【DIY】パナソニック製配線器具-フルカラーとワイド21の違い

Panasonic製配線器具フルカラーとコスモシリーズワイド21

電気工事ではPanasonic(パナソニック)製の配線器具を使用することが多いですが、Panasonic製の配線器具には、フルカラーとコスモシリーズ(ワイド21)という異なるシリーズがラインナップされています。今回はそのシリーズ間の仕様差と互換性を検証するとともに、過去に間違って施工していた箇所を正しい組み合わせに是正する電気工事を施工しました。下記リンクにて動画も公開していますので、電気工事を素人DIYされている皆様のご参考になれば嬉しいです。【DIY】#24 Panasonic製配線器具のシリーズ違いを是正する-「フルカラー」と「コスモシリーズワイド21」の互換性を確認!

1.電気工事に使用するPanasonic製 配線器具

電気工事で使用する配線器具にはPanasonic製のものを使用することが多い

電気工事に使用する配線器具には、パナソニック製のものを使用することが多いです。私がDIYで施工してきた電気工事でも、基本的にはPanasonic製のものを使用することがほとんどでした。(ホームセンターにおいてある配線器具のほとんどがPanasonic製ではないでしょうか?)

第二種電気工事士の試験を受験した際に、下記のような技能試験練習用の材料セットを購入しましたが、その中の部品もほぼすべてがPanasonic製でした。(残った部材を少しずつDIYに使用していますが、永遠に使用しないであろう部材も含まれていて、使い切ることができていません。)

私の自宅の配線機器も、ほぼすべてがPanasonic製です。ユニットバスや台所用換気扇などもPanasonic製なので、建設業者さんがPanasonicと提携していたのだと思われます。

我が家の電気設備でPanasonic以外のものはトイレ用換気扇のみだったが、騒音が大きくPanasonic製に交換した

他メーカーのものが使用されていたのはトイレの換気扇くらいでしたが、MAXという聞き慣れないメーカーのものが使用されていて、経年劣化で騒音があまりにも酷くなってしまったので、DIYでPanasonic製に交換済みです。(換気扇交換の記事は【DIY】異音がうるさいトイレの換気扇を交換する -パイプファンで紹介しています。)

一般家庭においても使用頻度が非常に高いと思われるPanasonic製の配線器具ですが、その中には複数のシリーズが存在していて、しかも、それぞれに互換性がないことを、最近になって初めて知りました。過去の私のDIY施工の中でも、その辺を意識しないで施工しているものが多数あります。(組み合わせが異なっていて干渉する箇所がある場合は、現品加工するなどして無理繰り対応していました。)

そこで今回は、Panasonic製配線機器のシリーズごとの仕様とその互換性を改めて確認するとともに、過去の施工でシリーズが統一できていなかった箇所の修正工事を行っていきます。

2.Panasonic製 配線器具のシリーズ

Panasonic製の配線器具には大きく2種類あります。「フルカラー」と「コスモシリーズ ワイド21」です。(その他にも「アドバンス」シリーズなどもあるようですが、特殊なグレードのようなので今回の記事では比較対象から除外します。)

コンセントやスイッチの構成部品はPanasonic製のフルカラーかコスモシリーズワイド21を使用することが多い

また、シリーズを区別する必要があるのは壁の外側のパーツです。具体的には、”連用取付枠”、コンセントやスイッチなどの”配線器具”、”ベース(樹脂フレーム)”、”フェイスプレート(化粧プレート)”などです。

壁内に埋め込む”コンセントボックス(スイッチボックス)”などについては、どのメーカーのどの製品を使用しても互換性があるようなので、シリーズを気にする必要はありません。

「フルカラー」と「コスモシリーズ ワイド21」の部品について、それぞれ特徴や見分け方などを以下で整理していきましょう。

2.1 Panasonic フルカラー用部品

こちらは昔からあるシリーズのようです。PanasonicのHPによると、1971年から親しまれているシリーズのようなので、私よりも年上ですね。^^

Panasonicの電気工事用のフルカラーの部品にはシリーズ名と型番が刻印されている

”連用取付枠”や”ベース(樹脂フレーム)””フェイスプレート(化粧プレート)”には、写真のように「フルカラー」というわかりやすい刻印が打たれているのですぐに見分けが付きます。(写真の部品は、刻印が見やすくなるよう刻印に少し色を付けています。)

