【情報】相続した土地の場所がわからない時の特定方法-地番図とは?

相続した土地の地番から場所を特定する方法は自治体の地番図確認

実家で所有している不動産の場所を明確に特定できないまま土地を相続してしまいました。固定資産税の課税明細書で「地番」は把握できましたが、その場所が特定できない土地があります。そこで今回は、法務局(登記所)と自治体の情報を元に、相続する土地の場所の特定を行いました。田舎の法務局には「ブルーマップが存在しない」という悲しい事実があるようです。そして、実際に有効だった情報は自治体が作成している「地番図」でした。皆様のご参考になれば嬉しいです。

1.相続する土地を固定資産税の明細書で確認

土地などの相続は突然発生する

実家の不動産を明確に把握できないまま、父母が他界してしまいました。人なんてそんな簡単に亡くなるわけないと思っていましたが、他界する時はホントにあっけないんですよね。。。人生なんて儚いもんです。

親が他界すると「相続」が発生しますが、我が家の実家はありがたいことに、先祖から受け継がれている多少の農地や山林などを保有しています。父母の他界に伴い、その不動産を私が相続することになりました。

固定資産税・都市計画税の課税明細書には土地の地番や面積、評価額などが記載されている

相続する土地の「地番」については、相続前の父母の名義で自治体から「固定資産税・都市計画税」「納税通知書」が送付されて来ますので、そちらに添付されている「土地・家屋課税明細書」を確認することで、概ね把握することが出来ます。

「土地・家屋課税明細書」に書かれている各土地の情報は下記です。(土地に限定して説明します)

  • 所在地番
  • 課税地目/台帳地目
  • 課税地積(㎡)
  • 評価額(円)
  • 前年度課税標準額/課税標準額(円)
  • 相当税額(円)

固定資産税を算出した根拠の詳細が書かれていますので、それを見れば、固定資産として所持している土地の、地番(住所)や地目(種類)、資産価値などの情報を知ることが出来ます。

私の場合は、この「土地・家屋課税明細書」の情報を元に「地番」を把握して、(場所がわからないまま)自分で名義変更(所有権移転登記)を行いました。名義変更だけであれば、自分でも比較的簡単に行うことができます。発生する費用は、土地の評価額によって支払い額が変動する登録免許税のみだったと記憶していますので、是非自ら申請してみることをお勧めします。近々追加で名義変更が必要な案件がありますので、改めて別記事で内容をまとめてみます。

また、私も最近知ったことなのですが、支払う固定資産税が少額の場合、「固定資産税・都市計画税」の「納税通知書」を発行しない場合があるようです。(処理費用の方が高くなるから?)したがって、納税通知書を確認するだけでは、相続するすべての不動産が確認できないことがありますので注意が必要です。(通知書が送られてこない固定資産の確認方法は、別記事【情報】固定資産税の通知がない土地の調査-名寄帳の取得方法にてまとめておりますのでご参考にしてみてください。)

2.地番から土地の場所は特定できる?

2.1 「地番」と「住居表示」(住所)の違い

建物が建てられている土地には地番の他に郵便物が届けられるための住居表示(住所)が割り当てられている

土地には、法務局(登記所)に登録されている「地番」が割り当てられていますが、それとは別に、建物が建っている土地などについては、郵便物がしっかり届けられるよう「住居表示」が割り当てられています。(「住居表示に関する法律」でそのように決められているようです。)

一般的に「住所」と言われているのは、住民票にも登録されている「住居表示」になります。

例えば、私の八王子の家は、小さい2つ(2筆)の「地番」にまたがって建てられていますので、登記上は2つ(2筆)の土地が登記されていますが、住民票に登録されている「住所」は「住居表示」(道路に面した「地番」)のみです。(下記を参照ください)

  • 地番
    • 地番①:東京都八王子市A町XXX  
    • 地番②:東京都八王子市B台○○○
  • 住居表示(住所):東京都八王子市A町XXX

「地番」が土地の法的な”本名”で、「住居表示」(住所)が土地の”通称”みたいなイメージになりますね。(ちょっと違うか?)

