【芝生】芝生のケアを考察③エアレーション-目的・効果や有効性

芝生のスパイキング・コアリング・ドリルエアレーションの方法と効果

2020年秋より芝生の育成を始めて丸2年が経過しました。10年以上、雑草を抜く以外のケアをせずに放置してきたこともあり、床土が粘土質でまだまだ堅く、良好な芝生というにはほど遠い状態ですが、2シーズン通して芝生育成を続ける中で、作業については色々と理解を深めることができました。そこで今回は、その第3弾として「エアレーション」に焦点を当てて、その目的や期待される効果などを改めて整理してその有効性を確認するとともに、今シーズンの作業方針などをまとめていきます。下記リンクにて動画も公開していますので、皆様の芝生育成のご参考になれば嬉しいです。【芝生】10年放置した芝生を再生する -2023 3rd season 準備編① 芝生の育成作業を考察「エアレーション」

1.芝生の育成に重要なエアレーション作業

芝生の育成の中では、エアレーション作業がとても重要と言われています。

エアレーション作業とは、その名の示す通り、芝生の根に”エア”=”空気”をいき渡らせるために行う作業です。具体的には、芝生に穴をあけて、そこに通気性の良い新たな目土などを入れていくことで、目詰まりした芝生の根に新鮮な空気が送り込み、芝生を更に元気にするという作業になります。

元気な芝生を育成するにはエアレーション作業が重要

また、芝生に穴をあけて新たな目土を入れることから、その他にも様々な効果を得ることが出来ると言われています。私の思いつくもので、ざっと下記の通りでしょうか?

  • 芝生の水透過性(排水性)の向上
  • 土の入れ替えによる土壌改良
  • 新たな根の発根促進

こうやって改めて効果を整理してみても、いいこと尽くしに見えますね。

また、エアレーション作業の種類としては下記の通りのバリエーションがあります。(もっと種類があるかもしれませんが、私が2年間で実施してきたエアレーション作業は下記の3種類です。)

  • スパイキング
  • コアリング
  • ドリルエアレーション

中でも、スパイキングとコアリングの作業は、芝生愛好家さんの記事や動画の中に頻繁に登場する極めて一般的な作業になりますので、既に実践されている方も多い作業でしょう。

2.エアレーション作業の内容と効果について

ゴルフ場などの管理された芝生の更新にエアレーション作業は不可欠

エアレーション作業は芝生愛好家さん達が長い間培ってきた、完成度の高い作業です。ゴルフ場の芝生のような既に完成された理想的な芝生においては、極めて効果の高い作業になります。

しかしながら、我が家の芝生のような、床土が粘土質で良化途上の芝生に対しても同じような効果が見込めるのでしょうか?

それぞれの作業内容を改めて確認することで、その効果を改めて(冷静に)整理して、我が家の芝生に最適な適用方法を考えていきましょう。

2.1 エアレーション作業①:スパイキング

まずはスパイキングからです。

足裏に針が取り付けられたスパイクで芝生を踏んで穴を開けていくスパイキング作業

スパイキングは、足裏に針のついたスパイクを履いたり、写真のように針のついたアタッチメントを靴に装着して芝生を踏んでいくことで、芝生に数多くの小さな穴をあけていくエアレーション作業です。

作業内容としては、芝生の上を歩くだけなのでとても簡単な作業です。(過去記事【芝生】スパイキングによるエアレーション -梅雨本番前の作業では、私がスパイキングを実施し始めた時の状況を記事にしていますので、ご参考にしてみてください。)

ちなみに、私が使用している靴に装着するタイプのスパイク用アタッチメントは下記のようなものです。

芝生に対しては、表面から”5寸釘くらい”の針で小さな穴をあけていくだけの作業になるので、芝生の根を痛める心配がなく、芝生への負担がとても少ない作業です。毎日実施しても問題ない作業でしょう。

スパイキングで芝生の表面に多数の穴を開けた状態の芝生の断面イメージ図

図はスパイキングした時の「芝生断面イメージ」になりますが、スパイキングを実施すると、芝生表面の浅い範囲に、図のような小さい穴がたくさん開いていきます。

そして、スパイキングで出来た穴には目土や目砂を入れて埋めるというのが一般的に言われている内容です。しかしながら、実際にはそんな小さい穴には目土や目砂がほとんど入ってくれません。(他のYoutuberさんの動画では、細かい珪砂さえ全く穴に入っていませんでした。)

