【芝生】芝生の考察⑤サッチング-必要性と効果、適切な実施頻度は?

芝生のサッチの役割とサッチングの必要性や効果、最適な実施頻度

2020年秋より芝生の育成を始めて丸2年が経過しました。10年以上、雑草を抜く以外のケアをせずに放置してきたこともあり、床土が粘土質でまだまだ堅く、良好な芝生というにはほど遠い状態ですが、2シーズン通して芝生育成を続ける中で、作業については色々と理解を深めることができました。そこで今回は、その第5弾として「サッチング」に焦点を当てて、今シーズンの作業方針などをまとめていきます。下記リンクにて動画も公開していますので、皆様の芝生育成のご参考になれば嬉しいです。【芝生】10年放置した芝生を再生する -2023 3rd season 準備編② 芝生の育成作業を考察「サッチング」

1.芝生へのサッチングの必要性

お庭に植えられた芝生は成長した葉先を定期的に芝刈りしてカットします。葉先が切り揃えられた葉がずっとその場に存在しているように感じますが、実際には、古い葉が新しい葉に順次生まれ変わって更新を繰り返しながら存在しています。

芝生の更新が行われて古い葉が枯れると、その枯芝が”サッチ”として芝生の根元に堆積していきます。微生物に分解されて芝生の養分になるものもありますが、通常の管理ではすべてのサッチが分解されるのは難しいので、時間の経過とともにサッチが蓄積していくことになります。

そこで実施されるのが、芝生の根元に蓄積されたサッチを取り除く”サッチング”です。

根元にサッチが溜まると、新しい葉が出てくるのを阻害しますし、芝の根元が蒸れることで病害虫が発生しやすくなります。蓄積したままにしておくのは芝生の育成上、良くありませんので、蓄積具合に応じて適切にサッチングすることが、芝生を健康に管理するためにはとても重要になります。

私が芝生の育成を始めた2020年秋には、それまで十年以上サッチングなどしたことがなかったので、芝生の根元には大量のサッチが蓄積されていました。(生きた芝生と重なり合って、明らかに成長を阻害していました。)しかも、新たな目土なども入れたことがなかったので、床土の表面は乾燥してカチカチです。サッチが分解されるような環境ではありませんでしたので、生まれて初めてサッチングされた芝生は、窮屈だった根元がすっきりして爽快な気持ちになったでしょう。(今までごめん。芝生。)

2.芝生へサッチングする方法

我が家の芝生は面積がそれほど大きくないので、熊手のような”レーキ”と呼ばれるものでサッチングしています。お安く購入できるツールなので、実施のハードルは高くありませんね。

使用方法は、レーキを広げて芝生の根元からサッチを掻き出すだけです。作業はいたってシンプルです。

しかしながら、サッチングをやられたことがある方はお分かりと思いますが、サッチングは意外に大変な作業です。(一番の重労働だとおっしゃる方もいます。)よって、面積が大きな芝生を管理する場合は、芝刈り機にサッチング用の刃を取り付けて、機械の力を借りてサッチングされる方もいらっしゃいます。

そして、作業後の注意点が1点だけあります。

サッチは、溜まり過ぎると芝生にとって邪魔なものになってしまいますが、適度に堆積したサッチには芝生の根元を保湿・保温するという効果があります。

堆積したサッチを取り除くと、今まで芝生の根元を覆っていたサッチがなくなって芝生の根が露出気味になり、芝生にとっては足元に履いていた靴下やタイツをいきなり脱がされたような状態になります。そのままの状態では体調を崩しかねません。

そこで重要なのが目土入れですね。私も芝生育成を始めた初年度は、サッチング後に十分な目土を入れなかったことで芝生を枯らしてしまった経験があります。どんな生き物でも、急激な環境変化は良くありません。サッチングと目土入れは必ずセットで考えた方がよいです。

3.芝生へのサッチングの適切な頻度は?

サッチは溜まり過ぎると良くありませんが、適度に溜まったサッチには芝生の根元を保湿・保温する効果があります。また、床土の環境が良好であれば、有機物であるサッチが窒素成分として微生物に分解されて、芝生が肥料として吸収できるようになります。

その辺りの適度に堆積したサッチのメリットを踏まえると、サッチングの適切な頻度はどの程度なのでしょうか?

