈り揃えられた芝生は絨毯みたいでとても美しいです。隣の芝生は青く見えるとはよく言ったもので、ご近所にゴルフのグリーンやフェアウェイのように綺麗な芝生があると羨ましくなりますよね?
芝刈りは、芝生の外観を美しく保つために重要な作業ですが、それだけではなく、芝生の育成に対しても重要な効果があります。
芝生は葉先の生長点を伸ばしていくことで成長していきますが、その葉先の生長点を刈ることで光合成する部分が少なくなると、慌てた芝生が葉の数を増やして更なる光合成を行おうとします。その結果、適正な芝刈りを実施すると芝生の密度が上がり、更に美しい芝生に仕上がっていくことになります。
芝生の密度が上がると、見た目が美しくなるだけではなく、雑草の生えにくい芝生になりますので、「雑草の根が芝生と絡み合って除去しきれないんだけど…」などという煩わしい悩みからも解放されます。
この雑草に対する効果は本当に顕著です。芝生の育成2シーズン目の2022年は、シーズンスタート時の芝生がスカスカな時期に何回か雑草を除去したくらいで、夏場以降はほとんど雑草が生えてきませんでした。除草剤を使わないことで、ニホントカゲなどの生き物ももりもり増えましたので、そういう点では、かなり健全な芝生になったと言えますね。
2.芝刈りの刈り高さ-軸刈りに注意
ゴルフ場のグリーンのような美しい芝生は、かなり頻繁に小さな刈り高さで刈り揃えられていると思いますが、ご家庭での芝生の刈り高さは、概ね15mm~25mmくらいが一般的です。
ただ、前述のように、芝生の見た目を美しく仕上げるためには、刈り高さを低くした方が良いため、芝生専門の記事を書かれているような芝生愛好家さんたちにおいては、刈り高さ15mmくらいの設定で刈られる方が多いように思います。
しかしながら、我が家の芝生のような、生育状態が万全ではなく、これからのさらなる成長改善が求められる芝生に関しては、刈り高さをもう少し高めの設定としてあげたほうが、光合成がより出来るようになって元気な芝生に育ってくれると感じています。
我が家では、シーズン当初(3月~5月くらい)の、冬の休眠から目覚めて、成長途上の芝生に関しては15mmなどの小さい刈り高さで刈ることもありますが、盛期の芝生に対しては、刈り高さ25mmに設定して刈るようにしています。
刈り高さを高くするデメリットとしては、葉先がすぐに長くなってしまうことで外観が悪くなりやすいところだと思いますが、個人的には外観的にも長めの芝生が好みなので、その外観を許容することが出来れば、適度に(多少ルーズに)管理することが出来るようになります。^^
また、芝刈り時の注意点は「芝生の成長の土台となる軸部分まで刈ってしまわないこと」です。芝刈りをした状態で、表面が枯れた芝のような(緑でない)状態に見える場合は、軸部分まで刈ってしまった「軸刈り」になっている可能性が高いです。
芝生は、葉の緑の部分で光合成を行いますので、先端側の緑の部分をすべて刈ってしまうと光合成が出来なくなってしまいます。
まあ、「盛夏に軸刈りをしてしまった」などの極端な場合でなければ、軸刈りした部分のすべてが枯れてしまうことはありませんが、芝生にはかなりのダメージが残りますので、軸刈りは出来るだけ避けた方が良いです。
一般的に、1回に芝刈りする量は「葉の長さの1/3以内」にするべきと言われています。15mmの刈り高さで刈るのであれば、葉の長さが22.5mmになる前に、芝刈りした方がいいということになりますね。
しかしながら、2シーズン通して実際に芝生の育成を行った結果から、芝刈り後の葉の長さが「軸刈り」にならない程度に残っていれば、刈る量についてはそれほど気にしなくてもよいと感じました。我が家の刈り高さ25mmでの芝刈りであれば、よほど芝生を伸び放題にしない限りは軸刈りになることはほとんどありませんでしたので、かなりルーズな管理をしても大丈夫です。(笑)
っていうか、芝刈りする量を1/3以内になるように管理するのはとても大変だと思います。刈り高さが小さい15mmなどでの芝生を目指しているならなおさらです。理想の管理方法は確かにそうなのかもしれませんが、一般のご家庭には厳しすぎる設定だと思います。