2.2 建物が建っている「地番」の場所の特定:宅地など

建物が建っている土地の地番は住居表示(住所)と同一の場合が多いので、場所を特定するのは容易

建物が建っている土地の「地番」、言い換えれば「住居表示」(住所)が割り当てられている「地番」に関する場所の特定は比較的簡単です。概ね、「住居表示」(住所)=「地番」になっていることがほとんどなので、場所はすぐに特定できます。

私の八王子の家の場合でも、登記されている2つ(2筆)の「地番」の片方(地番①)が「住居表示」と同一なので、場所はそれで特定できます。更にそれぞれの地番の登記情報を調べれば、所有している土地の面積が、1つ(1筆)の土地(地番①)では足りないことがすぐわかりますので、我が家の自宅が2つ(2筆)の地番(地番①+地番②)の上に建っていることを察することが出来ます。

田舎では地番の地域名が旧名になっていて住居表示(住所)と多少異なる場合がある

私の実家では「住居表示」(住所)と「地番」が下記のとおりで、”市”より先の地域名が旧名になっていましたので、少しだけややこしいですが、「番地」が同じなので、場所の特定は問題なくできました。

  • 地番      :A県B市C字Dxxx
  • 住居表示(住所):A県B市Cxxx
    • xxxは番地です

以上をまとめると、建物が建っている「地番」に関しては、「住居表示」と同じ番地の「地番」の登記情報を調べて、土地の面積や形状が建物が建っている土地と一致していれば、「住居表示」の場所が「地番」の場所になります。土地の面積や形状が登記内容と実状で異なる場合は、建物が複数の「地番」にまたがって建てられていることになるので、すべての「地番」の登記情報を確認して、建物がどの「地番」にまたがっているか?確認すれば、建物が建っている地番が特定できます。(もちろん、建物が登記されていれば、そちらにも「地番」の記載があります。)

2.3 建物の建っていない「地番」の場所の特定:農地や山林など

「地番」の場所を特定する場合において、簡易度が高くなるのはこちらです。

建物が建っていない農地などは地番のみが割り当てられていて居住表示(住所)がないため場所が特定し難い

建物が建っていない農地や山林などについては「居住表示」(住所)がないので、登記上の「地番」が割り当てられているだけです。

農地などでは、作付計画の申請などで、日ごろから地番を使用すると思うので、その地番がどこか?皆さんも把握ができていると思いますが、山林のように地番を使用する機会があまりない土地では、それがどんな「地番」になっているか?を忘れてしまう場合が多々あると思います。

法務局(登記所)の登記情報を調べてわかるのは、その土地の「形状」や「面積」などです。その土地がどこにあるか?は登記情報だけではわかりません。

私の場合も、「あの辺にうちの田んぼがある」などと聞いてはいましたが、区画整理などで昔の場所とは変わっていたりもしたので、「地番」だけでは、正確な位置が全くわからなくなっていました。今後(私の死後に)発生する相続のためにも、一度しっかり把握しておかないといけません。

3.「ブルーマップ」で地番の場所を特定する

「地番」の場所がわからない時に役に立つのは「ブルーマップ」と呼ばれるものです。

「ブルーマップ」は国会図書館や法務局で閲覧可能な、その土地に存在する「地番」とその「形状」(区画)が記載された「地図」です。(下図はブルーマップとは無関係です:笑)

国会図書館や法務局には地番が表示されたブルーマップと呼ばれる地図が置かれている

「地番」の場所が明確にわからない場合でも、地区名などで大まかな地域くらいは推測することが出来るので、その地域が記載されているページを見つけて、その中に記載されている地番を探せば、その地番の位置や形状を特定することが出来ます。

国会図書館には全国の「ブルーマップ」が置かれているようですが、法務局には管轄する地域のみの「ブルーマップ」が置かれていて、無料で閲覧することが出来ます。コピーには費用が発生する可能性もありますが、費用が発生する場合は、今の時代ではスマホでこっそり撮影してしまえばよいかもしれませんね。^^

また、ブルーマップの発行元はゼンリンなので、それを個人(や企業)が購入することも出来ます。しかしながら、1冊数万円もする高価なものになるので、個人が購入するようなものではありません。

インターネットでは有料会員登録することにより、法務局などよりも早く、そしてお得にブルーマップを閲覧、ダウンロードできるサイトがありますが、利用するには支払いするカードの登録などが必要だったりするので、日ごろから利用するわけではない(1回調べれば終了となる)私にとってはちょっと敷居が高い感じでした。

4.田舎ではブルーマップが作成されてない?

田舎ではブルーマップが整備されてないため法務局にもブルーマップが置かれていない

「ブルーマップ」と呼ばれる便利な地図があることを知ることができたので「時間が出来た時に、地元の法務局に確認しに行こう!」と考えていました。

しかしながら、平日にはなかなか時間が取れない(無理に時間を取ろうとしない)日々が続き、気が付けば相続から10年近くが経過していました。(-_-;)

やっとこさ時間を見つけて、意気揚々と地元の法務局に出向き「ブルーマップを閲覧したいんですけど…」と窓口のお姉さんに相談したところ、お姉さんから返ってきた答えに愕然とします。

「こんな田舎にはブルーマップなんてありませんよ。」

…嘘でしょ?ブルーマップがないなんて、微塵も想像してませんでしたので、意気消沈です。

5.法務局で取得できる土地の公図とは?

