全く使用していない寝室の換気口を換気扇(パイプファン)に交換するDIYを行いました。寝室を強制換気出来るのはとても良いです。下記リンクにて動画も公開していますので、ご参考にしてみてください。【DIY】#15 寝室に電源コンセントと換気扇を追加する -送り穴から分岐させた電源ケーブルを天井裏に配線!
目次
1.ほとんど使用していない各部屋の換気口
2003年以降に建てられた家屋では、居室となる各部屋には必ず換気口(給気口)が備え付けられています。家の気密性が向上することで、自然な換気が行われなくなったことにより、建築用の接着剤などの成分が家屋内にとどまることで「シックハウス症候群」なる人が増えました。その対策として、居室への換気口の設置が義務つけられたからです。(換気を義務化するより、シックハウスの原因となるものを撤廃する方が建設的な気がしますが…)
しかしながら、家屋の換気設計としてはトイレやお風呂の換気扇は”常時運転”する想定になっているので、換気口からは常に外からの空気が入ってくることになります。夏は外の暑い外気が室内に入り、冬は外の冷たい外気が中に入ってくることになるので、当然ながら各部屋の換気口は”閉”状態のまま使用しておりません。これでは何のためのシックハウス症候群対策か?分からないですよね。
我が家の寝室にも、ベッドを設置している箇所の上方に写真のような100mmパイプ式の換気口が設置されていますが、前述の理由で”閉”状態のまま使用していません。しかしながら、コロナ禍の在宅勤務などで自宅にいる時間が増えたことで、居住区の空気を換気する重要性は高まっているはずです。
そこで今回は、前回の記事【DIY】屋根裏にケーブルを配線して対面の壁にコンセントを追加でベットサイドに電源コンセントを追加したので、その電源ケーブルを利用して、既設の”換気口”をファンを備えた”換気扇”に変えていきたいと思います。換気口だと外気が入ってくるだけですが、換気扇であれば、室内の空気を強制的に外に出す気流に変わります。それを補う空気は廊下などからドアの隙間などを通じて入ってくるのでしょうが、外気に比べれば、熱気や冷気はたかが知れています。快適性が損なわれることは少ないはずです。
2.換気口の構造:直径100mmパイプによる通気
工事に先立ち、まずは換気口の構造を確認しましょう。
換気口にはルーバー構造のカバーがついていて、その内側に外気からのほこりなどの異物侵入を防ぐためのフィルターが取り付けられています。そのカバーを外した状態の外観は写真のとおり。(経年劣化でかなり汚れていますね。)壁には四隅のネジで固定されており、下部のレバーを左側に操作することにより中央のシャッターが開いて換気(通気)が出来るようになる構造です。
レバーを左側に操作して、シャッターを開けた状態が写真の状態です。今の季節は、シャッターを開けた瞬間に換気口の中から”ひんやり”とした外気が侵入してきます。
シャッターの奥は壁に貫通穴が開いていて、直径100mmの塩ビパイプが配置されています。そして、外側には雨風が直接換気口に入ってくるのを防ぐためのカバーが取り付けられています。
以前の記事【DIY】異音がうるさいトイレの換気扇を交換する -パイプファンで、トイレのパイプファンを交換したDIYを紹介していますが…そうなんです。電源有無の差こそありますが、基本構造がパイプファンと同じなんです。よって、換気口まで電源ケーブルを配線出来れば、換気口を換気扇(パイプファン)に置き換えることが可能になるわけです。
3.Panasonic製パイプファン:FY-08PDE9D
今回、右近次が準備した換気口と置き換える換気扇(パイプファン)は下記です。
Panasonic製パイプファン:FY08PDE9Dです。直径100mmのパイプに対応していて、被覆を剥いた電源ケーブルを機器に直接接続するタイプになります。したがって、別売りの壁面スイッチと連結させることによりスイッチのOn/Offが可能となる仕様です。
また、以前にトイレに設置したパイプファン:FY-08PD9Dは常時運転を想定しているので、ファンが常時回転して空気を外に排出します。よって、そこからゴキブリなどの生物が侵入してくる可能性は低めでした。(排出する風にひるまず侵入してくる可能性は”0”ではないですが…)しかしながら、今回のパイプファンは寝室に設置しますので、換気扇として常時運転することは想定しておりません。よって、トイレに設置したパイプファン:FY-08PD9Dでは、換気扇が稼働してない時間帯はゴキブリなどが入り放題になってしまいます。
このあたりが今回のパイプファン:FY08PDE9Dを選定した肝になりますが、このパイプファンには電気式のシャッターがついていて、ファンのスイッチをOffにすると気密性の高いシャッターが閉じて、ゴキブリなどの生物の侵入を防ぎます。居住スペースの設置に適した素晴らしい商品ですね。(写真はシャッターが開いている状態。スイッチを切るとルーバー上のシャッターがカシャっと小気味よく閉じます。)
