【芝生】芝生の考察⑥根切り-我が家の芝生育成に根切りは必要か?

芝生の根切り作業の方法や道具、効果や必要性、注意点などを考察

2020年秋より芝生の育成を始めて丸2年が経過しました。10年以上、雑草を抜く以外のケアをせずに放置してきたこともあり、床土が粘土質でまだまだ堅く、良好な芝生というにはほど遠い状態ですが、2シーズン通して芝生育成を続ける中で、作業については色々と理解を深めることができました。そこで今回は、その第6弾として「根切り」に焦点を当ててその必要性を考察し、今シーズンの作業方針などをまとめていきます。皆様の芝生育成のご参考になれば嬉しいです。

1.芝生の根切りとは?

まずは、一般的に言われている根切りについてまとめてみます。

根が張り過ぎて鉢内で根詰まりを起こした鉢植えの樹木

鉢植えで育てている植物は、同じ鉢でそのまま育て続けると、写真のように鉢が根でいっぱいになります。結果、”根詰まり”を起こしてそれ以上新しい根が張れなくなります。そこで、伸びすぎた根を少しカットして、より大きい鉢に植え替え、更なる根張りを促して健康な状態を保持するという処置を施します。

一方、芝生については、地面に植えたらその場所でずっと育てられますので、地面一杯に育った芝生は、地面(床土)の中に多くの根を張り、次第に根が密集して新しい根が張れなくなっていきます。

その密集した根をカットして、新しい根の発根を促してあげるのが「根切り」の作業です。

2.芝生の根切りに必要な道具-ターフカッター

芝生の根切り作業に使用するのは、ターフカッターと呼ばれる道具です。

私が所有しているのは「芝カッター」という下記の商品になります。

先端の刃を芝生に突き挿すことで、芝生の根を切っていく道具です。上記商品は、刃がしっかりしていて硬い床土にも負けない強度があるので、おススメですね。

ちなみに、先端がより鋭利になっている下記のような商品も購入したのですが、着荷した商品が想像の半分くらいのサイズ感でした。切れ味は鋭いですが、芝生全体を根切りするのには向いていませんでしたので、芝生の一部をカットして剥がす際などに使用しています。

(芝切り一番を使用した根切りについては、過去記事【芝生】ターフカッターで芝生を根切りする-その効果や実施時期は?にてまとめていますので、ご参考にしてみてください。)

3.芝生の根切りの方法-注意点は?

ターフカッターのステップを踏み込んで芝生を根切りする

芝生の根切り作業は極めて簡単です。

写真のように、先端に刃のついたターフカッター(芝カッター)のステップ部分を踏み込んで、芝生にその刃を突き挿すだけです。

健康な芝生であれば、体重をかければ「ザクッ!」っと芝生に挿さってくれますので、力を入れる必要もありません。「ザクッ!」と芝生に挿さった刃が、芝生の根をしっかり切断してくれます。

注意が必要なのは、床土が硬い芝生で根切りを行う場合でしょう。

ターフカッターで根切りする際にはカッターを抜く際の芝生のめくれに注意する

まず、床土が硬い場合は、刃が芝生に挿さり難いです。芝生に挿す際により強い踏み込みが必要となります。

また、床土が硬いと引く抜く際にも更なる力が必要になります。力任せに引き抜くと、芝生が剥がれたり、芝生がめくれて上がったりしてしまうので注意が必要です。

実際に、芝生の床土が粘土質で硬い我が家の芝生に作業を実施したところ、芝カッターを抜く際に、写真のように芝生がめくれてしまいました。

芝生に2枚の板を敷き、その間をターフカッターで根切りすれば、カッターを抜く際に芝生がめくれない

そこで、写真のように2枚の板を芝生に敷いて、その間に刃を入れることで芝生がめくれないよう対策しましたが、それでも芝カッターを引き抜く際には、かなりの力が必要になります。作業性はあまり良いとは言えませんでしたね。(その辺の作業状況は、過去記事【芝生】ターフカッターを抜く時に芝生が浮かない方法とは?にてまとめていますので、ご参考にしてみてください。)

また、基本的に芝生の根をカットして、芝生にダメージを与える作業になりますので、休眠期の寒い時期や、芝生が暑さで弱っている真夏の時期を避ける必要があります。一般的に根切りの作業を行う時期の目安は15℃以上~25℃以下と言われているので、春先や秋口に実施すべき作業ということになりますね。

4.芝生の根切りの効果・必要性を考える

ここからが今回の記事の本題になります。

芝生を健康にするために必要だと言われる根切りですが、どのような原理で芝生を健康にしてくれるのでしょうか?