また、すべての部品に「WN」から始まる型番が、刻印、もしくは印刷されているので、その型番を確認することでも、どのシリーズ品であるか?を明確に見分けることが出来ます。

電気工事士の技能試験用の部材にはPoanasonicのフルカラーが使用されることが多い

なお、”配線器具”には刻印がありませんので、型番の表示(部品上に白文字で印刷)を見て確認するしかないようです。

前述の第二種電気工事士の試験を受験する際に購入した技能試験用の練習用部材の余り(写真)を改めて確認してみると、使用していたPanasonic製の器具はすべて「フルカラー」シリーズの部材でした。実際の技能試験で使用されているのも「フルカラー」シリーズのものがほとんどなのかもしれませんね。

2.2 Panasonic コスモシリーズ ワイド21用部品

こちらは「フルカラー」と比較すると新しいシリーズのようです。現在、市場で多く使用されているのは、こちらの「コスモシリーズ ワイド21」で、実際、我が家の配線器具には、すべてこちらのシリーズ品が使用されていました。

Panasonicの電気工事用のコスモシリーズワイド21の部品にはシリーズ名と型番が刻印されている

見分け方は「フルカラー」と同様です。”配線器具”以外の部品には「コスモシリーズ ワイド21」の刻印がありますので、それを確認することで見分けることが出来ます。

型番は「WTF」から始まる英数字になっており、”配線器具”に関しては、その型番の印刷を確認することで、見分けることが出来ます。

なお、私がホームセンターで購入した部品は、すべて「コスモシリーズ ワイド21」でした。(店頭で「フルカラー」シリーズはほとんど販売されていない気がします。)なので、電気工事士試験練習用の部材の余りを、ホームセンターで購入した部材と組み合わせて使用していたために、シリーズの不一致が発生していました。

3.Panasonic フルカラーとワイド21の仕様差と互換性

続いて、「フルカラー」と「コスモシリーズ ワイド21」の仕様差、及びその互換性についてまとめていきます。

3.1 ”配線機器”と”連用取付枠”の仕様差と互換性

今までの施工では、主に電気工事士試験練習用の部材、つまり「フルカラー」の”配線機器”及び”連用取付枠”を使用してきたため、「コスモシリーズ ワイド21」の部材に触れる機会があまりありませんでしたが、残念なことに”配線機器”と”連用取付枠”の組み合わせについては、シリーズで取り付け部の寸法が異なり、シリーズが違う部材同士の取り付けができない仕様のようです。

よって、組み合わせによる互換性は下記となります。(こういうのはとても残念ですね。。。)

3.2 ”連用取付枠”と”ベース(樹脂フレーム)”の仕様差と互換性

”連用取付枠”と”ベース(樹脂フレーム)”の組み合わせについてはちょっと微妙です。

まずは、”連用取付枠”(単品)と”ベース(樹脂フレーム)”の組み合わせによる互換性は下記です。

「コスモシリーズ ワイド21」の”連用取付枠”に、「フルカラー」の”ベース(樹脂フレーム)”は装着可能です。ただし、それぞれ部品の高さ方向の寸法設定が異なるので、連用取付枠に装着された”配線器具”が、設計より少し出っ張る状態になります。個人的には「そんなもんじゃね?」と思える程度の出っ張りなので、組み合わせ表の表記としては”○”としました。

「フルカラー」の”連用取付枠”に、「コスモシリーズ ワイド21」の”ベース(樹脂フレーム)”は(そのままの状態では)装着できません。(よって、表の表記は×です。)

Panasonicのフルカラーの連用取付枠とコスモシリーズワイド21のベースフレームを組み合わせでは干渉する部分があり組み込みできない

「フルカラー」の”連用取付枠”は、取り付けた”配線器具”をロックするための右側の部分が大きく、「コスモシリーズ ワイド21」の”ベース(樹脂フレーム)”を組み付けると、写真で示した部分が”ベース(樹脂フレーム)”と干渉してしまいます。

干渉する箇所をカッターなどで切り落とせば組めるようになりますが、部品の高さ方向の寸法が異なるので、この組み合わせで組み込んだ場合には、”配線器具”が”フェイスプレート(化粧プレート)”に対して壁側に凹んだ状態になります。(下記に凹んだ状態の写真を掲載していますので参考にしてみてください。)