引き続き、法務局の窓口のお姉さんに、相続した地番の場所などをしっかり把握したい旨を説明したところ、現在、法務局で取得できる地番の位置情報は「公図」と呼ばれるもの”のみ”との説明を受けました。

公図(こうず)とは、法務局に備え付けられている土地の位置や形状を確定するための地図で、一応、法的な図面です。しかしながら、測量技術が未熟なかなり昔に作られた図面なので、正確性にかけるため信頼できる図面ではないようです。昔は登記簿よりも前の情報が記載されている「土地台帳」と呼ばれるものに付属していたので、「旧土地台帳付属図面」とも呼ばれています。

法務局で取得できる公図は作成が古く正確性に欠けるため情報としての信用度は低い

「せっかく来たので…」と有料で出してもらった「公図」は写真のとおりです。作成は文明開化の音がまだ聞こえそうな、明治21年です。(炭次郎が鬼を成敗したという大正よりも前に作られたものですね。)

一般的に公図と呼ばれるものには、「分類」の欄に「地図(法第14条第1項)」と書かれているものと「地図に準ずる図面」と書かれているものがあります。

「地図(法第14条第1項)」と書かれているものであれば、国の事業として地籍調査を実施し、立会いや測量を行って作製されたものになるので、方位・形状・縮尺ともに正確で高精度な図面になるようです。

しかしながら、「地図に準ずる図面」と書かれている公図は、「地図(法第14条第1項)」に準ずるよう、古い図面(旧公図)を元に再製されたものなので、前述のとおり古くて正確性に欠けます。

私が入手できた「公図」は残念ながら、バリバリの「地図に準ずる図面」でした。一応、周辺の一部の地番との位置関係や、土地の形状などは把握できますが…これでは地域全体に対しての位置関係や境界などわかりません。かなり歯抜けな情報になっているので、土地の正確な場所を特定するには中途半端です。

5.役所の地番図(集成図)で地番情報を確認する

残念ながら、公図には意図したレベルの情報が記載されていなかったため、引き続き、窓口のお姉さんに相談してみると、下記の有益な情報を提示してくれました。

「法務局で確認できる情報は公図までだが、市役所には航空写真に地番を記載した「地番図」と呼ばれるものがある。有料でコピーしてもらえるので、相談してみては?」

って、嬉しい情報だけど、早く言ってよ。(笑)

早速、その足で市役所に向かいます。総合窓口で案内された担当課(課名は忘れました)で、担当のおじさまに相談します。

確認したい「地番」をすべて伝えると、パソコン上でそのすべての場所を確認してくれて「その全部を1枚に入れるとこんな感じになる」と1枚の航空写真を印刷してくれました。しかしながら、それでは写真の縮尺が小さくなり過ぎて境界が確認できません。(出来るだけお金がかからないよう考慮してくれたようです。)

自治体が固定資産税を課税するために作成した地番図は航空写真にそれぞれの地番が書かれていて土地の場所特定に役立つ

時間を作って折角ここまで来たので、出来るだけ正確な情報が欲しい旨を伝えて、複数枚に分けて倍率を大きくしてもらって再検討してもらったのが、写真の図面になります。

航空写真に地番の境界線が引かれていて、それぞれの地番が記載されています。公図を元に作成されているようなので、正確性はかけるようですが、相続した土地の位置を把握するには十分です。

最終的に印刷してもらった図面は計4枚。¥300/枚でしたので計¥1,200のお支払いになりましたが、10年以上わからなかった自分の土地の場所が把握できるのであれば安いもんです。担当のおじさまも面倒くさがらずに、最後まで、相談に乗ってくれて感謝です。(ありがとうございました)

・結論:田舎での地番の場所は自治体の「地番図」で!

建物が建っていない「地番」の場所を特定するのに有効なのは、自治体が作成している「地番図」(集成図)でした。自治体によっては作成できてないところもあるかもしれませんので、それぞれの方によって最適な対応が違ってしまう可能性がありますが、調査の一例としてご参考になれば嬉しいです。

ただし、地番図は自治体が固定資産税・都市計画税の税額を算出するために、公図などをもとに合成作成したものです。土地の境界や形状を証明するものではありませんので、司法上の権利関係(境界など)の確認には使用できません。活用する際には注意してください。(私のように貸しっぱなしの畑がどこか?わからないような輩にとっては十分有益でした。)

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