【芝生】芝生のケアを考察② 目土-使用目的や方法、ブレンド材料

芝生用目土の使用目的や使用方法、おすすめブレンド材料と今後の方針

2020年秋より芝生の育成を始めて丸2年が経過しました。10年以上、雑草を抜く以外のケアをせずに放置してきたこともあり、床土が粘土質でまだまだ堅く、良好な芝生というにはほど遠い状態ですが、2シーズン通して芝生育成を続ける中で、作業については色々と理解を深めることができました。そこで今回は、その第2弾として「目土」に焦点を当てて、その目的や使用方法などを改めて整理するとともに、今期の投入状況と結果を振り返って今シーズンのブレンド方針などをまとめていきます。皆様の芝生育成のご参考になれば嬉しいです。

1.芝生に使用する土-床土と目土

芝生の表面に均一にたっぷりと撒かれた目土

芝生を育成する(芝生が根を張っている)土壌を床土(とこつち)と言いますが、既に張られている芝生に撒く土を目土(めつち)と言います。

なので、既に張られている芝生を剥がして土を大量に入れ替える場合は「床土を入れ替える」と表現し、芝生の上から土を撒いて芝生の隙間に敷き詰めていく場合は「目土を入れる」と表現します。(写真は芝生の上に大量に撒かれた目土です。)

では、後述するエアレーション作業などで芝生にあけた穴に土を入れる場合は、目土を入れているのでしょうか?それとも床土を足しているのでしょうか?一般的には「目土を入れる」で良いと思いますが、その辺りの境界線が私にはよくわからないくらい床土と目土の区別は曖昧です。いずれにしても、どちらの土も芝生の育成には欠かせない重要な土です。

2.目土の使用目的と使用方法

芝生が根を張る床土の目的は「余分な水分を排出して、芝生にしっかりとした根を張らせること」なので、「排水性」「適度な養分」「根張りのしやすさ」(柔らかさ)などが求められます。

一方、芝生育成の中で芝生に後から入れられる目土には、いろいろな使用目的があります。私の思いつく範囲での目土の使用目的は下記などです。目土を入れることにはいろいろな効果がありますね。

  1. むき出しになった芝の根元や根の保護
  2. 不陸修正(芝生表面の凸凹修正)
  3. 古くなった床土の更新
  4. 根元に入れて芝生を起こす(密度を上げる)
  5. サッチの分解を促進する
  6. 芝生面の高さを上げる

”目土を芝生表面に撒く”場合の投入方法は「スプレッダー」や「ふるい」などを使用して、撒く量が均一になるようにして撒き、それをトンボやブラシなどで均一にならしていく方法を取られる場合が多いと思います。

トロ船でブレンドした目土を手で芝生をかき分けながら芝生の間に入れて、芝生を起き上がらせて密度を上げる

我が家の面積の小さな芝生の場合は、トロ船に準備した目土を、写真のように”手”で少しずつ丁寧に入れていくことが多いです。

かなりの手間と時間がかかる目土の入れ方にはなりますが、芝生と芝生の間に目土がしっかりと深く入ってくれるので、手間をかけるだけの効果は出ていると思っています。また、感度抜群の”手のひらセンサー”で、芝生の凸凹もしっかり検出できるので、不陸も効果的に修正出来ます。

また、エアレーション作業で”芝生にあけた穴などに目土を入れる”場合には、入れる穴の大きさにもよりますが、目土を入れたペットボトルを逆さにするなどして目土を投入することもあります。

3.目土へブレンドする材料-振り返りと今度の方針

市販されている芝生の目土には多少の肥料成分も配合されているので、そのまま芝生に撒くことができる

通常の目的で使用する目土に関しては、ホームセンターで目土として販売されているものを購入して、そのまま使用すれば問題ないと思います。(肥料分が必要な場合ば、適宜、足しておけば良いでしょう。)

悩ましいのは、目土の目的が「床土の土壌改良」や「サッチの分解」などにある場合です。通常の目土をただ入れるだけでは土壌改良にはならない気がしますし、サッチの分解についても同様に、通常の目土だけではそれほど分解が促進されないと思っています。

我が家の床土は酷い粘土質になっているので、これまでの2シーズンに渡る芝生育成では、いろいろなものを目土に配合して土壌改良にトライしてきました。その配合してきたものを今一度整理して、今後の方針を改めて考えてみます。

3.1 発酵牛糞

まずは、私が普段使いの目土にメインで配合しているのが”発酵牛糞”です。過去の記事でも何度も取り上げているおすすめのブレンド材料ですね。(詳細は過去記事【芝生】目土の効果-目砂との違い/おすすめの配合材は発酵牛糞!などをご参照ください。)