従って、スパイキングで出来た穴は時間とともに”元の土で”埋まってしまうので、エアレーションとしての効果は一時的なものになってしまうと思っています。

その辺りを踏まえて、作業で期待される効果への影響を確認していきましょう。

主目的である「根に空気を送り込む」に対する効果については、出来る穴の数が一番多い作業になるので、作業直後の効果はエアレーション作業の中で最も大きいはずです。しかしながら、前述のとおり、目土や目砂がその穴に入ってくれないのであれば、その効果は一時的なものとなるでしょう。

「水透過性(排水性)の向上」についても同様ですね。作業直後の状態では穴から水分が排出されてくれるでしょうが、穴が埋まってしまえば元通りです。

「土壌改良」や「発根促進」については、ほとんど効果がないと言ってよいと思います。

以上を表にまとめると下記のとおりです。残念ながら、”エアレーション”の作業として考えた場合は、効果があっても限定的と言わざるを得ないですね。。。

期待される効果実際の効果
根に空気を送り込む△(一時的)
排水性の向上△(一時的)
土壌改良×
発根促進×

ただし、床土の表面がとても固かったりする良化途上の芝生に対しては、「表面の土をほぐす」という効果が期待できると思います。ほぐされた土は、作業後に芝生表面に撒いていく目土といい感じに混ざり合いますので、結果としては「芝生表面の床土の状態を改善する」効果が見込めると思っています。

2.2 エアレーション作業②:コアリング

続いてはコアリングです。

ローンパンチに自作の受け皿を取り付けてコアリングで取り出す土を自動回収する

コアリングは専用のローンパンチを芝生に挿して、芝生から円柱状の土の塊を取り出し、出来た穴に新しい目土を入れていくという作業になります。(写真の受け皿に収まっている塊が、芝生から取り出した円柱状の土です。)

コアリングの作業自体はとても簡単ですが、作業後に芝生の上に撒き散らかされた土の塊を、回収する必要がありますので、その分だけ手間がかかる作業になりますが、写真のようにローンパンチに土の塊を回収する受け皿を取り付けてしまえば、その作業を省略することが出来ます。(受け皿の作成は過去記事【芝生】コアリングで抜く土を自作の受け皿で自動回収-DIYで記事にしていますので、ご参考にしてみてください。)

ちなみに私が使用しているローンパンチは下記のようなものです。

芝生にコアリングを実施して開けた穴に目土を入れた状態の芝生の断面イメージ図

図が芝生にコアリングの穴をあけて、そこに目土や目砂を入れた状態のイメージ図になります。(黄土色の部分が新しい目土部分です。)

直径20mm(2cm)くらいの芝生をカットして、その部分を根っこごと取り出すという作業になりますので、芝生には多少負担がかかる作業になっています。1シーズンに何度も出来るような作業ではありません。

「根に空気を送り込む」効果については、ローンパンチで空ける穴の”間隔”がそれなりに大きくなるので、穴の近傍では大きな効果が出ると思いますが、穴から離れた箇所にはあまり効果がないと思っています。(よって、効果は局所的です。)

「水透過性(排水性)の向上」については、開けた穴に新しい目土を入れていきますので、そこから水が排出されるようになります。目土に水はけのよい土を使用すれば、一定の効果が望めるでしょう。

「土壌改良」については、直径20mm、深さ10cm未満の土を入れ替えるだけなので、床土全体の体積も踏まえて2年間の状況を冷静に考えると、”焼け石に水”的な効果しかないと感じています。(効果は極めて局所的ということです)

「発根促進」については、芝生の状態によって効果が変わると思っています。

芝生にコアリングで開けた穴に目土を入れて根が育った状態の芝生の断面イメージ図

図はコアリング後の芝生が回復して、新たな根を伸ばした時のイメージ図です。状態の良い芝生の場合は、床土を抜いた部分の根が、元気な新しく根に生まれ替わりますので、芝生を”活性化”させる効果が期待できます。(芝生の根詰まりが解消されるイメージですね。)ただし、コアリング前の状態と比較して状態が良くなるか?と聞かれると「現状維持+α」くらいの効果になると思いますので、”現状維持”を目指す感じで行う作業になると思います。