また、”フェイスプレート(化粧プレート)”の表面を押したときに、表面がたわんで凹みやすくなってしまうという問題も発生するので、流石の私でもちょっと許容できないレベルになります。

続いて、”連用取付枠”(配線器具一体型)と、”ベース(樹脂フレーム)”の組み合わせによる互換性は下記です。

「コスモシリーズ ワイド21」の”連用取付枠”と「フルカラー」の”ベース(樹脂フレーム)”の組み合わせは、”連用取付枠”(単品)の組み合わせと同様、”配線器具”が少し出っ張る状態にはなりますが、取り付け可能です。(よって、表の表記は○としました。)

「フルカラー」の”連用取付枠”(配線器具一体型)と「コスモシリーズ ワイド21」の”ベース(樹脂フレーム)”の組み合わせでは、連用取付枠に干渉する部分がないので、現品加工しなくても組み込むことが可能です。ただし、前述のとおり高さ方向の設定が異なるので、配線器具が凹んだ状態になり、かつ、フェイスプレートの表面を押すと表面がたわんで凹む状態になります。

Panasonicのフルカラーとコスモシリーズワイド21を異なる組み合わせで組んで互換性を確認する

シリーズが異なる組み合わせで組んだ状態が写真の状態です。

左側の組み合わせでは、配線器具が凹んだ状態になり、右側の組み合わせでは配線器具が設計より出っ張った状態になっているのがわかると思います。

この辺は私の私見になりますが、凹んだ状態はさすがにちょっと違和感があります。しかしながら、出っ張った状態は許容できるレベルではないかと思っています。(本来の設定が少し出っ張る設定なので、それとの差がわからないです。)

3.3 ”ベース(樹脂フレーム)”と”フェイスプレート(化粧プレート)”の仕様差と互換性

”ベース(樹脂フレーム)”と”フェイスプレート(化粧プレート)”については、基本的にセットで販売されていますので、組み合わせの不一致が発生することはないと思いますが、外形状と嵌合ツメの位置が違うので、違うシリーズ品を組み付けることはできません。(3.2の写真でも、4隅の角Rが微妙に違うのがわかると思います。)

4.Panasonic フルカラーとワイド21の組み合わせを是正

Panasonic製のフルカラーの配線器具にコスモシリーズワイド21のカバーを組み付けると配線器具が凹んだ外観になる

写真は過去記事【DIY】壁裏にコンセントを増設する -BOSCH製マルチツールにて、DIYで追加した電源コンセントです。

使用した部材の組み合わせが下記になっていたため、コンセント部分がフェイスプレートより凹んでいます。

  • 連用取付枠(配線器具一体型):「フルカラー」
  • ベース(樹脂フレーム):「コスモシリーズ ワイド21」

また、目の前にウォーターサーバーを設置したのですが、そのアースを接続する端子がないため、壁裏側のコンセントにアース線を引き回している状態です。

そこで今回は、使用する部材を下記に変更して、シリーズの組み合わせを是正するとともに、アース線が接続できるコンセントに替えていきます。

  • 現状 :「フルカラー」電源コンセント(アース端子なし)
  • 変更後:「コスモシリーズ ワイド21」アース端子付き電源コンセント

4.1 既設コンセントの送り穴からアースを分岐する

ウォーターサーバーの直近のコンセントにアース端子がなかったため、壁裏のアース端子に接続した

まずは、壁裏側の既設コンセントからアース線を分岐させます。

既設の電源コンセントを分解して、アース端子の”送り穴”に分岐させるアース線を接続していきます。(壁面コンセントの分解方法は壁面コンセントの分解方法を参照してください。)

なお、”送り穴”とは、電源を分岐させる際にも使用する端子で、延長コードをつなぐように、電源、及びアースを分岐させることが出来る端子です。

アース端子付きの電源コンセントのアース線が接続されていない端子が送り穴になる

写真のように、アース端子の裏面には左右2個の端子があります。その片側に分電盤から配線されたアース線が接続されておりますので、アース線が挿さっていない側がアースを分岐させるための”送り穴”になります。

アース線を被覆剥き量の表示溝に従って加工し、送り穴に接続してアース線を分岐させます。

なお、壁面設置する配線器具は、芯線がΦ1.6mm、もしくはΦ2.0mmのIVケーブルに対応しています。より線のアース線には対応しておりませんので、アース線を分岐させる場合には、IVケーブルのアース線を準備してください。(より線のアース線は、ウォーターサーバーからアース端子までの配線など、主に電気機器からアース端子、もしくは地面への接続に使用されます。)