私が発酵牛糞を使用するようになったのは、以前に芝生を部分的に枯らしてしまった時に、そのリカバリーのために土のリサイクル材というものを使用したことがきっかけです。結果として、かなりのリカバリー効果が確認できたので、効果としては大変気に入ったのですが…如何せん、この土のリサイクル材が高過ぎ晋作でした。。。普段使い出来るようなコスパではありません。

芝生の目土に発酵牛糞をブレンドすると微生物による有機分の分解や土壌改良などのいろいろな効果が期待できる

何かで代用できないか?とその内容物をよく観察してみたところ、なんと!見た目が発酵牛糞そっくりではないですか!もちろん、それに加えて特殊なものが配合されているはずですが、主成分はほとんど同じなんじゃないかと思っています。よって、それ以降は発酵牛糞を目土に大量に混ぜて使用するようになりました。1袋が40Lと大容量で、単位体積当たりの価格が目土よりも安いので、目土のかさ増し材としても優秀です。

牛糞堆肥の商品の中には「乾燥牛ふん」などもありますが、乾燥牛ふんは発酵処理していない牛糞堆肥になりますので、そのまま使用すると微生物が有機物を分解する過程で土の中の窒素を奪います。結果、土の中で窒素不足が発生する可能性がありますので注意が必要です。

また、商品にもよりますが、発酵処理がしっかりできていれば、既に牛糞ではなくなっているので、イヤな(う○この)臭いも皆無です。お庭の芝生に撒く場合には重要なポイントになるはずなので、使用する牛糞堆肥は十分に発酵しているものを選んだ方が良いですね。

発酵牛糞の中にはたくさんの有効微生物が存在していますので、土の中に存在していた有機物を分解して植物が吸収しやすいよう変えてくれると同時に、土を“ふっかふか”にしてくれる効果があります。更に、酸性に傾きがちな古い土に混ぜれば、多くの植物が好む弱酸性に戻してくれる効果もあるようです。

発酵牛糞には木片などが含まれているので目土にブレンドする場合はふるいで木片などを取り除くと良い

ただし、発酵牛糞には木片などが混ぜられているものが多いので、目土としてそのまま芝生に撒くのには適していません。私が目土として使用する際には、写真のように、使用する発酵牛糞をふるいにかけ、大きな木片などを取り除くと同時に、固まって大玉になっている部分を細かく砕いて使用しています。

市販と目土とブレンドすることで出来る”発酵牛糞目土”は、ややしっとりとしつつもサラサラな触感で、目土としても非常に扱いやすい感じになります。

こうして改めて確認しても、上記の効果のある発酵牛糞を目土として使わない手はないと思いますので、これからも目土にブレンドするメイン材料として使用していきたいと思います。

3.2 米ぬか

目土に米ぬかをブレンドするとサッチの分解などの効果が期待できるが、土壌の窒素不足や発熱などのリスクがある

これまでの芝生育成の中で、私の中で迷いがあったのは米ぬかの使用方法です。昨シーズンはサッチを分解する目的で目土に直接混ぜて使用していましたが…そんな使い方をしてしまってよかったのでしょうか?

米ぬかには、微生物の爆殖を促して、その微生物に有機物を分解させる効果があります。それを目土に混ぜることで、芝生の根元に存在していたサッチを分解する効果は間違いなくありました。しかしながら、使用後の芝生の葉色はあまり良くなかった気もしています。。。(下写真が米ぬかブレンド目土をたっぷり撒いた後の芝生の様子です。)

芝生に米ぬかをブレンドした目土を撒くとサッチの分解は促進されるが芝生の育成が多少阻害されたように見える

微生物が爆殖する過程で有機物を大量に消費すると、土の中が窒素不足になる可能性があります。(発酵していない牛糞堆肥を使用する場合と同じ現象ですね。)その内容は事前に認識していたので、目土に米ぬかを配合するには、窒素不足を防止するための肥料成分を混ぜて使用していました。基本的には”窒素不足”についてのみを考えた場合には、ある程度の対策は出来ていたんじゃないかと思っています。

しかしながら、改めていろいろと調べてみると、私が見落としていたと思われる現象があります。それが、微生物が増殖する際に発生する「熱」です。条件によっては、土の中が40℃くらいになることもあるようなので、その「熱」によって芝生がダメージを受けた可能性は否定できません。

その辺を踏まえて今シーズンの米ぬか使用方針を考えていきましょう。

まずは、芝生の根元に溜まるサッチの分解については、発酵牛糞内の微生物たちに任せたいと思います。よって、今後使用する目土に米ぬかは混ぜません。

芝生の根元に溜まるサッチはレーキでサッチングして掻き出して処理する

今後の米ぬかの使用方法としては、サッチングで取り除いたサッチに米ぬかを加えて、発酵・分解させることで「ぼかし肥料」を作成するという形に変えていきます。そして、その”ぼかし肥料”を遅効性の有機肥料として芝生に使用し、芝生の育成に活かしていきます。(芝生で作った肥料を芝生に転嫁して循環させるというエコな試みです。)