今回は寝室の設置になりますので。ゴキブリ対策が完璧なこちらの換気扇(パイプファン)を設置していきます。
4.換気扇(パイプファン)追加の電気工事配線図
今回の電気工事の内容を配線図にするとこんな感じ。(実際の工事はコンセントの増設と同時に行っているので、配線図はコンセント増設込みになっています。)ベットサイドのコンセントまで配線された電源を屋根裏のジョイントボックスでスイッチと換気扇に分岐させる回路構成です。
換気扇をOn/Offさせるスイッチには、右近次のDIYでよく出てくるスイッチOnで点灯する表示灯を付けて換気扇の消し忘れを防止します。
使用するケーブルはスイッチまでの接続は3芯のケーブル、換気扇までは2芯のケーブルになります。
5.スイッチ部の施工①:壁の穴あけとケーブル配線
配線図が描けたら施工していきます。まずは、スイッチを設置する箇所の壁に穴を開け、電源ケーブルを配線していきます。
作業の詳細は以下のリンク 石膏ボードの穴あけとコンセントボックスの埋め込み で紹介していますが、開ける穴の大きさは埋め込むコンセントボックスと同形状。柱の位置を避けて穴を開ける必要がありますので、壁裏センサーや下地キャッチなどの工具を使用して、柱の位置を把握して穴を開けていきます。
穴あけ加工はマルチツールなどを使用するのが便利ですが、穴の四隅となる部分に事前に穴を開けておけば小型ののこぎりでも加工が出来ます。
壁に穴が開いたら、屋根裏のジョイントボックスから壁内にケーブルを送り込みます。
なお、写真のジョイントボックスは既に差し込み型コネクタですべてのケーブルを接続した状態になっていますが、ケーブルの接続は各機器にケーブルを接続してからで良いです。(電気工事の試験と一緒で各自のやりやすい順番で施工すればよいです。)
ケーブルを上から送り込んだら、開いた穴からそのケーブルを受け取って穴から出し、コンセントボックスの穴にも通して、コンセントボックスを壁に埋め込みます。
6.スイッチ部の施工②:ケーブル接続と仕上げ
壁に埋め込んだコンセントボックスからケーブルが引き出せた状態になったら、連用取付枠に電気機器(今回はスイッチと表示灯)を固定してケーブルを接続していきます。
作業の詳細は以下のリンク機器の連用取付枠への固定とケーブル接続で紹介していますが、ケーブル被覆を剥く量は機器に指定された寸法で行い、配線図をよく見て間違いのないよう接続してください。
ケーブルが接続出来たら電気機器を固定した連用取付枠をコンセントボックスに取り付け、樹脂フレームやコンセントカバーを取り付けて仕上げていきます。その辺の作業の詳細は以下のリンク壁面設置コンセント・スイッチの分解(組込み)で紹介していますのでご参考にしてください。
7.換気扇(パイプファン)の取り付け工事
続いて換気扇(パイプファン)の取り付け工事を行います。
まずは、既設の換気口を外します。四隅のネジで固定されているので、それらを外して換気口を除去し、パイプの内部が汚れているようであれば掃除します。(トイレの換気口と異なり、普段の換気が行われていないのでパイプの中はそれほど汚れていないと思います。)
換気口が外せたら、パイプの状態をチェックします。我が家のパイプはトイレの施工も同様でしたが、パイプが結構雑に取りつけられていて、壁との隙間が大きい状態になっていました。この辺はこだわりに近い部分ですが、私がDIYで施工したパイプファンでは、壁との隙間は埋めるようにしています。アルミテープで隙間を塞いで気密を確保します。
続いて、電源ケーブルを壁から取り出す穴を開けます。この辺はパイプファンの施工指示書に明記されておりますが、本機器は設置状態で向かって左上部分にケーブルの接続端子がありますので、その近傍にケーブルを引き出す穴を開けてケーブルを引き出します。
ただ、このケーブルを引き出すのがすごく難しいです。スイッチ部では屋根裏側から送り込んだケーブルをコンセントボックス用に開けた(大きな)穴で受け取るだけだったので作業は簡単でしたが、換気扇では壁にケーブルが出る(小さな)穴が開いているだけです。当然、屋根裏からのケーブル送り込みでは上手く受け取れません。室内側の穴からケーブルを送り込んで屋根裏で受け取る必要があります。ケーブルが屋根裏に送り込まれていく状態を想像しながら、”いい感じ”で配線してください。
ケーブルが屋根裏まで配線出来たら、換気扇と接続します。ケーブル被覆は剥き量が施工指示書に明記されているのでそれに従ってください。端子に極性はないので白・黒どちらのケーブルをどちらの端子に接続してもOKです。接続は端子(穴)に差し込むだけの簡単施工です。(他の埋め込み式電気機器と同様です。)