また、それぞれの芝生で、更には芝生のそれぞれのエリアで成長スピードが異なりますので、「刈り高さは全体の〇/〇以内」とか「芝刈りは〇日に1回」とか、ガチガチにルールを決めて芝刈りするのはとても難しいです。(ガチガチにやると何事も楽しくありませんしね。)
「芝生が伸びてきたな」と思った時に、まずは自分の好みの高さに刈ってみて、結果、緑の部分がなくなってしまうようであれば、それは刈り過ぎ(軸刈りになっている)ということです。次回はもう少し早いタイミングで芝刈りするとか、刈り高さをより大きくするとか、次回にどんどんフォードバックしていくことでその芝生や季節に合致する芝刈り方法を見つけることが出来れば、それで十分なんだと思いました。
私が行っている刈り高さ25mmの芝刈りであれば、盛期に1か月放置するとかさえしなければ、ほとんどの場合、軸刈りになることはなかったです。刈り高さは高めとした方が、日常の管理が容易になって楽です。ご参考にしてみてください。
3.芝刈りに使用する道具
芝刈りに使用する道具は人によって様々です。すべてを使用してみたわけではないですが、私が思うところの(想像も含んだ)それぞれのメリット・デメリットなどをまとめて、それぞれの条件におすすめの芝刈り機を考えてみます。
3.1 リール式芝刈り機
まずは下記のようなリール式の芝刈り機です。手押し車のように、芝刈り機を前進させることで、ドラム状の刃がタイヤの回転に合わせて縦に回転し、伸びた芝生をカットしていく芝刈り機です。
リール式芝刈り機の最大のメリットは、その作業性の良さですね。手押し車のように芝生の上を通過させるだけで芝生を刈っていくことが出来ますので、作業性は非常に良いです。
そして、タイヤの回転方向と刃の回転方向が同じことから、手押し(人力)で刃を回転させることが容易なので、電源を必要としないものが多いです。電源ケーブルが不要となるので、より面積の大きな芝生に対応できます。
デメリットとしては、芝生上に異物などがあった場合に、それを噛むことで刃が痛みやすいという点ですね。写真のようなミミズの糞塚があるだけでも刃が痛むと言われているので、とてもデリケートな芝刈り機になります。(性能を維持するためには、定期的な刃研ぎが必要となるようです。)
また、回転する刃と固定されている刃をハサミのように嚙み合わせて芝生をカットする構造になので、かみ合わせがズレたりすることでも切れ味が落ちます。定期的な刃の位置調整が必要となりますですので、メンテナンス性はあまりいいとは言えません。(長期使用を考えると、初心者向けではありません。)
刃が痛んだ場合には、下記のような研磨セットを使用するなどして刃を研磨することになりますが、刃の位置を自動で調整して、刃研ぎも半自動で行ってくれる製品などもあります。ただし、そのような機能を有する上位グレードの芝刈り機はそれなりのお値段になりますので、コストと実用性(メンテナンス性)のバランスが取れた製品を探すのが難しい商品群と言えますね。(安物買いの銭失いにならないよう、リール式を購入するなら、それなりの上位グレードのものを購入した方がいいと思います。)
また、芝刈り機の先端にドラム状の刃があるので、芝刈り機としてはそこそこの大きさになります。収納性が優れているとは言えませんので、十分な収納スペースがあるお宅向けの芝刈り機になります。
3.2 ロータリー式芝刈り機
続いて、下記のようなロータリー式の芝刈り機です。芝生に水平に配置された円盤状の刃が回転することで、芝刈りを行う芝刈り機です。
ロータリー式芝刈り機のメリットは、ロール式のように刃の位置がずれて切れ味が悪くなるということがないので、メンテナンス不要で切れ味をキープできるところだと思います。もちろん、円盤状の刃が痛めば切れ味は落ちますが、ロール式と比較すると、安定した性能をキープ出来る芝刈り機です。
また、実際に使用したことがないので一般的に言われている話になってしまいますが、芝刈り後の刈り残しが少ない芝刈り機と言われています。よって、芝刈り品質的にはこれが最上位の芝刈り機になると思っています。
デメリットとしては、タイヤの回転と刃の回転方向が異なる構造上、基本的には動力に電動モーターやエンジンを使用せざるを得ないところでしょうか?