4.2 分岐させたアース線を壁内配線する

続いて、既設コンセントから分岐させたアース線を壁内配線します。

壁内の間柱のないエリアは、なにもない”フリー”の空間になっていますので、同じ空間内のコンセントどうしであればケーブルの引き回しは簡単です。逆に、間柱をまたぐ配線をする場合は、間柱に穴を開けるなどの追加工事が必要になりますので、まずは追加工事が必要にならない同一空間内での分岐を考えた方がいいです。

壁内に配線したケーブルはコンセントボックスを外して壁内に手を突っ込んで引き出す

アース線を新たに接続する(シリーズの組み合わせを是正する)電源コンセントを分解して、壁内のコンセントボックスを取り出します。コンセントボックスは、すぐ横の間柱にネジ止めされておりますので、そのネジを外せば取り出すことが出来ます。

コンセントボックスを取り出すと、壁内に手を突っ込めるようになりますので、壁内に引き回したアース線を手繰り寄せて穴から引出します。

そして、コンセントボックスの穴にケーブルを通して、コンセントボックスを再度壁内に収納すれば、ケーブルの配線は完了です。

4.3 アース端子付き電源コンセントにアース線を接続して壁に組付ける

電源コンセントの裏面側の端子に電源ケーブルとアース線を接続する

壁からアース線などのすべてのケーブルを引き出して、コンセントボックスを壁内に再固定出来たら、各ケーブルを新たに設置する電源コンセントに接続していきます。

まずは、アース線の先端を被覆剥き量の表示溝に従って加工して接続します。そして、元々の電源コンセントに接続されていた電源ケーブルを再接続させればすべてのケーブル接続は完了です。

最後に、分解した連用取付枠やベースなどを元通り壁に組み付ければ施工完了になります。

Panasonicのフルカラーとコスモシリーズワイド21の組み合わせを正しく使用すると、配線器具がカバーより少し出っ張る

写真が交換して取り付けた「コスモシリーズ ワイド21」のアース端子付き電源コンセントです。交換前の「フルカラー」の電源コンセントはフェイスプレート(化粧プレート)よりも凹んでいましたが、部品のシリーズを統一したことにより、コンセント側が少し出っ張る、本来の状態に改善できました。

また、施工前のフェイスプレート(化粧プレート)は、表面を押すとぺこぺこと凹んでしまう状態でしたが、配線器具との高さを合わせたことにより、大きくは凹まなくなりました。

しかしながら、組み合わせを正しく是正しても、フェイスプレートを押すと表面が多少凹みます。フェイスプレートの外観をキープする(ヒケなどの樹脂成型上の問題を防止する)ために、裏面側の空間を埋める形状がつけられなかったのかもしれませんが、材料を厚くしてたわみにくくするなど、凹みにくくする対策は他にもいろいろ考えられる気がします。その辺は仕様的にちょっと不満ですね。

・Panasonic製配線器具のシリーズ不一致を是正した感想

今回は、電気工事士の資格を取ってすぐに施工した箇所の、配線器具シリーズの不一致を是正する工事を行いました。メーカとして仕様を改善していくことは必要なのでしょうが…互換性を考慮して仕様を変えるのが当たり前だと思います。Panasoniocさんの製品には、いつもお世話になっていますが、この辺の方針にはかなり不満がありますね。(もし、互換性がない仕様変更を実施するのであれば、古いものはサービス供給だけにするなど、ユーザーが困らないような切り替え方を考えるべきです。)

っていうか、このような類のものは、各メーカー品のどれを組み合わせて使用しても、問題なく使用できるよう規格を統一するべきです。今からの統一は難しいのかもしれませんが、そのようなユーザーファーストの開発を是非行っていただきたいものだと強く感じます。

電源コンセントにプラグをそのまま挿すとプラグが出っ張るため、アタッチメントを取り付けてプラグを横向き挿す

また、家電類の電源コンセントを壁に挿した時に、コンセントが壁から出っ張って、スペース的な問題が発生することが多々あります。最近は写真のようなジョイントを購入して対応するようにしていますが、そのようなジョイントを追加購入しなくても、出っ張りがMIN化できるような対策を、メーカーさんに考えてもらいたいと強く願っています。(本筋からは話がそれますが、結構切実ですよね。)

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