芝生の根切りでターフカッターで空けたスリット状の穴には目土が入らずに埋まってしまう

図は根切り作業を実施した芝生のイメージ断面図です。根切りすることで、床土にわずかな幅のスリット状の穴が開き、芝生の根が分断されています。

根切りは芝生の新たな発根を促すとされていますが…カットされた根は一体どこに向けて新しい根を張っていくのでしょうか?元々根が密集している場所であれば、根を切ったとて、更なる根が張れる新たなスペースがない気がします。

カットした部分の根が少し枯れてそこに新たな根が生まれる、すなわち「根の更新」が行われるという効果はあるでしょう。しかしながら、その「根の更新」を行う必要性がどれだけあるのでしょうか?私見では、根切りは芝生にダメージを与えてしまうだけの作業に感じてしまいました。

根切りをした箇所の芝生はダメージを受けて枯れてしまう

実際に、2022年の春先に我が家の芝生に根切りを実施した後の状態が写真の状態です。刃を入れた部分の芝生が見事に枯れてしまっています。(芝生がめくれた影響もあるかもしれませんが、刃を入れた部分がすべて枯れました。)

枯れた部分の芝生が回復するには、1か月ほどの時間を要しました。休眠から目覚めて「さあ!今年も頑張って育つぞ!」と思っている春先に根を切られて…芝生にとっては成長を遅らせる要因(デメリット)にしかなっていないように感じました。

芝生の根張りが深くなると芝生がより健康になる

芝生の断面イメージ図を改めて見れば感じていただけると思いますが、芝生に根を張らせるべきなのは、既に芝生が根を張っている(根が密集している)浅い部分ではありません。新たに根を張らせるべきは、その深部の根が張っていない部分でしょう。

芝生は基本的に「地植え」です。根を張るスペースは深部に十二分にあります。床土深部の環境を整えれば、深部に新たな根が張っていくようになりますので、根詰まりの心配は不要となるはずです。(地植えの木が根詰まりしたなんてほとんど聞いたことがありませんので。)

そう考えると、より健康な芝生を目指すのであれば、芝生の深部に新たな根を張らせる効果が見込める、床土の入れ替えや、ドリルエアレーションなどの作業をした方がより効果的です。

ドリルエアレーションで床土の深部まで穴をあけて目土を入れた箇所には芝生が深く根を張る効果が見込める

図は床土の深部までドリルエアレーションを実施した時の効果を示した断面イメージ図になりますが、深部の床土を新しいものに入れ替えることで、水分が深部にまで浸透するようになり、深部に新しい根が張ることが期待できます。

ただ根をカットするよりも、こちらの方がよほど芝生を健康に出来る気がしますよね?

よって、私が2年間芝生の育成で達した結論としては「根切りに更なる根張りを促す効果はない」です。(根切りした部分の更新が行われるだけでしょう。)

根切り作業の2次的な効果として、根に新鮮な空気を送り込む「エアレーション」の効果は見込めると思いますが、根切りで出来た穴(スリット)はすぐに塞がってしまいます。新しい目土も入らないので、その効果は極めて一時的です。根切り作業による芝生のダメージと比較すると、デメリットの方が大きい気がします。

5.我が家の芝生の根切り方針

以上を踏まえて、今シーズンの我が家の芝生対する根切り方針は下記のとおりです。

  • 今シーズンの根切り作業は実施しない
根切り用のターフカッター(芝カッター)の刃を研磨して根の切断力を向上させる

昨年にターフカッターを購入し、切れ味が良くなるよう刃の先端を研いで準備までしたのですが…各エリアに対して1回ずつの根切り作業を実施したのみで”お蔵入り”ということになりそうです。

まあ、何事も経験で、実際にやってみなければわかりません。いいお勉強になったということで、今後の芝生育成につなげていきましょう。

なお、今回の考察で、芝生への作業に関する考察は一通り終了しました。今シーズンの作業方針もすべて決まりましたので、もうすぐ開幕する芝生シーズンに備えてしっかり準備していきたいと思います。

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