良化途上のスカスカの芝生では、頑張って成長しようとしている根の一部を切り取ってしまうことになりますので、”活性化”の効果よりも、芝生への負担の方が大きな作業になってしまう可能性があります。効果が全くないとは言いませんが、我が家の芝生に2年間適用した結果としては、デメリットの方が大きいような気がしました。

以上を表にまとめると下記のとおりです。”エアレーション”の作業として考えた場合は、排水性は向上しますが、その他は現状維持的な作業になってしまうと思いますので、状態のよい芝生の現状維持に適した作業になると思います。

期待される効果実際の効果
根に空気を送り込む△(局所的)
排水性の向上
土壌改良△(局所的)
発根促進△(現状維持)

我が家の芝生においては、土壌改良が一番の課題になっているので、他に効果的な作業があれば、そちらを優先させたい感じになりますね。

2.3 エアレーション作業③:ドリルエアレーション

続いてはドリルエアレーションです。

芝生の表面にアースドリルを装着した電動ドリルで穴を開けるドリルエアレーション作業

ドリルエアレーションは土専用のアースドリルを芝生に突き刺して、アースドリル直径分の床土を、ドリルの届く深さまで掻き出して、新たな目土に入れ替えるという作業になります。入れ替える床土の深さが大きくなったコアリングの上位互換的な作業と言えますね。

作業としては、電動ドリルに取り付けたアースドリルを芝生に直接突き刺す作業になりますので、専用のローンパンチを踏むだけのコアリングと比較すると少し大変な作業になります。しかも、掻き出した床土を、作業後に回収する手間が発生しますので、その作業も含めると結構な重労働になってしまうと思います。

ドリルエアレーションで芝生から掻き出す土の受け皿を自作して作業の効率を上げる

ただ、私の場合は、写真のような掻き出した床土を回収する受け皿を作成して、土の回収の手間を最大限省略できる形で作業しています。(受け皿の作成は、作り方含めて過去記事【芝生】ドリルエアレーションで掻き出した床土を自動回収するでまとめているので、ご参考にしてみてください。)

また、使用している電動ドリルやアースドリルは下記のものになります。合わせてご参考にしてみてください。(ドリルが振動する必要はありませんが、コンクリートに穴を開けた時に使用したハイパワーなコード式ドリルが眠っていたのでそれを使用しています。)

芝生にドリルエアレーションを実施して開けた穴に目土を入れた状態の芝生の断面イメージ図

図が芝生にドリルエアレーションをして、その穴に目土を入れたイメージ図になります。(黄土色部分が新しく入れた目土です。)

コアリング同様、芝生とその根にドリルを入れて床土を掻き出しす作業になりますので、芝生にはそれなりの負担がかかります。1シーズンに何回も出来る作業ではありませんね。

しかしながら、その最大のメリットは、掻き出せる床土の深さです。コアリングよりもより深部まで床土を入れ替えることになるので、現状維持を超える効果が期待できると思います。

「根に空気を送り込む」効果については、コアリングと同様に空ける穴の”間隔”がそれなりに大きくなるので、穴をあけた周りの根には効果があると思いますが、穴から離れた箇所にはあまり効果がないと思われます。(効果は局所的です。)

「水透過性(排水性)の向上」についてもコアリングと同様になりますが、開けた穴に新しい目土を入れていくことで、そこから水が排出される効果が期待できます。更に、コアリングより深部まで水が排出出来るようになるので、コアリングよりも多少高い効果が見込めるでしょう。

「土壌改良」についてもコアリング同様です。効果は限定的だと思います。ただ、深部まで入れ替えることが出来る分、こちらもコアリングよりは多少効果が高くなるはずです。(開ける穴が深い分だけ入れ替える目土の体積が増えますので。)

芝生にドリルエアレーションで開けた穴に目土を入れて根が育った状態の芝生の断面イメージ図

「発根促進」については、芝生表面付近の効果はコアリングと同等です。状態の良い芝生には”活性化”が期待できますが、スカスカの芝生に対する効果は微妙でしょう。

ただし、芝生深部に対しては、かなりの効果が見込めると思っています。図はドリルエアレーション後に芝生が回復した状態のイメージ図になりますが、床土を深部まで入れ替えているので、新しい根をより深部にまで到達させる効果が期待できます。根を深く張ることが出来れば、芝生が更に元気に成長してくれますので、芝生の更なる成長や良化が期待できるでしょう。