エンジン式(電動でも充電式)の芝刈り機では、動力が続く限りの広い面積での作業が可能となりますが、電動のコード式の芝刈り機の場合は電源ケーブルが届く範囲でしか動作出来ません。
基本的に、性能・品質としては最も優れた芝刈り機だと思っていますが、更にデメリットを挙げるとするなら、重さや収納性でしょう。刃の取り付け部にモーターが付いているので、その分重くて大きいです。こちらも収納スペースが確保できるご家庭向けの商品になってくると思います。
3.3 バリカン式芝刈り機
最後は下記のようなバリカン式の芝刈り機です。芝生の障害物周りや生え際を刈る際に使用されることが多い商品ですね。私の芝生育成では2シーズンを通して、芝生全面を下記の”リョービのAB-1620”にて芝刈りしています。
バリカンのメリットは圧倒的に小回りが利くことですね。手元の芝を刈るので、より丁寧な芝刈りが出来ます。ロータリー式同様、刃研ぎ以外のメンテナンスが不要なので、メンテナンス性もとても良いです。(刃研ぎ方法は別記事【芝生】バリカンの替え刃交換と刃研ぎ-リョービAB-1620にてまとめていますのでご参考にしてみてください。)
デメリットはその作業性でしょう。常にしゃがんで芝刈りすることになりますし、単位時間あたりに芝刈り出来る面積小さいので、特に夏場の作業はかなりの重労働になります。我が家の狭い芝生でも芝刈り作業に1時間くらいは要していました。
また、電源が必要となるので、コード式の場合は電源ケーブルが届く範囲での芝刈りになってしまうのもデメリットですね。
ただし、別売りオプションとなっている下記のポールなどを装着すれば、作業性を飛躍的に改善することができます。(スティック掃除機のようにしゃがむことなく芝刈り出来るようになります。)私も昨シーズンの終盤にオプションのポールを購入しましたが、以後、ポールなしでは芝刈りできない体になってしまいました。(ポールの使用感などは別記事【芝生】電動バリカンでの芝刈りを楽に!-ポール&スライダーセットにてまとめていますのでご参考にしてみてください。)
3.4 芝生面積による適切な芝刈り機の選び方
上記で説明したそれぞれの方式の芝刈り機の、メリット・デメリットを比較して採点すると下記のような感じになります。(採点は独断と偏見です。)
刃の駆動方式 | 芝刈り性能 | 作業性 | 対応面積 | メンテナンス性 | 小回り | 収納性 | 価格 |
ロール式 | ○ | ○ | ◎ | △ | ○ | △ | △ |
ロータリー式 | ◎ | ○ | ○~◎ | ○ | △ | △ | △ |
バリカン式 | ○ | × | × | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
バリカン式+ポール | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
”広い芝生”を芝刈りするなら、電源ケーブルが不要となるロール式、もしくは充電式かエンジン式のロータリー式がよいということになりますね。ただし、ロール式を使いこなすためには、しっかりメンテナンスすることが重要になりますので、メンテナンスが面倒な方や、芝生育成初心者は、上位グレードの刃研ぎや調整を自動でやってくれるものを買うべきでしょう。(わずらわしさは”お金で解決!”ですね。)
”適度な面積の芝生”を刈り残しなく綺麗に仕上げたいのであれば、ロータリー式を選択するのがBESTだと思います。メンテナンス性が良いことで、使用者によって性能がばらつかないのもポイントですね。
我が家のように狭い芝生であれば、バリカン式で十分でしょう。そして、その作業性を改善したいならオプション式のポールを装着すべし!ですね。ポールを装着して作業することで、ロール式やロータリー式とそん色ない作業性での芝刈りが可能となります。
・芝刈りの意義と作業性について
芝刈りは芝生のケアの基本作業になります。その効果を最も実感しやすい作業になると思いますので、芝生育成を始めるための入り口としては最適な作業となるでしょう。
もし、ケアが行われないまま放置されているような芝生があれば、まずは”芝刈り”からケアを始めてみてはいかがでしょうか?芝生に限らず、植物は手間をかけた分だけ応えてくれますのでやりがいがありますよ。(植物は人間よりも反応が素直です:笑)
私の場合昨シーズンの終盤まではバリカンによる手作業で芝刈りを行っていましたが、終盤にポールを購入したことで、作業が飛躍的に楽になりました。今シーズンは今までよりも頻繁に芝刈りが行えるようになると思います。^^