取り急ぎは、シーズンインとなる3月ごろに、休眠していた芝生を起こすべく、サッチングを行うと思うので、そのサッチと米ぬかで”ぼかし肥料”を作成してその効果を確かめます。シーズン最初のサッチングで取り出すサッチはかなりの量になるはずなので、米ぬかの分解効果が如何なく発揮されて、大量の「ぼかし肥料」が作成できることでしょう。

3.3 有機肥料

目土にブレンドする肥料については、即効性があるが肥料焼けが起こる可能性がある”化成肥料”から、成分が分解されてから肥料となることで即効性はないが肥料焼けのリスクが少ない有機肥料に切り替えました。

昨シーズンに使用した有機肥料は、「有機配合肥料」というものや「油かす」です。

芝生の目土にブレンドする肥料は肥料焼けのリスクが低く長い間効果が期待できる有機肥料を使用するとよい

有機配合肥料は、商品説明をよく読んでみると「有機肥料が多少入っているよー」と書かれている商品で、結局はその成分に化成肥料が含まれていました。鶏糞も配合されていて匂いもきつかったので、以後は使用しておりません。

「油かす」については近隣のホームセンターで「有機肥料」と名が付く商品が見当たらなかったため購入しましたが、狙っていた遅効性の肥料としては、十分機能したのではないかと思っています。今シーズンは、サッチで作る「ぼかし肥料」の状況を見ながら、引き続き活用していきます。

また、ジョイフル本田などの大きなホームセンターに行けば「芝生用の有機肥料」というものが購入できると思うので、今シーズンはその辺も併せて試してみたいと思っています。

4.今シーズンの目土ブレンド方針-まとめ

3項で振り返った内容を踏まえた、今シーズンの目土ブレンド方針などは下記です。

  • 目土にブレンドするのは、発酵牛糞と有機肥料。
  • 目土に米ぬかはブレンドしない。
  • 米ぬかはサッチでぼかし肥料を作るのに活用する。
トロ船を使用して市販の目土に必要な材料をブレンドして目土入れを行う

今シーズン、目土にブレンドしていくのは、発酵牛糞と肥料(有機or化成)のみとします。(サッチ分解用としてブレンドしていた米ぬかは使用しません。)

米ぬかはサッチングで集めたサッチで「ぼかし肥料」を作るために活用していきます。

芝生の根元に日々溜まっていくサッチの分解は発酵牛糞の分解能力に任せます。その上で分解が追い付かない分をサッチングで取り除く感じにしたいと思います。(基本的には、シーズン始め以外のサッチングを極力しなくて済む形を目指していきます。頑張れ!牛糞!)

昨シーズンはいろいろと手を出し過ぎて迷走していた目土ブレンド材料ですが、効果や弊害などを改めて整理することで、今シーズンの使用方針を明確にすることが出来ました。これで今シーズンは迷いを生じることなく芝生育成できますね!

5.芝生に使用する目砂について

最後に、ゴルフ場含めた多くの芝生上級者さんが目土の代わりに使用している”目砂”について少し触れておきます。

今回は土壌改良が必要な我が家の芝生育成に必要となる”目土”に焦点を当てて記事を作成したため、”目砂”については全く触れませんでしたが、過去に目砂を芝生の表面に撒いてみた経験を踏まえての、右近次的結論としては「目砂は状態のよい密度の高い芝生に使うもの」になります。(私見です)

良化途上のスカスカな芝生に目砂を入れると剥げた部分に目砂が固まり芝生に良くないように見える

我が家の芝生のような、スカスカな部分があって土壌改良が必要な”良化途上の芝生”に撒いても、芝生が窮屈そうな姿を見せるだけで、使用するメリットが見出せませんでした。

写真はスカスカの芝生の間(芝生の剥げた部分)で固まってしまった目砂の様子です。床土の排水性向上には効果があるのかもしれませんが、肥料成分が皆無で微生物もいないはずなので、土壌改良という面ではほとんど寄与してくれません。(その辺の詳細は過去記事【芝生】目土の効果-目砂との違い/おすすめの配合材は発酵牛糞!などで触れていますので、よろしければご参照してみてください。)

以上のような理由から、目砂は密集して綺麗に生えそろっている芝生では、芝生の間に効果的に入ってくれて良い結果(排水性など)をもたらしてくれますが、良化途上のスカスカな芝生では、芝生に撒く効果は薄いというのが右近次的結論になります。ただし、床土の排水性改善を目的として、芝生に穴をあけて入れていく目砂であれば、一定の効果が期待できると思いますので、何事も一概に「〇〇がいい」というのではなくて、何を目的にしたいのか?を考えて適切なものを投入する必要があるということですね。

(次回の芝生育成に関する考察第3弾は「エアレーション作業」です。)

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