まあ、上記はあくまで私のイメージなので、その通りになっていることを確認したわけではありませんが、少なくとも開ける穴が浅いコアリングと比較すれば、より深い根が張れる作業になると信じています。

以上を表にまとめると下記のとおりです。芝生表面側の効果はコアリングと同等ですが、更に深部の根張り効果が見込める分だけ、コアリングと比較すると、より芝生の良化が期待できる作業になると思います。

期待される効果実際の効果
根に空気を送り込む△(局所的)
排水性の向上
土壌改良△(局所的)
発根促進〇(深部に効果有り)

やはり、深部まで根を張らせる効果は無視できないと思うので、我が家の芝には、今シーズンもタイミングを見計らって積極的にドリルエアレーションを実施していきたいですが、残念ながら、我が家の芝生の最大の課題である土壌効果に対する効果はあまり期待できなさそうです。よって、このドリルエアレーションは、土壌改良をその他の作業で行う前提で実施していきたいですね。

3.エアレーションの効果比較と作業方針

2項でまとめたエアレーションの効果を比較してみましょう。

効果スパイキングコアリングドリル
エアレーション
根に空気を送る
(一時的)

(局所的)

(局所的)
排水性向上
(一時的)
土壌改良×
(局所的)

(局所的)
発根促進×
(現状維持)

(深部効果有)

エアレーションの最大の目的と思われる「根に空気を送る」に対する効果は、どれも微妙な感じになりました。今後の対応としては、コアリングかドリルエアレーションで局所的に対処しつつ、定期的にスパイキングすることで全体に効果を行き渡らせたいと思います。

また、「排水性向上」については、コアリングかドリルエアレーションで対処し、「土壌改良」についてはエアレーション作業以外の方法で考えていきます。「発根促進」に関しては、折角やるなら深部まで根を張らせたいので、ドリルエアレーションで対応していくことにします。

よって、今シーズンのエアレーション作業の方針は下記になります。

  • スパイキング:エアレーションと床土表面を耕す効果に期待して定期的に実施
  • コアリング:実施しない
  • ドリルエアレーション:排水性向上と深部への根張りを目的に、芝生の状態を見ながら適宜実施
ドリルエアレーションを実施して芝生の上に撒き散らかされた土を回収するのはとても大変

結論として、今シーズンは”スパイキング”と”ドリルエアレーション”を実施し、”コアリング”は実施しないことしました。取り出す土の塊を回収する受け皿まで作成して作業性を改善したコアリングですが、我が家での効果を考えるとすべてが中途半端な気がしています。コアリングで期待される効果は、その上位互換作業と言えるドリルエアレーションで対応し、深部まで根張り出来るような芝生に変えていきたいと思います。

なお、我が家の芝生の最大の課題である土壌改良については、エアレーションとは別の方法で対応を考えていくことにします。

・今後のエアレーション方針を決めた感想

コアリング用のローンパンチに自作の受け皿を装着し取り出した土を自動回収する

今回はエアレーション作業の内容と効果を改めて整理し、今後の我が家の芝生に対する作業方針を明確にしました。「コアリングは良化途上の芝生には効果が中途半端」という結論には、賛否両論あると思いますが、何事もやり方が1つということはないはずです。それぞれの芝生にはそれぞれの芝生に最適な方法があると思いますので、今シーズンは2年間で自分が感じて決めた方針に沿って作業していきます。(しばらくはお休みなさい。コアリング用ローンパンチ。我が家の芝生の状態が良くなったら、”現状維持”用の道具として、またお世話になります。)

そして、こうしてシーズンオフに結果を見直して、次シーズンの方針を考えていくことはとても重要だだと改めて感じました。私はラオウさんとは違うので、これからも、常に「省みる」ことで、方針を決めていきたいと思います。(方針間違っていたとしても、それもまた次への学びになるので。^^)

また、今回の考察では「エアレーション作業に土壌改良効果はほとんどない」という結論に達してしまいましたので、次回の第4弾は「土壌改良」に焦点をあてて考察していきます。

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