季節、及びサッチの溜まり具合によって適宜変わってくる部分ではありますが、微生物による分解も考慮して考えた場合の、右近次的サッチングは下記のとおりです。

3.1 春先のサッチング

春先については、冬場に枯れた芝生が、根元だけでなく芝生全体に堆積しています。微生物がすべてを分解するのは到底不可能な量です。

よって、春先については、新しい芽が生えてくるのを阻害しないよう、冬の間に芝生のお布団代わりになっていた枯芝(サッチ)を、しっかり取り除いてあげる必要があります。

本当は枯れた芝生を焼いて、新しい芝生の肥料として活用するのが一番なんだと思いますが、いくら八王子でも住宅街で芝生を焼いたら怒られます。よって、適切なサッチングを行って、しっかりサッチを取り除いておきます。

3.2 芝生の成長時期のサッチング

春先にしっかりサッチを取り除いておけば、その後に発生するサッチは、芝生が新しい葉に更新されることによって発生するサッチだけになります。それほど大量のサッチはたまらないはずです。

盛期である夏場には、芝生がモリモリ成長しますので、更新も頻繁となって、枯れていく芝生も増えるはずですが、それと同時に、サッチを分解してくれる微生物たちの活動も活発になります。微生物が十分に働いてくれれば、それほど多くのサッチはたまらないはずです。

ましてや、微生物が分解したサッチは、遅効性の良い肥料になりますので、サッチが溜まったから…と安易に取り除いてしまっては勿体ない!!

そこで、今シーズンの我が家の方針としては、芝生成長時期のサッチングは基本的には実施しません。過去記事【芝生】芝生のケアを考察② 目土-使用目的や方法、ブレンド材料 にて方針決めしたとおり、今シーズンは”発酵牛糞”を配合した目土をメインに使用していきますので、芝生の成長とともに溜まるサッチは”発酵牛糞”の微生物に分解してもらうことで、芝生の肥料として有効に活用していきます。

微生物による分解が追い付かない場合には、やむを得ずサッチングを行う可能性はありますが、目土に禁断の”米ぬか”を配合してサッチを更に分解させるという手法もあります。”米ぬか”の投入は、芝生へのダメージが少しありそうなので、出来るだけ避けたい手法ですが、サッチングの有効性とを天秤にかけて実施可否を判断していきます。(米ぬかについても過去記事【芝生】芝生のケアを考察② 目土-使用目的や方法、ブレンド材料 にて詳細をまとめていますので、ご参考にしてみてください。)

3.3 芝生休眠時期のサッチング

秋に入り、芝生の成長が鈍化したら、冬支度のサインです。

成長時期に新たな成長を阻害するサッチも、休眠期には大切なお布団代わりになりますので、芝生の成長が鈍化しだしたら、サッチングは止めた方がよいです。

夏場の成長時期にサッチを溜めすぎてしまった場合には、必要な場合もあるかもしれませんが、そうならないよう、芝生が成長する時期にしっかり対策しておき、秋口以降はサッチングをしなくて済むよう管理するのが重要だと思います。

4.我が家の芝生のサッチング方針

以上を踏まえて、今シーズンの我が家のサッチング方針を下記のとおりとします。

  • 3月頃  :冬に溜まった枯芝をサッチングする
  • 4月~8月:サッチは微生物に分解させる(サッチングは極力実施しない)
  • 9月以降 :サッチングは実施しない

よって、今シーズンの計画としては、サッチング作業は春先の1回のみの前提で育成を行っていきます。

もちろん、病虫害などで部分的な芝枯れが発生して、その場所に局所的なサッチングを行うことがあるかもしれませんが、出来るだけサッチングをしなくて済むよう管理していきたいと思います。

また、春先にサッチングで取り出すサッチは、米ぬかを使用した”ぼかし肥料”にして芝生に有効活用する予定です。(芝生の生物リサイクルです。)その辺りも別途記事にまとめてご紹介したいと思います。

次回の考察は、最終の第6弾「根切り」です。

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