なお、端子にケーブルを接続後に外力などでケーブルが抜けないよう、端子の近傍にはケーブルを固定するフックがついています。端子にケーブルを接続したら、ケーブルをそのフックにひっかっけてから、換気扇を所定の位置に設置していきます。
換気扇の固定は、モータ部分をパイプ内にしっかり格納した状態で、水平器を当てて機器の水平を取り、左右中央2か所のネジで固定するだけです。なお、機器をしっかり固定出来るように、ネジ部にはアンカーを打ち込みましたが、強度が必要な部分ではないのでこの辺はお好みで。(私の場合は、石膏ボードにネジを打つ場合は必ずアンカーを打ち込むようにしています。)
また、ケーブル反力による機器の浮きを抑えるために接続端子がある左上部分にもネジを打ちます。
機器が固定出来たら、ルーバーのついたカバーを装着して換気扇の設置は完了です。
8.ジョイントボックスでのケーブル接続
すべての機器へのケーブル接続と固定が出来たら、今一度屋根裏に入ってジョイントボックスで必要な接続を行います。
なお、電気工事士の試験では、圧着端子を使用したリングスリーブの施工が出題されますが、右近次のDIYではすべて差し込み型コネクタを使用しています。リングスリーブによる接続では絶縁テープを巻くという絶縁処理が必要ですが、差し込み型コネクタでは特別な絶縁処理が不要なので、その分だけ差し込み型コネクタの方が優れていると思っています。(電気工事士の試験でも「接続方法はお好みで」でいいと思うんです。リングスリーブなんて私は一生使わないと思います。:笑)
差し込み型コネクタによるケーブル接続方法は差し込み型コネクタによるケーブル接続にて詳細を紹介していますのでご参考にしてみてください。
9.換気扇(パイプファン)設置後の動作確認
接続が完了したら動作確認を実施します。
スイッチをOnすると…表示灯が点灯して換気扇(パイプファン)が作動しました。スイッチをOffにすると、表示灯が消えて、換気扇(パイプファン)が止まります。スイッチオフからワンテンポ遅れて、電気式のシャッターが「カシャッ」と閉まる感じがとても良いです。
換気の能力がどの程度あるのか?よくわかってませんが、これで在宅勤務で部屋にこもっても「パパの部屋が臭い」などと言われることが減りそうです。^^
・換気口を換気扇(パイプファン)に交換して
前述のとおり、各部屋についている換気口はほとんどが”閉”状態になったままで、全く機能してません。なので、今回の換気扇(パイプファン)への交換はとても意味のある工事になったのではないかと思います。換気扇を設置したい箇所に電源ケーブルを送り込まないといけないという課題はありますが、2階(最上階)であれば、屋根裏を利用出来るので、そんなに難しい工事にはならないと思いますので、DIYを愛する皆さんに是非お勧めしたい工事です。
なお、パパの部屋だけでなく、部屋にこもることが多い年頃の息子の部屋にも是非設置したいのですが…話をどういう感じで持っていくか?が難しい課題ですね。^^
部屋を3種換気にするDIY。非常にタメになりました!
近年の戸建はとても機密性が高く建物全ての吸気口を閉めると流入空気がなく換気されないと思うのですがいかがでしょうか。
キッチンの排気ダクトの逆流空気、木造住宅であれば建材の隙間風を利用される想定でしょうか?
可能であれば全ての吸気口を閉めた状態で排気パイプファンを取り付けた吸気口から空気が出ているか確認いただきたいです。
コメントありがとうございます。そうですね。現在の建物は昔の建物と違って、良くも悪くも気密性がとても高くなっていますね。
私は建築の専門家ではありませんので、建築の設計思想的なものがわかっているわけではありませんが、ご質問いただいた内容についての我が家での状況を回答させていただきます。
まず、我が家では、図面に建物の換気設計が矢印で明記されていましたが、各部屋の吸気口から吸気した空気をトイレやお風呂場などの「常時換気」の換気扇で排気する設計になっているようでした。
その前提で全部屋の吸気口をすべて閉じてしまったときにどうなるか?についてですが、少なくとも我が家では、冬などに全部屋の吸気口を閉めても、トイレや浴室の換気扇からは何の問題なく排気が行わわれていました。気密性が上がったといっても、実際には壁を経由した空気が各コンセントやスイッチボックスから入ってきたりしていますので、そのような隙間から新しい空気が入ってくることで、換気(排気)は問題なく行われていたようです。(冬に壁面の電気工事を行うと、壁からの隙間風が実感できます。)
今回DIYで交換した寝室の換気扇についても、部屋のドアを閉めても、ドアの隙間やスイッチボックスなどから入ってくる空気で問題なく換気(排気)されています。